アートインプレッション

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影絵芝居『星への歩み』

2011-04-04 20:59:56 | 陶酔のパリ・モンマルトル
前回に引き続き、影絵芝居 『星への歩み』 をご紹介します。


星への歩み

1899年
アンリ・リヴィエール 《影絵芝居『星への歩み』》
(c)ADAGP, Paris&SPDA, Tokyo, 2011



影絵芝居『星への歩み』は、1890年1月6日に「シャ・ノワール」で初演されました。
「シャ・ノワール」の人気シャンソン作曲家、モーリス・マク=ナブが亡くなったことを受け、彼への追悼の意も込めて「シャ・ノワール」の常連客であった作曲家、ジョルジュ・フラジュロールと画家アンリ・リヴィエールが共同で制作したのです。
「シャ・ノワール」のアヴァンギャルドな雰囲気とは裏腹に、キリストの誕生と死、そして昇天を扱ったストレートな宗教劇であることから、完成当初は成功が危ぶまれていました。
しかしフタを開けてみれば大変な人気ぶりで、何度も繰り返し上演されたことが記録に残っています。

音楽面で『聖アントワーヌ』と大きく異なっているのは、声楽曲であること。
歌詞とあいまってストーリーがぐっと消化しやすくなり、どんどん映像に惹き付けられてしまいます。

当時は弱冠21歳のエリック・サティが『星への歩み』第2ピアニストを勤め、シャンソン作曲家のシャルル・ド・シヴリーが音楽監督を任されていました。このシャルル・ド・シヴリーこそ、音楽家ドビュッシーの誕生に一役かっているのです!
シヴリーはパリ・コミューンの際に投獄されてしまうのですが、そこでドビュッシーの父親と知り合ったことがきっかけで、ドビュッシーは彼の母親にピアノを習い、パリ音楽院へ入学することが出来たのです。キャバレーを巡る音楽家たちの数奇な交流が垣間見えるようなエピソードですね。

そして『聖アントワーヌの誘惑』同様、『星への歩み』についても、東京芸術大学音楽学部のご協力のもと、当時使用された音楽を演奏、録音し、影絵芝居用のイラストと一体化した再現映像の制作を試みました!!
沢山の方にご協力して頂きつつ過去の作品を復元していく過程は、企画協力という立場ながらとても勉強になり、楽しい作業でした。
会場にお越しいただく皆さまにも満喫していただければ幸いです。

次回からはいよいよ、再現映像の制作過程をご紹介いたします!


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