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シンガーソングライターです。オセロが趣味でユーチューブで選手宣誓の場面を見れます。川端三段と打ち込んでください。

最強実力者への挑戦その5前(全5回)

2014-01-31 20:30:00 | 囲碁
決戦の時来たる!
Aクラス決勝のカード!
それは渋田(しぶた)七段対川端である。
やはりこの人が来たか、と私は思った。
この人の実力、実績をもってしては決勝進出は順当というほかはない。
ここまでなんとそれまでの3大会と合わせて17連勝である。
そして私は渋田七段と5回対戦してまだ一度も勝てていなかった。

渋田七段は年齢60代半ば過ぎ。
終戦の年の前年1944年生まれの方で私より13歳年上である。
囲碁歴は40年以上で、業界の囲碁の会でも代表として
精力的に活動されている。その熱意にほだされる人もいる。
その会のヘッドが勝ち続けているのである。
熱意ある人は腕も頭抜けているのである。

さっそくAクラスの決勝戦がBクラスの決勝戦と合わせて始まった。
両者無難な立ち上がり。白が黒の星に対して三々(さんさん)に
入ってきた。おいしく実利を取り、地で先行する作戦だ。
しかし早い段階で三々に入ると形が決まって碁がわかりやすくなって
しまうことが多い。コミのない白としては思い切った打ち方だと思った。
黒は外に黒石が来たので模様を張る作戦に出た。模様とは中央に
大きな地をつくる作戦だ。

ついでにお返しとばかりに黒も左下の星の白の三々に入り、
白の実(み)を奪っていく。
ここでうまく先手を取った黒はまたどんどん中央に模様を広げていった。
白が入ってきたらそこで戦いである。

着手が進む中で左辺に黒の弱い石ができた。白はこの石を
攻めに出た。左辺の黒にプレッシャーをかけ、逃げを促し、
その黒石を追いかけながら中央の黒の地模様になだれ
こもうというのが白の作戦だ。なので黒は単純に逃げるのではなく、
攻めに来ている白にもあわよくば逆にその白石を取るぞ、と
プレッシャーをかける打ち方がよい。
それにより白の黒の地模様への進出を牽制していく。
黒はよい着点を見つけ、打った。
白は応手が簡単ではなく、左辺の黒を攻めあぐねている。
中央の黒の地模様への侵入も黒にうまくブロックされて
いてできない。
黒は攻められた左辺の石の多くを中央の黒に連絡する
ことに成功し、しだいに中央の黒模様が確定地化して
きた。上辺から中央、右辺、そして下辺の白陣の手前まで
で100目ぐらいはありそうである。

ここで白は黒陣へのまともな侵入を断念し、黒地を値切りに
来た。ここから黒地白地の境界での折衝が始まった。
渋田七段も負けじとその折衝の中で大きな白地を確定させていく。
黒白ともに文字通りのデカ地のつくり合いである。
観戦しているある選手から「黒地でかいねえ。片手入っちゃう
ぐらい大きいねえ!」と驚きの声が上がった。
結局、両者最後まで打ち終局。結果は黒地93目、白地79目で
黒14目勝ちとなった。

黒は巨大地のつくりとそれを守るというゲームプランが奏功した。
白は早い段階で黒模様に入っていくべきだったと思う。そこで戦いに
なるのだが、その方が白に勝機が多かったように思う。
白は今回は戦いを避ける打ち方が結果的に裏目に出たようだ。
試合後、渋田さんが「川端さんの打ち方、今までと全然違った」
といってほめてくれた。うれしかったですね。
私はやっと渋田七段の連勝を止めた、と思った。そしてそれと同時に
この試合は私の対渋田七段初勝利となった。
何ともいいようのない気持ちだったが、長く囲碁をやっていると
こういうこともある、ということだと思う。
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