駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

書類の山で息切れ

2008年04月23日 | 医療
 信じられないかも知れませんが、医師が字を書いている(キーボードを叩いている)時間は専門科によって違うでしょうが、内科系町医者では実労働時間の半分を占めていると思います。70%がカルテの記載で、残りの30%は診断書、紹介状、介護意見書、生活保護関係書類、施設入所紹介状、訪問看護指示書、訪問看護師やケアマネージャへのファックス返信などなどです。カルテの記載は当然ですが、医学とは直接関係ない記録のための記録の部分は無くてもよいようにして欲しい。指示書や申請書類などには検査数値を書き写すなど医師でなくても書ける部分があり、忙しい時には負担です。経済的に余裕のある医師は事務員を増員して、そうした部分の書類作業をさせているようです。
 夕方医院を閉じた後も、医師は専門職ですから、勉強しなければなりませんし、医師会の仕事もしなければなりません。忙しい、ああ、書類が少ないと助かるなあと思うわけです。
 病院勤務医には医師会の仕事こそありませんが、上記の仕事に入院患者の診療、会議、研究発表準備、研修医指導などが加わり、しかも組織内の責任を負わされますので、消耗して、もう辞めたという人が続出するのは当然と思います。
 患者さんが多かったり、勉強会があったりでうっかり書類を貯めると大変です。書類の山に、つい息切れがして、こんなことのために医師免許をとったはずではないのにと思ってしまいます。
 書類には内容の重複や形式的な記載も多く、書式を変えれば20%は文書業務が減らせそうです。更にユニバーサルドキュメンテイションを採用し、カルテ(患者情報)をすべての医療機関で共有できれば、書類業務は半分にも減らせるのではないかと思います。そうすれば医師の診療以外の負担が減り、特に勤務医には朗報で、辞める医師も減るかもしれません。お役所は事務が得意のため、さまざまな改訂で事務量が増えても平然としています。冗談は寿下無だけにしていただきたい。診療する前に息が切れてしまいます。

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