一日こんな色の日曜日である。朝から夕方まで雨が降ったり、雪が降ったり、グレー色の天気だった。こんな日は家に閉じこもるのがいい。何するのでもなく、他の人のブログを見たり本なんか片付けたりしてただボンヤリ過ごすのである。こんな山奥の村だから全てがボンヤリと移って行くから、やっぱりいつの間にかもう夕方になるのである。
今日は 『 雨の慕情 』 ( 作詞・阿久悠 作曲・浜圭介 編曲・前田俊明 ) を聴いた。 「 くもり空ならいつも逢いたい 雨々ふれふれもっとふれ 」 と言う。これも名曲だね … 。
「 ふる 」 と言えば三好達治 ( 1900-1964 ) の詩集 『 測量船 』 ( 1930年出版 ) に 「 乳母車 」 という詩がある。この詩は母への慕情である。慕情はまた、「 逢いたい 」 と切に願う不在のものへの呼びかけなんだろうね … 。
母よ ―
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり
時はたそがれ
母よ 私の乳母車を押せ
泣きぬれる夕陽にむかつて
轔々(りんりん)と私の乳母車を押せ
赤い総(ふさ)ある天鵞絨(びろおど)の帽子を
つめたき額にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空を渡るなり
淡くかなしきもののふる
紫陽花いろのもののふる道
母よ 私は知つてゐる
この道は遠く遠くはてしない道