美術コースブログ

八戸工業大学第二高等学校美術コースの公式ブログです

鯉艸郷スケッチ実習

2010-05-27 15:28:12 | コース行事


美術コース全学年が、2日間の日程で校外スケッチ実習を行いました。
今年の場所は十和田市にある鯉艸郷です。



観光施設の一つである鯉艸郷は、様々な体験学習が出来る手づくり村。
茅葺き屋根の民家のほか、水車小屋、展望台、炭焼き小屋があります。
メインは季節ごとに彩りを変える庭園。特に花菖蒲が美しいのですが時期が合わなく
見られなかったのが残念でした。



初日は雨が時折降るのもの、雨風を避けながらスケッチしました。



二日目は一転、好天に恵まれました。
陰影はくっきりと、植物は色鮮やかに映える光景。
生徒達は明るい日差しのもとで、制作に集中しています。



完成した生徒たちのスケッチは後日アップします。


春期実技講習会

2010-05-16 11:32:18 | コース行事


本校では外部講師による実技講習会を春、夏、秋と年間3回実施しています。
春期講習会は5月7日(金)と8日(土)、東京武蔵野美術学院の講師2名を招いて行われました。



2,3年生の希望者30名が受講し、2日間の講習に取り組みました。

 1日目の午前中は再現作品からの入試説明会。
説明会では持参された100点近い参考作品を見ながら、昨年度の各大学の入試傾向や実技試験のポイントが解説されました。生徒達は熱心にメモを取り、参考作品をじっくり鑑賞していました。
午後から二日目にかけて実技講習でした。



実技講習ではデザイン系と美術系(油絵、日本画)に別れ、生徒各自が選択した課題を制作しました。
デザイン系は平面構成、卓上配布モチーフデッサン、セットモチーフ静物デッサンから一つ選択。
美術系はセットモチーフの油彩、着彩、デッサン(木炭または鉛筆)と、構成デッサンの選択でした。



水彩作品です。野菜や草花の自然な色合いを大事に描きます。自然物と人工物では発色が異なり
色の作り方も変わってきます。



二日間の授業を締めくくる講評会。
生徒達にとって外部講師による講習は、緊張感のある充実した時間となっています。

アルフォンス・ミュシャ展見学

2010-05-11 19:09:06 | コース行事


 5月7日(金)美術コース2,3年生希望者が、岩手県立美術館で開催中の「アルフォンス・ミュシャ展」を見学しました。



 アール・ヌーヴォー様式の代表的人物として位置づけられるミュシャですが、今回の展覧会は、有名なポスター等の他に、初期の油彩、水彩、肖像画や挿絵の仕事など、日本初公開の珍しい作品を見ることが出来ました。変遷を続ける、ミュシャの全貌を俯瞰できる展覧会でした。ミュシャの作品は現代のイラストレーションにも通じる表現で、生徒達は熱心に鑑賞していました。



◆生徒の感想文から
・初めてミュシャの展覧会を間近に見て、私はすごくうれしかったです。
以前からミュシャの絵が好きで、何度もインターネットや本で探していました。
今回はまだ見たことのない作品もじっくり見ることが出来ました。
あの独特の細部描写が大好きです。
自分も細部にこだわるので、今日見たことをこれからの制作に役立てたいと思いました。
・「アール・ヌヴォー」様式を取り入れた作品はとても華やかで美しいデザインでした。
デッサンもかなり高いレベルでした。
特に目に入ってきたのはポスターです。
そこに表現された女性の表情やしぐさは、魅力に溢れていました。
ミュシャを好む人達が多いのも納得しました。



 岩手県立美術館のロビーに展示された立体作品も、生徒達を楽しませてくれました。




琳派・若冲と雅の世界展見学

2009-08-28 11:06:25 | コース行事


8月27日、美術コース生全学年で、岩手県立美術館で開催中の
「琳派・若冲と雅の世界展」を見学しました。
細見美術館は、大阪の実業家、故・細見良(初代古香庵)に始まる
細見家三代の蒐集品をもとに平成10年に開館した美術館で、
弥生時代の土器から近代の琳派画家作品まで、
日本美術史をたどる多様な作品から構成され、
日本の美術工芸のほとんどすべての分野・時代を網羅する
優れたコレクションで知られています。



今回の展示会は、俵屋宗達や尾形光琳 酒井抱一らの琳派と、
画風のユニークさで人気の伊藤若冲といった
江戸絵画の中でも魅力に富む作品を紹介するとともに、
平安・鎌倉・室町期の絵画・工芸品まで90点余りが展示されていました。
 


生徒達は日本美術の優美さ、繊細さ、力強さに触れ、感銘を受けていました。



◆生徒の感想文より
今回は教科書でも有名な、俵屋宗達や尾形光琳など
有名な作者が描いた作品があり、見ることが出来てとても良かったと思います。
でも私は、タイトルにもなっている若冲という作家は全然知りませんでした。
若冲の絵を見た瞬間「なんだこれは!」と思ってしましました。
鶏のあの繊細で切れのあるタッチには思わずずっと近くで見てしまいました。
日本の絵はモチーフの特徴をかなり分かりやすく美しく描いてあって、
デザイン性もあると思いました。
平面の中にその物の特徴や美しさをズバッと決めているように感じました。
さすが、世界の画家達に影響を与えている日本だなと思いました。
(2年生)



西洋の絵画は写実的で、日本の絵はリアルじゃないというイメージが
自分にはありました。
しかし今日の見学で、日本の絵に対する印象が変わりました。
 迫力のある大胆な構図、絵の中に隠された遊び心、
鶏の尾を筆の勢いを使って描きあげた力強さ、
背景に金箔を用いるなど独自の画面。
見れば見るほど発見があり、その独特なユーモアは見ていてとても楽しく
全く飽きさせませんでした。
今回の展覧会を見て、写実的に描くだけではなくて、
そのモチーフの生命感というか、存在感を伝えることも、
とても大事だと感じました。
(1年生)

実技講習会実施

2009-08-06 19:04:11 | コース行事


明るい活気に溢れた講評会。8月4日から8月6日の3日間、今年2回目の予備校特別講習を実施しました。




東京の美術予備校「立川美術学院」から講師2名を招いて行い、1年生から3年生の希望者33名が参加しました。




人物デッサンの制作風景です。




静物を油彩で描いています。






生徒達は集中して制作に打ち込み、充実した講習となりました。


草木染め実習

2009-07-15 22:03:40 | コース行事


天然の染料で美しく染められた布。
7月14日と15日の2日間、美術コースの1、2年生が東北芸術工科大学の美術科工芸コース准教授、山崎和樹先生をお招きして「草木染め」の実習を行いました。
「草木染め」とは、主に植物から得た染料で繊維を染める技法です。
明治以降、日本の天然染料は合成染料の輸入によって衰退していましたが、大正末に山崎斌(あきら)を中心に復興が始まり、合成染料と区別するため、天然染料だけの染色を「草木染」と命名しました。
今回来て頂いた山崎和樹先生は、山崎斌の孫にあたります。




生徒達は天然染料の発色に歓声をあげていました。
合成染料と比べると彩度が低く、自然と調和した柔らかな色で心を和ませてくれます。
シックハウスをおこさない壁紙や家具などの天然の塗料としての応用も始まっており、
自然と共存してきた伝統染色技法が、環境に適した染色として再評価されています。




草木染は主に植物の葉、茎、根、実などを煮だした液に繊維を浸し、染まった色素を金属イオンと結合させて発色させます。
金属イオンとの結合を媒染(ばいせん)と言い、
植物抽出液と媒染を繰り返すことで染色の濃度を上げます。




今回は1.カリヤス(苅安)2.ヤシャブシ(夜叉附子)3.スオウ(蘇芳)4.セイヨウアカネ(西洋茜)5.クルミ(胡桃)6.コチニールの6種類で実習しました。写真はセイヨウアカネです。




布を畳んで木の棒で挟み、染まる所と染まらない所で模様のパターンを作ります。




左はセイヨウアカネを煮出した液。
右はミョウバンを入れた液で媒染しているところ。
色が強くなってきました。




布を開いて完成。思ったような模様になったでしょうか。




色彩に敏感な日本人の伝統を忘れないようにしたいですね。

青森県立美術館見学

2009-06-23 14:50:01 | コース行事

6月20日(土)、青森県立美術館を美術コース全学年で見学しました。


この日の見学内容は常設展示で、シャガールや奈良美智、
ウルトラマンをデザインした成田亨の作品の他、
「春のコレクション展 ユーモアと祝祭 ― 笑う前衛」を鑑賞しました。



現代美術のなかからユーモア、風刺、ウィットなどさまざまな「笑い」を武器に
新しい世界を切り開いた作品を中心に展示されていました。
生徒達は熱心にメモをとりながら興味深く鑑賞していました。



この美術館は、建築と、マークやロゴタイプなどのビジュアルイメージにも特徴があります。
建築は青木淳による設計で、三内丸山縄文遺跡から着想を得ています。
発掘現場のトレンチ(壕)のように、地面が幾何学的に切り込まれた独特のデザインです。



ビジュアルイメージは菊地敦己が担当しました。
「木」と「a」をモチーフにしたシンボルマークは、
「青い木が集まって森になる」という成長を描いています。
ロゴタイプやサインの書体はオリジナルフォントで、
ロッカーの番号や消火器表示に至る細かい部分まで統一されています。



■生徒の感想文より
○県立美術館に入り、エレベーターに乗って地下へ降りると「アレコホール」がある。
シャガールが描いた、バレエ「アレコ」の舞台背景画が3枚展示されている。
幅21メートルのホールを覆い尽くしてしまうほどの大きな絵で、
一人で描くのは大変だったろうなと思った。
県立美術館といえば、誰もが「あおもり犬」を想像すると思う。
高さ8.5メートルの「あおもり犬」は、写真で見るよりも大きく、迫力があった。
静かに目を閉じて、白い身体になめらかについた影は、柔らかく優しい印象があった。



○美術館を見て建物や内装、ロゴマークまでデザインが徹底している印象を受けた。
いかに本気でやっているのか伝わってきた。
将来、デザイン、美術制作に携わる仕事に就くことを目指す自分にとって大変参考になった。



○今回初めて青森県立美術館に行き、様々な刺激を受けることが出来た。
奈良美智の作品は、人形や花を使って作った空間が面白かった。
棟方志功は、中学校の時に公会堂で彼を主人公にした演劇をみていたので、興味深く観ることが出来た。
またウルトラマンの怪獣のデザイン画もとても印象に残った。
日本画の展示もあって、今制作している作品の参考になった。

ガラス工芸・木工見学

2009-06-04 12:17:14 | コース行事

美術を職業にしている人は、日頃どんな活動をしているのでしょうか。
6月3日木曜日、2年生が「プロに学ぶ」という授業の一環で工芸作家の工房を見学しました。
この授業は美術関係の仕事に携わっている人の職場を見学して、レポートにまとめるものです。
プロの仕事の様子を見学して、話を聞き、現場を体験することによって、職業観を養い、技術的な学習をします。
今回はガラス工芸作家、石橋忠三郎さんと、木工芸作家、高橋みのるさんの工房を見学させていただきました。


■ガラス工芸作家 石橋忠三郎さん
ガラス工芸作家。多摩美術大学プロダクトデザインを卒業後、
イギリスのスターブリッジ美術大学ガラスコースを卒業。
上越クリスタルガラス(株)デザイン室の勤務を経て、現在は八戸市に工房を開いて活躍中。
東北ガラスアート展、’96日本現代ガラス展・能登島、世界美術工芸博覧会などで多数の受賞があります。


ご自身の制作の様子や、ガラス工芸を始めた動機などをお話しして下さいました。


吹きガラスの体験実習もさせて頂きました。


展示ギャラリーには、色とりどりの作品が並んでいました。


■木工芸作家 高橋みのるさん
「木」と「メカニズム」と「遊び心」の三つの要素を組み合わせ、新しいToy Artの世界を確立して活躍しています。
「朝日創作おもちゃコンクール」連続入賞。「第五回ハンズ大賞」で稲本正賞。
テレビ東京のTVチャンピオン「木のおもちゃ職人選手権」で優勝。
その他銀座ソニービルのディスプレイやパリでの展覧会などで発表。
三沢航空科学館のエントランスホールに展示してある、国内最大級の木製メカニカルモニュメントが有名です。


高橋さんの作品は必ず動くことが特徴で、そのからくりにはアイデアが溢れています。


工房で熱心に語る高橋さん。


人と同じ事をやっていてはプロになれない。
自分の考えで判断し、自分のスタイルを持つことが重要だと話していました。


お二人とも個展を控えた多忙の中で、丁寧に対応して下さいました。
生徒達は生き生きとした表情で聞き入り、メモを取っていました。

蕪島スケッチ

2009-05-26 14:54:52 | コース行事

美術コース全学年が、2日間の日程で校外スケッチ実習を行いました。
今年の場所は蕪島の周辺です。


蕪島は八戸港内にある島で、現在は埋め立てによって陸続きとなっています。
ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている観光地です。


両日とも、風がやや強かったのですが好天に恵まれました。
生徒達は明るい日差しのもとで、制作に集中していました。


海岸でスケッチをすると、海と岩ばかりになりがちですが、ここでは様々な主題を探す事が出来ます。


生徒達は蕪島や海岸の他、漁港、街並み、裏路地や鉄道など、広範囲にテーマを見つけていました。

生徒の制作した作品を一部紹介します。









蕪島の周辺は、どこを切り取っても絵になる場所でした。

蜷川実花展見学

2009-05-18 07:30:04 | コース行事


5月8日金曜日、岩手県立美術館で開催中の「蜷川実花展」を見学しました。
蜷川実花は、1995年のデビュー以来、ファッション、広告、映画など
様々な分野をクロスオーバーする活躍を見せ、
若い世代を中心に絶大な人気を誇る写真家です。



多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を卒業後、
写真を中心として活動していますが、2007年2月24日公開の映画『さくらん』で、
初の映画監督も務めています。



彼女の写真には、花や金魚、アイドルなど誰もが惹きつけられる華やかなモチーフが頻繁に登場します。
今回の展覧会には、初期の貴重なセルフポートレイトから、代表作「花」「金魚」「旅」「人物」のシリーズ、
そして未発表の最新作「Noir」まで、450点以上の作品が展示されていました。




■生徒の感想
(2年生)
写真の展覧会を見るのは初めてだった。作品を見てびっくりした。
想像していた写真とは全く違った。
色鮮やかな写真の中では時が止まっていた。
一瞬一瞬の時を撮っていて、写真の中には夢がいっぱい詰まっているように感じた。
私は一瞬でこの蜷川実花にはまってしまった。
特に気に入ったのは「金魚」をモチーフにした作品だった。
水があるから金魚が生きていける、金魚がいるから水の美しさが生かされているように感じた。
他には芸能人を撮った作品がたくさんあった。
一人一人の「生き方」や「特徴」、「キャラ」が一枚の写真につまっていた。
写真の凄さ、写真の魅力にはまってしまったのを感じた。最近亡くなった清志郎さんの写真もあった。
写真の中では生きていた。魂が入っているようだった。
今まで色々な人の写真を見てきたが、ここまで感動できたのは初めてだった。
「人と自然があるから世界は、地球は美しいんだ。」ということを感じた。
一つ一つのものを生かしてくれる、そんな写真展だった。
今回は本当に行って良かった。これからも色々な作品を見て、自分の心を育てていきたいと思う。
作品集を欲しいと思った。ファンになった。
もう一度、見に行こうと思った。




(3年生)
蜷川実花さんの作品は以前にも見たことがあったのですが、
色彩豊かで綺麗な写真だというイメージしかありませんでした。
しかし今回の見学によって、毒々しいというイメージがプラスされました。
蜷川さんの写真や映像を見ていると、なんだかぞわぞわして、少し寒気がし、
ただ綺麗なだけではないという感じがしました。
特に印象深かったのは人物の写真です。普段は特に好きでもない人なのに、
すごく格好良かったり、可愛かったり、色っぽかったりして、
たった一枚の写真を見ただけで、一気にその人のファンになってしまう魅力がありました。
知っている芸能人が多く写っているという事もあるかもしれませんが、
人物写真の展示室にずっと留まっていたくなりました。
蜷川さんの作品から得たものを自分の作品に反映させたいです。