ジャーナリストの苦悩

フィリピン、米カリフォルニア在住後、
現在は日本で活動するジャーナリストが
日々の生活をつづる。2006年8月開始

不法滞在について考える(2)

2009-06-15 12:12:52 | 外国人受け入れ
不法滞在者の数を減らすことは、国の一つの目標となっている。ここ10数年で取り締まりはかなりの成果を上げ、現在はピーク時の3分の1、10万人程度になったといわれている。

不法滞在を減らすために、私が以前からやったほうがいいと考えているのは、不法滞在の「恩赦」だ。「名乗り出た不法滞在者に、もれなく就労ビザを発行します」と期間限定のキャンペーンを行うのだ。

するといわゆる日本社会の屋台骨を支えているような、貢献度の高い不法滞在者から、風俗営業に従事する者や犯罪者など、さまざまな外国人が名乗りをあげるだろう。

しかし、そこには但し書きがある。

「万一、不法滞在以外の犯罪にかかわっている可能性がある場合、ビザは発行しますが別途、その容疑で取り調べられることあります」

不法滞在と犯罪とを別個に考えるのだ。

外国人犯罪者の中には、不法滞在が原因でまっとうな仕事ができず、犯罪に手を染めてしまった人も多いはずだ。犯罪者へのビザ発行は、犯罪への捜査と、そうした人たちの救済の意味合いもある。但し書きのとおり、見つかった場合は犯した罪に相当する償いはしてもらう。

一方、入国管理は厳正に行い、入口での不法滞在者の侵入を未然に防ぐ努力はこれまで以上に必要だ。在留管理もしかりである。

不法滞在者を減らすことが目的なら、この方法でゼロになるのではないかと私は真剣に考えている。ご意見ください。

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
難しいねえ (夏目漱石)
2009-06-15 22:45:32
難しい問題ですねえ。

不法入国と不法滞在は確かに違法なんですけど、何とか日本で食を見つけ真っ当に税金を払っている人たちに対しては、猶予期間を設けるとかしてもいいかも知れませんよね。

仰るように、やっぱり入り口でブロックすべきですねえ。
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>夏目漱石さん (asadajournal)
2009-06-16 16:54:37
ご無沙汰してます。お元気ですか?

不法滞在の状態でも、よほど運が悪くなければ捕まることはありません。

そういうグレーな状態を放置するなら、いっそのことビザを出してしまえばよいというのが私の考えです。

その方が在留管理のプラスになるはずです。
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ちょっと!ちょっと! (田村圭司)
2009-06-16 17:33:09
>不法滞在と犯罪とを別個に考えるのだ。

不法滞在自体が犯罪ですよ。

それと浅田さんの論法でいけば、とりあえず観光ビザで入国して、3カ月ぐらい不法滞在して名乗り出て。ちゃんちゃん!「日本は不法滞在しても正直に名乗り出れば就労ビザもらえるよ」という情報が世界中を駆けめぐり、あっという間に不法滞在者の山が築かれますよ。

日本人は基本的に性善説にたちがちですが、諸外国の不法滞在する人達はもっと強かですよ。

>するといわゆる日本社会の屋台骨を支えているような、貢献度の高い不法滞在者

本当にこんな不法滞在者がいるのでしょうか。
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>田村さん (asadajournal)
2009-06-17 09:23:57
カリフォルニアには、国境警備隊との死闘の末メキシコから入国してきた不法入国、不法滞在者がたくさんいました。彼らが不法滞在故に最低賃金以下で働くので、カリフォルニアのワインは世界一になったといわれています。

性善説、性悪説という次元の話でなく、在留管理のためにビザを出し、日本人と同等のレベルで扱えば、地下に潜って見えなくなっている不法滞在の現状を克服できるのではと考えます。

観光ビザは、キャンペーン期間は発行を停止してビザウェーバー実施国のみ観光目的での入国を認める。発行する不法滞在者に発行する就労ビザも、在留期間など慎重に検討する必要があります。当然、ビザをもらって一定期間は合法的に滞在するがまた不法滞在になるのは避けなければいけません。

> 屋台骨
簡単に言うと税金を払っている不法滞在者のことです。日本にいる上のカリフォルニアワインのような人たちのことです。
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浅田さん (田村圭司)
2009-06-17 23:42:49
 在留管理という面ではもっと入国審査官や警察力を高めて摘発を積極的に進めるしかありませんね。
どうして日本人と同等のレベルで扱わなくてはならないのかが理解できません。どこまでいっても不法就労者、不法滞在者は犯罪者です。

一千万人移民受け入れなどと言っているノー天気な政治家がいます。まったくもって経済を理解していませんね。

よく人口が減って国民総生産が減って大変!大変!などといっている経済学者や有識者がいますが、人口が減っても国民一人当たりの所得が減るわけではありません。

移民先進国である欧州の現状を見れば、移民受け入れはよほど考えて門戸を開放しないと後で痛い目を見るのは日本国民です。

それと欧米との最大の違いであると在日韓国・朝鮮人(特別在留外国人)が日本の社会のごみ収集を筆頭に俗に汚いといわれる労働を支え、それが現在では利権と化しています。
この部分にメスが入らないと外国人労働者の問題解決は難しいでしょう。

それと税金を払ってればOKという考え方は非常に危険です。

在日外国人地方参政権付与などの議論のときに持ち出されることが多いですが、税金を払うことと正式な在留許可を持った在日外国人であることは別の問題です。また、税金を払っていなくても日本国民は日本国民です。

税金は行政サービス(ごみ収集などです)を受けるために所得に見合って支払う義務が生じるもので税金を払っているからOKとはなりません。必要十分条件ではないということです。
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はい (asadajournal)
2009-06-18 18:09:22
最後の税金は行政サービスを受けるための義務という点は確かにその通りだと思います。

また、「日本人と同等のレベルで扱わなくてはならないのかが理解できません。」の部分ですが、私の言葉が足りなかったようです。「管理」を同等にする方が行政の都合がよいだろうという意味で、外国人を日本人として扱うという意味はまったく含んでいません。そんなことは外国人も望んでいないでしょう。

一方で、冒頭の「どこまでいっても不法就労者、不法滞在者は犯罪者です。」の部分ですが、「在留特別許可」という制度をご存じですよね。法務省の裁量で、現在でも恩赦のような措置があります。つまり、不法滞在者は「どこまでも犯罪者」ではないわけです。

ーーー

人口減少には、大きく二つの考えがあると思います。一つは外国人移民を受け入れ経済力を維持する。もう一つは少ない日本人で経済的にも「小さな日本」になる。

どちらも間違いでないと思います。田村さんは後者で、私は前者の考えを持っているということではないでしょうか。
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ちゃうよ。 (田村圭司)
2009-06-19 10:32:55
>一方で、冒頭の「どこまでいっても不法就労者、不法滞在者は犯罪者です。」の部分ですが、「在留特別許可」という制度をご存じですよね。法務省の裁量で、現在でも恩赦のような措置があります。つまり、不法滞在者は「どこまでも犯罪者」ではないわけです。

「在留特別許可」はまず不法滞在である旨を入管に告げ、強制退去手続の中で諸事情を総合的に判断して日本に在留することに特別な理由があると認められた場合に限り日本在留が認められるのです。と同時に在留特別許可には厳格な期限が設けられています。

それと認められるための要件は相当厳しいです。一般に許可の可能性が高いのは、日本人配偶者があり、同居期間も長く、子供もいて、日本人側の収入や職業が確かで、偽装婚等の嫌疑に乏しいような場合です。

もちろん受理されなければ強制退去処分となるわけです。その場合、日本には10年間入国できません。

ただし、現在では「それは厳しすぎるのではないか」という声もあるのと出頭を促すために、「出国命令制度」ができています。この制度は自ら入管に出頭した不法滞在者で、過去に退去強制等をされたことがないなどの一定の要件を満たす外国人は退去強制の手続によらず、出国を命ずる制度です。この場合、1年間で再来日することができます。

どちらにしても行政手続きであり法的に無罪放免となったわけではありません。


>人口減少には、大きく二つの考えがあると思います。一つは外国人移民を受け入れ経済力を維持する。もう一つは少ない日本人で経済的にも「小さな日本」になる。

「小さな日本」という意味が分かりません。物事はもっと多面的に見ないと駄目です。
英国や仏国を見てどう感じますか。人口も経済力も日本の半分ぐらいです。だけど国際社会では確固たる地位を保っています。

両国ともこれまでは積極的に移民を受け入れています。そして先にも書きましたが日本では特定の人達が担っている場合が多い仕事にその移民が就いています。

僕は日本に移民を一人足りとも入れるな!と声高に叫んでいるわけではありません。急いては事をし損じるのことわざがあるようにもっと足元を見詰めてきちんと受け入れていくべきだと言うことです。

きちんと筋を通して滞在している外国人が大多数を占める現状で不法就労者、不法滞在者を積極的に恩赦していく必要はないと考えます。

それよりは「外国人研修制度」の悪用を速やかに止めさせる。前に浅田さんも書いていた「在日外国人子弟の未就学問題」などを解決する。
そうした事を行い、きちんと在留許可、就労ビザを取得して日本で働いてくれている善良な外国人労働者に援助の手を差し伸べるべきではないですか。

どうも話が本末転倒のような気がします。


外国人労働者を経済力を維持するために入国を緩和するのでは駄目だということです。

浅田さんが住んでいた米国では、そこの憲法にもあるように「大きくなる事を善」と捉える民族であり国民性があります。米国型民主主義の押しつけもそういう観点から出てくる物です。

一方、米国に比べて歴史の長い欧州では大きくなる事を善と考えるのではなく、「永続性を善」と考えます。これは長い歴史を持つわが国と比較的考え方を同じとします。

昨年のリーマンショック以来、大きくなる事を善とする経済至上主義は破綻の道を辿っています。国家といえども適正規模の適正利潤を基本に据えて国際社会での永続性を希求する時期にきているのではないでしょうか。

その手助けとして善良な外国人労働者を受け入れることは良いと考えます。しかし、その場合でも外国人労働者を単なる労働力として受け入れるのは駄目でしょう。

それは結局、大企業経営の調整弁として使われた日本人派遣労働者の下にもう一つ「汚い、きつい、厳しい」外国人底辺労働者の層を作るだけです。そんな事をしてまで経済力を維持したいとは僕は考えません。

外国人研修制度も悪用している中小、零細企業の経営者は後を絶ちません。でも、そんな中でも東大阪の金型メーカーではベトナム人の研修生を受け入れ、彼らが研修を終え、帰国した後にベトナムで工場を立ち上げて彼らを母国で再雇用しているような企業経営者もいます。日本はまだまだ捨てた物ではありません。

どうして外国人労働者は日本に来たいのでしょうか。労働力の内外価格差があり儲かるからです。本来的にはアジア各国を中心に経済力を上げる方策を日本が国家として採り、各国の経済力を上げることが大事です。内外価格差のある国から労働力をかすめ取るような移民政策には反対です。






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はい! (asadajournal)
2009-06-19 15:19:59
外部へのリンクありがとうございます。他の方も参加されませんか?

議論が移民受け入れに移りました。外国人労働者の受け入れの考え方には、田村さんに賛成です。

> 内外格差のある国から労働力をかすめ取る

もってのほかでしょう。

研修制度の悪用については、長勢甚遠元法相が「外国人労働者短期就労制度」の創設を提言するなど、改善の方向で進んでいます。

議論のスタートは、不法滞在の根絶でした。その方策として不法滞在者へのビザ発給を提案しました。「ゼロ」を目指すための具体案です。

> 就労ビザを取得して日本で働いてくれている善良な外国人労働者に援助の手を差し伸べるべきではないですか。

もっともです。それに加えての提案です。
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だからさぁ話を戻すと (田村圭司)
2009-06-20 11:54:22
>不法滞在を減らすために、私が以前からやったほうがいいと考えているのは、不法滞在の「恩赦」だ。「名乗り出た不法滞在者に、もれなく就労ビザを発行します」と期間限定のキャンペーンを行うのだ。

期間限定で名乗りを上げてくれた不法滞在者に就労ビザを発行したとしても、その就労ビザには当然、期間があるでしょう。

そしたら、その期間を過ぎれば、また、不法滞在者に逆戻りじゃないですか。

それともずーっとエクステンションするのですか。

もし、そうするなら結局、僕が最初に言ったように世界各国から不法滞在、不法就労にこぞってきますよ。

さて、どうする?
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そこです (asadajournal)
2009-06-22 16:06:35
> 発行する不法滞在者に発行する就労ビザも、在留期間など慎重に検討する必要があります。当然、ビザをもらって一定期間は合法的に滞在するがまた不法滞在になるのは避けなければいけません。

以前も書きましたように、ネックはそこです。でも、ずーっとエクステンションでもよいのではないでしょうか。10年で永住権とれますし。
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