革装の本

2019-08-04 | 日記

            

堀口大學 (1892-1981) の詩集『東天の虹』(昭和51年 彌生書房刊) 。版画家・吉田穂高 (1926-1995) の7枚のすべてにサインを入れた挿画 (木版) がページのところどころに綴じられてある。版画家の両親も共に著名な木版画家である。詩は37編を掲載する。「歌のいずみ」という詩を紹介する。

    

                    喜怒哀楽の

                    それぞれに

                    色とりどりの

                    声があり   

                    それがわたしに

                    歌わせる

 

大學の使う詩語は、割と日常語に近くて、また地口のようなものも入れていてユーモラスな感じがする。時には大胆な “エロ” い文字も詩文に入れて、結構日本語の「軽み」や「掛詞」のようなダブルイメージを想像させて、僕はこういう日本語も好きである。漢語がちりばめられた詩文もいいが、大學の何だかとてもオシャレチックな詩文も好きなのである。余白がページの90%以上はあろうかと思わせる本に高価な価格を付けるのは「いかがなものか」と。しかしそうではなく、逆に、この余白に広がる詩文の余韻を楽しむには、やはり「90」は欲しいとこだろう。いい本は余白がものを言う。

 


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