駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

難題門を前に

2018年07月05日 | 診療

     

 梅雨が明けた模様とのことだったが、この三日ばかりお天気がぐずついている、週末も降ったり止んだりらしい。台風の余波にしては長引くし気温が低めだ。ひょっとしてまだ梅雨が明けていないんではないの、と気象庁にお聞きしたい。

 どこの医院にも、扱いかねる患者さんが居ると思う。K氏は私と同い年、いい年をしていい加減にして欲しいと申し上げているのだが、なぜか当院が気に入られ、しばしば受診される。精神科にも通院され投薬を受けておられるのだが、あそこは薬を貰うだけともっぱら当院を愛用される。風の吹き回しというのがあるらしく二か月ばかり来ないなと思っていると毎週のように受診される。殆ど前日救急車を呼んで救急病院を受診されている。若い医者が出てきて碌に診てくれない、点滴してどこも悪くないと返されたと、ひとしきり不平を言われる。どうしたのかと聞けば昨夜何だか気分が悪くなり、熱中症になった。独り暮らしで誰も居ないので、心配で救急車を呼んだという。熱中症は自己診断で、さほど暑くもない昨夜、飲み食い出来て大騒ぎできる人が熱中症とは考えにくい

 「なんでそんなんで救急車を呼ぶの」と言うと「だって市役所ではKさんは独り暮らしだからいつでも救急車呼んでください」と言われているとむくれる。それでもひとしきり訴えを聞き、型通りの診察をしてあげると「ありがとう、お世話になりました」と急に神妙になって帰ってゆかれる!?。

 Kさんは所謂境界領域の人だ。定職にも付けず身寄りもなく生活保護で、警察も何度も思い込みで呼ぶので来てくれなくなり、救急車だけが頼りなのだ。相手にしてもらえないせいか訴えが大袈裟というか思い込みで妄想に近くなり、救急外来の有名人になってしまった。それでもさほど若くないから、オオカミ少年もいつかは重病になるかもしれない。

 おかしい人だから相手にするなというのは医療従事者のすることではない。困っておられるのだから、意に沿うように手厚く対応するべきだという人には、ではあなたがやってくださいと申し上げたい。

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