「 … そして人生について 」

2018-12-17 | 日記

           

マルセル・デュシャン (1887-1968) の『 アフタヌーン・インタヴューズ 』を読む。掲載した本の写真がちょっとボケてしまったが、これもまた僕のいい加減さで、ま、ご寛恕願うとしまして、ところでこの表紙のデュシャンの写真をとても気に入っているのである。本の内容も内容で面白いのだが、どうもこの写真が気になっていて、この本の副題になっている「アート、アーティスト、そして人生について」という言葉がこの写真から発せられているのである。撮った写真家はアーノルド・ニューマン (1918-2006) である。家にはストラビンスキーを撮ったニューマンの展覧会ポスターを掛けているが、このデュシャンのポートレートのポスターはないのだろうか。本文を読む前にこういうことがあって、それを書いて見た。
さて、本文なのだがデュシャンはインタビュアーのカルヴィン・トムキンズの「アーティストは自分を至高の存在だと考えるべきではない、と言うのですね。」という質問に答えて曰く。

そう、絵というのは見物人 (ここでデュシャンは「鑑賞者」という語を避けている) との相互作用で出来ていく、ということ。それなしには、屋根裏にしまい込まれて消えてしまうでしょう。じっさいにアート作品が存在するということはなくなるでしょう。いつもふたつの極が基本にある。見物人と、つくる人。その双極作用が散らす火花が、何かを産み落とす — 電気みたいに。アーティストが思考を生産するからといって、アーティストは偉大な思考者だ、なんて言っちゃあいけない。見物人が「 何かしらすばらしいものをつくりましたね 」と言うまでは、アーティストは何も生産していない。決め手のひとことを吐くのは見物人なんです。

これを書いているのは今夜で、また寝床に入って続きを読もう、と思う。雨も大分降っているようだ。雨音が激しく音をたてているのが屋根で分かる。そう言えば、先ほどなんかは相当な大きな音の雷が鳴っていたから、雪の予兆だろうか。いずれにしてもここまでくれば、雪が降ってもおかしくないから予兆でも何でも、冬の寝床の中の読書は快適なのである。

 


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