ART&CRAFT forum

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編む植物図鑑⑨『ラフィア、ミョウガ』 高宮紀子

2017-11-10 10:42:32 | 高宮紀子
◆写真2  草ビロード(クバ・ヴェルベット)

2008年10月10日発行のART&CRAFT FORUM 50号に掲載した記事を改めて下記します。

編む植物図鑑⑨『ラフィア、ミョウガ』 高宮紀子

 ◆ラフィア:ヤシ科
 2008年の東京テキスタイル研究所のかごの夏期講習は素材を徹底研究してみようということでラフィアを取りあげました。輸入された素材でありながら園芸やラッピング用品として比較的簡単に手に入る素材です。そのままのベージュ色の他、いろいろな色に染めたものを売っています。以前は水に濡れたような光沢の防燃加工された柔らかいラフィアを見かけましたが、今は違う技術で処理しているのか、みかけなくなりました。

◆写真1

 写真1は造園会社が輸入したもので、硬い葉の端っこが少し残っていました。ラフィアはもともと接木の枝同士をぐるぐる巻いて繋げるために輸入されましたが、ラッピング用や織物、編み糸、刺繍糸にしてもいいということで、ラフィアを使った製品が作られるようになりました。日本にラフィアがいつ入ってきたのかはわかりませんが、大正時代から続く佐原市のイシイクラフトという会社で今も織物や刺繍製品が製造され、千葉県の指定伝統的工芸品になっています。
昔、ラフィアをまねた人工繊維の編み糸が販売されていて、私もバックを作ったことを覚えています。たくさん穴のあいたプラスチック板に刺繍のように通していく方法で作るのですが、その頃のものはいかにも人工といった感じでした。今ではペーパーラフィア(紙製)やラフィーという編み糸が売られています。どちらもラフィアのようです。

 さて、今度は本物の話、ラフィアというのはヤシ科です。ラフィアは属名で、20種類あります。その種は中央、南アメリカ、そしてマダガスカルに見られます。私が集めた資料には(疑わしいインターネット資料が含まれていますが)アフリカの他の地域にも生育しているようです。ラフィア属の中には葉の長さが20mに成長するのがあり、ヤシ科の中でも一番巨大な種と言われています。たいがいのヤシの木がそうであるように、葉、葉柄、実など全てが利用され、屋根材などの建築材、編み組み品、お酒や食料などを作ります。ラフィアの繊維をとるのはその中の数種。まだ開いていない若い葉のクチクラ層の薄い膜をとります。はがした時は透明で、日光に当てて乾燥するとクリーム色になるそうです。ややこしいのは東南アジアのBuriと呼ばれるCorypha属のヤシ。この木からも繊維がとれ、ラフィアと呼んでいます。

 日本では園芸用のラフィアの印象しかありませんが、同じ素材で作られたアフリカの民具が売られています。写真2は旧ザイールのクバ族が作ったテキスタイル、クバ・ヴェルベットと呼ばれるものです。これはラフィアで織られた地に細かく裂いたラフィアをパイル刺繍していったもの。全体を埋めるようにいろいろなパターンを刺繍しますが、この刺繍のパターンには意味があり、所有者の社会的な地位を表現していると言われています。以前に日本でも草ビロードと紹介され注目されました。もともと腰巻から発展したようですが、刺繍が施されたものはその技術の難しいものほど価値が高く、王座やベッドの上にかけられ、その権威を表したようです。

◆写真3

 写真3は織った地にラフィアの細かい房がついているもので、桑原せつ子氏が北欧のお土産として下さったもの。草ビロードと同じくラフィアで織った地に細いラフィアの束が付いていますが、刺繍と違って束を組織に通して絡めて留めています。ラフィアの房の微妙な色の違いが美しいものです。

◆写真4

 写真4はカメルーンのラフィアバッグです。細かく長方形に織ったものを二つにして側面を縫い、袋にしています。バッグの縁で端に残ったタテ材をしまつして、そのまま三つ編みの持ち手へと繋げています。このバックはシンプルなただの入れ物といったふうですが、同じバッグに特別な刺繍が施されたものがあることを知りました。写真5はその一つ。真ん中に房がどんとある、使いづらそうなバッグですが、この房は持つ人の格式を表しているようで、これらの特別なバッグについては研究者の井関和代氏が国立民族学博物館から出版されている『民族学』などで詳しく述べています。

◆写真5

◆写真6

 3日間の夏期講習(写真6)では、このようなラフィアをどのように扱えば、作品や製品になるだろうか、というテーマで実験と作品作りをしてもらいました。ラフィアにはどうしても民芸品のイメージがある、というUさんからの意見がありました。なるほど、世界の民芸品を売っている店に行くとたいがいラフィア製品があります。ですからどうしたら既存のイメージを打開できるかということも問題でした。
現代的なバスケタリーの作品でラフィアが主役の作品といえば、アメリカのエド ロスバックのラフィアを撚ったかごの形をした作品を思い出します。ラフィアで自立した立体ができることを知り感動しました。他には同じくアメリカのナンシー モアー ベスさんの小さなかごの作品に使われていたように思います。
京都の小西誠二さんはラフィアを使ったコイリングの作品を長い間ずっと作ってこられました。コイリングは芯材と巻き材の二種類を必要としますが、どれもラフィアで作っておられ、いつも作品キャプションにはラフィア100%とあります。最近、ついにマダガスカルにも足を運ばれたと聞きました。

◆写真7

私の場合、ラフィアといって唯一思い出すのは、写真7の作品の続編。写真の作品は籐を芯にしてとうもろこしの皮で巻いたのですが、次の作品をラフィアで作りました。でもその後続いていません。今度の夏期講習では自分のためにもラフィアに取り組みたかったのです。

 ラフィアは編み材として便利で、どんな編み方にも対応できますが、その自由な点が主役にしにくい、かえって抵抗のある素材の方が何かを発見するきっかけになるような気がします。何にでも使えるラフィアに対して“ラフィアでないとできない”ことを見つけるのは容易ではありませんが、ラフィアでこんなこともできる、という観点で探していくと、少しずつ道は開けるような気がします。一つの素材を改めて見直し、自分との関係を構築するのは作る上でもっとも楽しいことだと思います。講習では縄の発展したもの、既存の編み方をラフィアでトライしたものが並びました。

◆写真8

◆ミョウガ:ショウガ科
 今年の夏は亜熱帯なみの暑さが続きました。最近は涼しくなりましたが、私の庭のミョウガ(写真8)もそろそろ暑さにくたびれて、傾きかけています。先日繊維をとりました。この植物は、どこまでが繊維なのかはっきりしないのが特徴です。表面の皮を剥ぐと、ある程度の長さで剥げますが、どんどんたまねぎの皮のように剥けて最後は茎の真ん中が残ります。その真ん中も乾かすと丈夫な繊維の束になります。

◆写真9

今回は葉と茎の部分に分けて乾燥させました。そうすると二種類の性質のものが得られるからです。写真9は乾燥したもので、左の白いのが茎の繊維。右が葉です。茎の繊維は非常に細くても丈夫ですが、葉の方は耐久性がさほど無いものの、柔らかい縄になります。乾燥させた後、たいがいの場合は何か作ってしまいます。このまま素材のままで保存すると、どうしても虫の餌食になったり、葉先がもろくなってしまうからです。今年は縄にして『無人島ジュエリーシリーズ』を作っています。コンセプトは“超素朴”ですが、縄でできることや、その植物の繊維の性質をなるべく縄に残したいと思っています。

 アート&クラフトの『編む植物図鑑』のシリーズは2006年の10月から書き始めました。植物図鑑といえば、30年前に牧野富太郎著の植物図鑑を紹介され、その当時よく見ていました。今では既に分類や科、種名が違っているものがあるのですが、繊維植物の利用方法が少し載っていて重宝しました。
その頃から繊維植物の自分なりの図鑑がいつか作れたらと思い資料を集めてきました。織物の糸にする方法の資料はあるけれど、バスケタリーのように繊維の使い方が幅広い場合は、もっと個人的な体験に基づく知識が必要になってきます。研究所でかごのクラスを教えるようになって、どうしたら素材探しの面白さが伝わるだろうかと思い、見慣れた素材の加工方法を工夫したり、雑草などそれまで使われなかったものをかごの素材に用いるようにしました。また自分の創作活動で得られた植物に関する知識を、インターネットの自分のウエブサイト“かご・アイデアの器:バスケタリー”(http://www001.upp.so-net.ne.jp/basketry-idea/)の中の『かごの植物図鑑』で少しですが紹介しています。『かごの植物図鑑』ではそれぞれの植物に関する記事が独立しているのですが、それらの記事にエッセーを加えてつなげてみようと『編む植物図鑑』を書き始めました。読み物としての評価には自信がありませんが、これからもどこかで書き続けられたらと思っています。

編む植物図鑑⑧ 『イラクサ科、ヤナギ科』 高宮紀子

2017-10-28 13:21:16 | 高宮紀子
◆写真 2 チョマでの作品 1995

◆写真 1カラムシ

◆写真 3

◆写真 4

◆写真 5

◆写真 6

◆写真 7

◆写真 8

2008年7月10日発行のART&CRAFT FORUM 49号に掲載した記事を改めて下記します。

編む植物図鑑⑧ 『イラクサ科、ヤナギ科』 高宮紀子

 ◆カラムシ:
 イラクサ科の仲間には、伝統的に繊維を採ってきた種類があります。栽培されるカラムシ、その他、野山に自生するイラクサ、アカソ、クサコアカソ、などがあります。イラクサは防御のための刺毛(しもう)があり、手が痒くなりますが、カラムシにはありません。ですから繊維をとるのも容易です。チョマという呼び名があり、その違いをよく聞かれますが、栽培されるカラムシの仲間のことだそうです。このカラムシには二種類、葉の裏が白いもの(毛が生えている)とそうでないものがあります。それぞれ温帯と熱帯に住み分けています

 1995年ごろチョマの繊維で作品を作っていました。(写真)この繊維は輸入されたものを買ったもの。フィリッピン産と聞きました。日本のカラムシと違って長く、繊維がしっかりしています。熱帯産のカラムシの繊維かもしれません。

 数年前に、二人の友人から根つきのからむしをもらい畑に植えています。(写真3)以前から庭に自然に生えたものがあったのですが、日照不足のためひょろひょろで繊維をとるにはあまりにもかわいそう。繊維は柔らかいかもしれませんが、使えませんでした。

カラムシは、友人の住むそれぞれの地元、伊豆産と千葉産でした。隣に植えたら、その後に一緒になり今はどちらのものか分からなくなっています。二人の自慢のカラムシとあって、ものすごく早く成長し、茎も太くなります。

 冬の終わりごろから今年も芽が出始め、5月現在で1.5mの背丈です。先日の台風で何本かが倒れてしまいましたが、全体を紐で縛って育てています。

 カラムシは枝を切って皮を剥ぎます。一年に三回切って繊維を得る方法もあるようですが、私は糸にするわけではないので、夏の終わりごろまで切りません。写真4はカラムシの外皮を剥いている所。水をあげている時期なら簡単に皮を剥くことができます。皮は簡単に剥げるのですが、糸にするには甘皮を引く(取る)作業が必要です。甘皮を削り取るようにナイフのようなもので引きます。甘皮を引くのは大変ですが、さらに晒して美しい繊維にすることができます。私は甘皮つきで使ったり他の方法を試しています。またいつかご報告できたらと思っています。

 今の時期、カラムシにはわき芽がたくさん出てきます。これを放っておくと、分岐が始まり、先がどんどん分かれて細くなります。それでわき芽を切っています。畑でこんなことしているのは自分だけだろうなと思いながら少しでも皮が厚くなるよう知恵を絞っています。

◆ヤナギ科:
 「編む植物図鑑」の一番目がヤナギでした。シリーズでは編む植物の面白さをかごの話や体験を通して伝えられればと思って書いています。今回、ヤナギの続きを加えます。

 一回目で夏期講習用にオランダヤナギを送ってもらいかごを作った話をしましたが、先日、この時にお世話になったTさんからシダレヤナギを切るが樹皮をとるかい?、との連絡がありました。さっそく研究所のかごクラスの生徒さんと一緒にうかがいました。

 Tさんの畑には何十種類のシダレヤナギが植わっています。日本各地から集めた枝を挿し木で植えて、種類と数を増やしていかれたそうで、シダレヤナギの図鑑みたいな畑になっています。

 Tさんによると一つ一つ、葉の長さ、色、枝のしだれ方が違うとのことですが、素人の私には言われてみて納得する程度です。ともかくその中の何本かを電動のこぎりでばんばん切ってくださるのを、追いつけない!と思いながら皆で一緒に少しずつ皮を剥きました。

 ヤナギは枝と樹皮を編む素材に使います。シダレヤナギの枝はかごの伝統的な素材ではありませんが、柔らかい種類であれば編むことができます。生のうちなら結ぶこともできる柔らかさです。

 ヤナギの皮を剥ぐのはとても簡単です。木部と樹皮が離れて剥きやすい。気持ちよいほどよく剥けます。これまでも幾度も剥いたことがありましたが、太くても直径5cmぐらいの直径の枝の皮ばかりでした。

 今回のシダレヤナギの幹は太いところで直径20cmを超えていましたから、太い所は剥きにくいだろうな、と考えていました。樹木の皮は根元にいくほど厚いですからほとんど一人の力だと剥けないことが多い。

 それでも試しに根元の方を剥いでみると、力は必要ですが簡単にどんどん剥げるということがわかりました。(写真5)外側はコルク質のようにかさかさしていて、ぼろぼろ落ちますが、白っぽい内皮は層になって厚い靭皮を作っていました。しかもしなやかでした。

 太い根元ほど靭皮が厚いのですが、外側の皮(写真6)と靭皮層が一緒に剥がれるので、後から外側の皮だけを取ってみました。なかなか取れないところもありましたが、カッターなどで削ると靭皮層が現れます。(写真7)この繊維は長く強く編めそうでした。

 あれから一ヶ月が過ぎようとしています。今ではすっかり乾燥し硬くしっかりした厚い皮になりました。細めの枝からとった樹皮もきれいな色をしています。ヤナギの皮としては珍しいグレーがかかったきれいな色です。ただし、自然の色は変色するので、この色をたのみには作品はできませんが。

 ここに皆さんに紹介したいヤナギのかごの本があります。きっかけは数ヶ月前スイスから送られてきたメールです。2006年にデンマークで会った人からだったのですが、馬のクツを探しているとのことでした。そこで知り合いに頼んで藁製の馬のクツ(当然今も使われています。)を取り寄せて写真を送ったら、博物館に展示したいと言われ送りました。この時、馬のクツの代金の代わりに同額のかごに関係するものをと伝えたら、一冊の本“Willow Basketry”(写真8)が送られてきました。

 この本は, Bernard and Regula Verdet-Fierzという夫妻が書いたもので、ヤナギのかごについての本です。

 まず開いてみてイラストが新鮮に思えました。この本で使われているイラストは全て表紙にあるような白黒の版画でした。奥さんによるものとのことですが、日ごろから細部まで映し出すカラー写真に慣れている私にとって、この絵は新鮮でした。同じ本を以前見たことがあるのですが、英語版が出版され再会することができました。

 本の中身は、イラストと同様、しゃれています。かごの作業場所はこういうふうにしたらいいよ、というアドヴァイスやヤナギの育て方、ヤナギの種類やそれ以外の籠の素材についても書いています。道具の紹介もあるのですが、一番の道具はあなたの手です、とあります。作り方がメインでなく、読んでいて落ち着くというか、せかせかして技術ばかりに興味がいく、そんな気持ちを忘れさせてくれます。

 この本によると、素材の特定はないのですが、ヨーロッパではおよそ7000B.C.の旧石器時代にはいろいろな編み方がすでにあったようです。ヤナギを使いだしたのはずっと後のようでチューリッヒの後期青銅時代、約850年B.C.の遺跡でコリヤナギで編んだ組織が残っていると紹介しています。青銅時代の放射状に編まれたかごの底が出土しているようですが、この素材はヤナギより柔らかい素材だったようです。ただ編み方は現在ヤナギで使われる方法と同じだとか。

 別の資料によればイギリスでは、最初にヤナギが栽培された記述が残っているのがA.D.になってから。それから何世紀をかけて、数百種のヤナギが栽培されるようになったようです。その後、市場などで果物や野菜の運搬容器やメジャーとして利用されるようになり、かごの需要が増して、後世にはかごを作る職業が現れました。

 産業革命後、次々と機械化される製品の中で、かごは唯一、手で作り出す工芸の一つとなってしまいました。イギリスでもいまやアジア、ポーランドなどからの輸入物が多いと聞いています。

編む植物図鑑 ⑦ 『ヤシ科』  高宮紀子

2017-10-19 09:37:45 | 高宮紀子
◆写真 5 ココヤシの帽子

◆写真 1

◆写真 2

◆写真 3

◆写真 4

◆写真 6

◆写真 7

◆写真 8

◆写真 9

◆写真 10

2008年4月10日発行のART&CRAFT FORUM 48号に掲載した記事を改めて下記します。

 編む植物図鑑 ⑦ 『ヤシ科』  高宮紀子

 ヤシ科の植物は編み組みに多く使われています。私が知っているだけのヤシ科の編み組み品を並べても全体から見ればほんの僅かであると思います。今回はその僅かな種類を紹介します。

 ◆ トウ:
 昔から使われてきたかごの素材にトウがあります。これもヤシ科の植物です。皆さんのお家の中にトウ製のかごや家具をお持ちの方がおられるかもしれません。トウで様々な生活道具が日本でも作られてきました。
 トウはつる性のヤシで、東南アジア、南アメリカ、アフリカの一部に分布していますが、素材としても輸出されています。その種類が多いこと。なんでも東南アジアだけでも600種があるとか。日本では残念ながら植物園の温室でしか生育しているのを見たことがありません。
 写真1はカンボジアからの絵ハガキ。Iさんから旅の思い出とともに送られてきました。この辺は竹類も豊富なので、周りに見えるかごは竹かごのようです。写真の真ん中にトウらしきものを抱えている人が見えます。トウはその太さにもいろいろな種類があるので、加工方法もいろいろでしょうが、写真のようなものですと、まず棘がついた外側の皮を取り乾燥させて材料にします。トウの素材としての特徴は水に浸けると柔らかくなること、柔軟性があること、そして長さです。植物としての長さも別格で100メートルを超えるものもあるとか。
 写真2は昔よく見かけた日本のお風呂屋さんの脱衣かご。池袋で今も作られているところを見せてもらいました。使用しているのはインドネシアから輸入された太いトウ。色や太さ、長さにばらつきがいろいろで、いいかごにするのには素材を選ぶことから始まるとか、編むのは体力勝負なたいへんな労働ですが、水気に強く丈夫なかごです。
 竹かごもそうですが、もともとトウ製品は職人さんの領域でした。その後、編むことが好きな人の需要も高まりました。浅草橋に小西貿易というトウの問屋さんがあります。小売りもしていて、店の中にはものすごくトウに詳しい店員さんがいます。ここで扱うトウは太いものから細いものまでいろいろですが、ベニトウという違う種類も扱っています。弾力性のあるトウで光沢のある皮がついています。

◆ シュロ:
 写真3.日本でもっとも身近なヤシ科の植物だとシュロがあげられるでしょう。昔からその繊維でシュロ縄、タワシ、箒、その他、かごや帽子、蓑が作られています。近畿地方だと和歌山のシュロ箒が有名で今でも愛好家が多いです。値段が高く高級品ですが、使った人によると掃除機よりいいとか。他に九州などにもたくさんの民具があります。
シュロの葉を編んで作られたのが蝿たたき。柄つきのまま、葉を少し編んで面を作って作りました。
 長くて丈夫な葉は子供達の虫かご作りなどに大活躍。今はバッタやコオロギを編む人の素材にもなっています。
 シュロの樹は以前から比べるとずいぶんと関東でも当たり前のように見かけるようになりました。これも温暖化のせいでしょう。シュロをよく使う人に聞くと、シュロの中にも葉が大きく広がっていて硬く葉先が折れていないものがあるとか。トウジュロ、ワジュロという種類の差か、と最初は思っていました。でも生えている場所によっても編みやすいものがあるらしいということがわかったのは最近。バスケタリーのクラスの生徒さんのMさんのは柔らかく編みやすい静岡産でした。

◆ クバ:
 沖縄、小笠原などにビロウというヤシがあります。別名クバといい、いろいろな生活道具が作られていました。写真4のように柄をつけたまま、葉を丸く形づくって水汲みに使ったり、マットや団扇や笠、かご、鍋なども作ります。沖縄に行かれた方なら、ひょっとしてクバの葉を伸ばして乾燥させて団扇を作る工程をご覧になった方がいるかもしれません。
 クバはシュロと葉が似ていますが、シュロと違って根元まで葉と葉の間が裂けていません。それなので、くるっと葉を巻いて止めつけるだけで鍋や柄杓ができてしまう便利な素材です。

◆ ココヤシ:
 南方のいろいろなところでは大活躍の植物です。住んでいる人が家族用、自分用の樹を所有しているとか。ご存知の通り、実は食用になります。この実の皮はほとんど繊維質なので、縄を作ったり、たわし、敷物などの生活用具を作ります。ほかに燃料などに使われますが、葉は屋根材、マット類の他、即席のかごを組む無くてはならない素材です。写真5はココヤシの葉の軸を縦に裂いてそのまま葉を取らずに組んで編んだ帽子です。ハワイに滞在した時に拾った葉で作りました。この帽子は縁から組んで、真ん中のトップを編み、また縁側へ端を出して終わるという面白い編み方で作られています。ココヤシは葉が大きいため、このように葉の真ん中の軸をそのまま残すという特徴的な編み方で、たくさんのかごが作られています。

◆ パンダナス:
 写真6はハワイ島の岬です。ここへは2002年にビジティング アーティストで一ヶ月ほど滞在しました。写真の下の崖にへばりつくように生えているのがパンダナス、ラウハラと呼ばれています。このパンダナスには種類があり、山にも生えているものがあります。海辺のものは質がいいとされていますが、樹としては小さいもので葉も硬い。
 葉を使っていろいろなかご、帽子類、マット類などが作られています。

 葉には鋭いとげがあるため(写真7)、葉の加工に時間がかかります。棘は葉の両端、真ん中にもあってこれをまずナイフで削り取ることから始まります。
 棘を取った後は平らになるようにローラーをかけて乾燥させます。それを均一の幅に切ってかごなどを編む素材にします。(写真8)編み手の庭には必ず1本は植わっていて、作業小屋が近くにあります。乾燥させるのはもっぱら小屋の中。たくさんの材が天井から下がっています。
 ハワイ島ではコーヒーの栽培が盛んで、ひじょうに質のよいコーヒー豆、例えばコナコーヒーなどを産出します。この事業を手伝うため、多くの日本人が移住しました。コーヒーの実は赤くなってから摘み取るのですが、実ごとに赤くなるタイミングが違います。だから手で判断しながら摘み取ります。高い所ははしごに登って、腰から下げたコーヒーバスケットに摘み取った実を入れました。
 おじゃましたお家の納屋にラウハラ製のコーヒーバスケットが残っていました。写真のはずいぶん昔のもので、歴史を感じさせます。(写真9)
 写真10はラウハラとココヤシのかご作りなどを紹介した私のバイブル的な本です。写真11はラウハラ製の団扇と亀。小さなものですが、きちんと組むのは以外と難しい。ラウハラ製の帽子の材は5mm幅、またはそれ以下の細い材を使うので組むのも大変です。ハワイのネイティブの編み手には州の日本でいえば人間国宝がいます。
 ハワイ島での一ヶ月は驚きの連続でした。自然に驚き、そして植物を楽しみ、またそこに住む人と出会うというのは自分の考え方、生き方を豊かにしてくれます。日本でもいろいろな編み手の方とお会いしたいところですが、時々難しい問題がある場合もあります。外国では私自身が外国人だということで珍しがってもらえるということが手伝っているのだと思いました。

編む植物図鑑 ⑥『イギリス編』 高宮紀子

2017-10-08 10:25:49 | 高宮紀子
◆写真 6  パピルス製のエジプトのかご(ケンブリッジの博物館)

◆写真 1

◆写真 2

◆写真 3

◆写真 4

◆写真 5

◆写真 7

◆写真 8

◆写真 9

◆写真 10

◆写真 11

2008年1月10日発行のART&CRAFT FORUM 47号に掲載した記事を改めて下記します。

 編む植物図鑑 ⑥『イギリス編』 高宮紀子

前回も書きましたが、今年の夏、イギリスに一ヶ月ぐらい滞在しました。
 
 一枚目の写真はキューガーデンの美しい温室です。有名だから行かれた方もおられると思います。イギリスはご存知の通り、博物的な物の集め方のメッカです。博物的な物の集め方をするのは、作っている人に多い気がします。私もその一人ですが、このキューガーデンでも夢のような収蔵庫がありました。この話は後ほどします。

 イギリスに行ったと書きましたが、実際には作品を出品している展覧会が行われたスコットランドから始まり、イギリス国内三箇所に滞在、そしてアイルランドに行きました。

 前回はかごのワークショップをしたこと、そして、苦労したけれど藁をなんとか持ち込んだというお話を書きました。ワークショップは全部で三箇所、それぞれで行いました。スコットランドのグラスゴーのコリンズギャラリー、そしてケント、最後にオックスフォードから車でしばらく走ったハートフォードシャーという所で行いました。

 ワークショップのうち二つは2日間のコース、一つは1日のクラスでした。参加した人というのは、かごを趣味で編んでいる人、またはバスケットメーカー、アーティストの人達でした。用意した藁を材料に使ったのですが、なんせ持ちこめる量がそれほど多くない。そこで、二日間のコースでは、手持ちの他の素材があれば持ってきて下さい、とお願いしておきました。

 イギリス、そしてスコットランドといえば、まずはヤナギのかごが頭に浮かびます。写真2は私がケンブリッジ市内をブリブリ走った貸し自転車です。これについていたのはヤナギのかご。おそらく中国製かポーランド製かもしれませんが、当たり前のようにヤナギのかごがついている所が面白い。

 イギリス、ヨーロッパはかごを編むヤナギの種類がたくさんあり、その加工方法もいろいろあります。西の方でヤナギを栽培している有名な一家もいて、容易に材料が手に入ります。でも今回はそれ以外の材料とも出会いたい、と思っていました。国内では湿地がたくさん見受けられ、ガマ、カヤツリグサの仲間もたくさん使われています。この他、名前がわかりませんがひどい匂いがする草、イネ科のような草、樹木はオーク、シラカバなど、たくさんの素材があります。

 残念ながら素材を栽培している所には行かれなかったのですが、ワークショップに参加した人からいろいろと教えてもらいました。スコットランドで行ったワークショップでは、デンマークのバスケットメーカー、エヴァさんと再会しました。彼女とは以前、デンマークの彼女の家で行われたビッグウイローズ デイというヤナギのかごのお祭りの際、ワークショップをさせてもらったという関係でした。

 彼女はヤナギのかごを編むバスケットメーカーですが、いろいろな技法も勉強していて、特にアフリカのかごの技法に興味があります。その一つが、フランスの地方のかごを編む方法と操作方法が似ていたため、二つの技法を関係づける本を書いたぐらいです。その彼女がワークショップで使っていたのが写真3のヤナギの枝。太さは1mmぐらいの細さで30cmぐらいの長さのものです。これで材料として売っているようです。細くても柔軟なので、水につけて編むことができ、折れません。

ケントのワークショップで出会った素材はイグサの仲間。小さいものが近くに生えていました(写真4)。ワークショップの会場は牧場。芝生の上の青空教室でした。

 写真では見えづらいのですが、先に花がついています。草は柔らかく編むことができます。名前はジャンカスと呼ばれていました。

 写真5は参加者が作ったガマと麦で作られた吊るしです。最初に藁で唐辛子などを吊しておく吊るしを作ったのですが、手持ちの素材で同じ技法を試してみたもの。中央を編んでいるのは麦、横に並んでいるものがガマの茎です。これも柔らかく編むことができます。伝統的な素材で、長く三つ編みにして履物、マット類などを作ります。

 イギリスの博物館ではアフリカの編み組み品の展示が充実しているような気がします。ケンブリッジの小さな博物館にも紀元前に作られたパピルス製、エジプトのかごが展示されています。写真6がその一つ。レプリカかもしれませんが、コイリング(巻き上げ編み)のかごです。ところどころ編み目が切れて芯が見えていますね。これは私が昔作ったかごと同じです。私はわざと芯が見えるように作ったのですが、結果は同じ。つまり、かごで地球上には新しいことは何もない、ただ現代人は表現方法にこだわっているのにすぎない、と言えるかもしれません。でもそれだから楽しい。それだけ一個人の行為が人間の歴史に繋がっていられるという思いです。

 さて、キューガーデンの話にもどります。この構内の中にKew Economic Botany Collectionsの収蔵庫があるのですが、友人のおかげでその収蔵庫に入れてもらいました。冷蔵庫なみに寒いその中で夢のようなコレクションを見たのです。写真がおもうように撮れなかったのが残念ですが。引き出しがいっぱいついたロッカーが並んでいて、その一つ一つに植物とその繊維や加工された素材、そして同植物から作られた世界中から集められたテキスタイル、編み組み品などが詰まっています。一つの引き出しはそれほど、深くはありませんから、同じ植物で複数引き出しがあります。世界中の植物からいろいろな繊維や素材が取れること、たくさんの地域の編み組み品があることが見てとれるのです。

 写真7はチャイナ グラスという植物の引き出し、皮か繊維で編まれたものが入っています。そして写真8は麦です。日本にも麦稈細工がありますから、どういうものかは分かっていただけると思います。入れ物、袋類、帽子などが作られていますが、とても細かく繊細です。1本の麦の稈(茎)を何本かに分ける道具もあって、細い編み紐を編むことができます。

 このコレクションはWilliam Hookerという人が1841年に設立したと書いてあります。困難を極める現地への探検を通じて集められたコレクションが充実していました。キューガーデンでは、植物に関する本がたくさん出ていますが、編み組みに関する本もあり、このコレクションに関する本も出版されています(写真9)。写真はコルク製の帽子。

 ワークショップで出会った人が話していたのですが、イギリスには工芸が無い、だから他の文化の工芸を取り込んだ、という話をしていました。麦稈やかご作りの工芸はあったでしょうが、現在、かごなどはヨーロッパの他の国や中国などからの輸入に頼っているのが現状です。

 すでにかごを使う生活は日本と同様ありませんが、昔は写真10のように家具もかご編みの技法でできていた時代がありました。この椅子は巻き上げの背もたれが付いています。このスタイルでたくさん作られた時代があったようです。

 イギリスも日本と同様、これからの工芸の将来に希望と不安を抱えています。

 最後に、編んだものではありませんが、ケンブリッジでみかけたお菓子の写真を皆さんに紹介します。これはメレンゲのお菓子。直径10cmはありそうな大きさでした。あまりの大きさで買えませんでしたが、どこかオブジェのようにも見えました。

編む植物図鑑 ⑤『イネ科』 高宮紀子

2017-09-30 09:26:07 | 高宮紀子
◆写真 3 リードハウス

◆写真 1

◆写真 2

◆写真 4 チカラシバ

◆写真 5 虫かご

2007年10月10日発行のART&CRAFT FORUM 46号に掲載した記事を改めて下記します。

編む植物図鑑 ⑤『イネ科』 高宮紀子

 ◆イネ:イネ科イネ属
食料として栽培されると同時に本体も使うという有用植物です。茎を乾燥させて藁にして編みます。イネを刈り取った後、天日で乾燥させるのですが、この行程は大変手間がかかる。少しでも雨にあたるとシミやカビが生えるからです。
バケツやプラスチックの箱でも生育可能ですが、私の家では大概、苗を植えすぎて共倒れになってしまいます。今年もバケツに植えた稲が熱帯のような猛暑にもがんばって居残り、やせた実をつけています。これは注連縄の分として活躍しそうです。花が咲く前、実を取らないで刈ってしまう藁というのがあります。実とらずと呼び、注連縄などに使われます。青くきれいだし、柔らかいという性質があります。

稲にはたくさんの種類があります。改良されてどんどん背が低く、実がたくさん実る種になってきました。だから江戸時代の藁とは違うはず。一般にはモチゴメ、ウルチマイといって粘りの違いで分けています。藁細工にはモチゴメがいいとされて、その理由は繊維が柔軟だからだそうですが、稲の種類によって長さも太さも違うので、なかなか判定がむつかしい。でも昔からそう言われています。
関東のある農家では注連縄専用の種類を生育しています。このイネは長く、太いもので、他の種類とぜんぜん違います。材料としては市場には出回っていなく、注連縄などの商品になって売られます。

専門的なことはわかりませんが、イネは突然変異を起こしやすく色が出ることがあるようです。写真2は、いろいろな色の穂を研究している農家で見たもの。色は薄いグレーから赤茶、黄色いものから緑や紫のものなど、どれも日本的な美しい名前がついています。
今年の7月から25日間イギリスにいました。スコットランドで行われたイギリスと日本のかご製作者による展覧会のコンフェレンスに出席しました。日本からは美しい民具のかごから、現代的な作品を創作する竹の作家、そして私たちバスケタリーの仲間が出品しました。イギリスもヤナギのかごから現代的なアプローチの作品の出品で、素材はヤナギやカヤツリグサ科の植物などの自然素材、プラスチックや紙バンドも使われていて、中には自然素材とプラスチックを合わせた作品もありました。この展覧会ではワークショップが二つ行われ、一つはヤナギの現代的なアプローチのワークショップ、もう一つは縄ないから始まるワークショップで、私が担当しました。

どうせだったら、日本から藁を持ち込み、叩いてもらいたいと思い、日本から藁を送ることにしました。心配だったのが植物検疫。別々に送ったワークショップ3回分の藁がどのように検疫を通ったのか、わかりません。展示の一部として、あるいは注連縄のギフトで送ったことがよかったのか、とにかく無事にイギリスへ着きました。藁の輸入について、国によって厳しい規則を設けています。個人でも持っていっても輸入になります。日本では、お米を持ち帰ることは禁止、イギリスの検疫はヨーロッパ全域のルールに準じ、お米は禁止、汚れやカビなどは廃棄の対照になります。実際の判断は現場、つまり検疫官によって判断が違うことも大いにあるということです。スーパーで売っているような藁でしたら、おそらくだめだろう、そこで知人が育て、乾燥中も雨がかからなかった藁を送ってもらい、その束から注意深くお米を取り除きました。これでみかけはきれいな草状態。一枚目の写真がその藁です。向こうで伝えたかったのは、シンプルな縄ないの技術でいろいろな作品を作れること、また現地の素材に応用してイギリスの伝統的な素材や技術を見直してほしい、ということです。藁の技術は組む、捩る、織る、絡めるなどいろいろな基本動作を含んでいますが、最初は、つまり稲栽培が伝わった当初は、それまでの日本で使われてきた編みの技術が藁という新素材を得て、応用されていったと思うのです。だから藁細
工はバリエーションが深く面白いと思っています。

◆ヨシ;イネ科ヨシ属
滋賀県にいましたので、ヨシは長年見慣れていました。燃料、紙、筆の鞘、楽器、ペン、ヨシズ、屋根材など、いろいろ使われます。琵琶湖の湖岸のエリもこのヨシを使っています。何年か前、長浜で照明作品の展覧会に参加しました。作家の作品と、ヨシの茎を使った照明というテーマで、大学生の実験的な作品が展示されました。昔からいろいろな物を作ってきた植物ですが、湖の湖岸の整理でその場を失った時期もあります。現在は琵琶湖の浄化という分野からもこの植物にスポットライトが当たっています。
ヨシは茅葺き屋根の材料としても有名です。そのほか、ススキや藁、麦藁なども使われています。ヨーロッパでも茅葺き屋根の材料として使われます。
イラクにはヨシ(reed)の家があるとか。写真はイギリスのミュージアムで買った絵葉書です。(Pitt Rivers Museum,University of Oxford製)リードハウスという建物の内部ですが、どんな種類なのかは不明。でも長くて太い。琵琶湖のはせいぜい3mぐらい。一度行って見たいですが、きっと無理でしょう。ヨシズを活用している方もおられるかもしれません。東京にだって職人さんがいて無形文化財を受けています。編み台を使って編みますが、縦糸を巻くコモヅチの糸の巻き方が独特で工夫があったようです。聞いた話しでは、このヨシズ職人の巻き方を教わりにいったが、教えてくれない、そっと遠くから見ていたとのこと。コモヅチの打ち合う音が快く響く、そんないい時代があったようです。現在は機械で編む産地があります。

 ◆チカラシバ;イネ科チカラシバ属
今、ちょうど穂が出ています。庭に植えてみたら勢いよく伸びました。穂が出る前に葉をとって編み材にします。群生しているのを昔みかけましたが、だんだん少なくなってきた雑草の一つです。
穂が出ると硬いから、出る前に採れ、と聞きました。でも穂が出てみないとどれがチカラシバだかわからない。だいたいこの辺に去年あったからと思って探しても雑草は同じように見えます。そこで、庭で育ててみた。穂が出る前はほとんど同じイネ科の草がたくさんあります。よく見ていると、ほんの少しの違い、例えば葉の付け根に毛がないとか。葉鞘が平たい、あるいは時々色がある、などという違いがあるということがわかりました。

◆ムギ;イネ科オオムギ属
これは小麦の茎で作った虫かごモドキです。茎の長さは短いのですが、空洞だから、茎どうしを差し込んで繋ぐことができます。虫かごを編む技術はシンプルですが、繋ぐ方法が簡単だからこそできる、と思います。

◆タケ;イネ科タケ亜科
なんで竹がイネ科なのか不思議ですが、他の説もあるようです。例えばタケ科という人もいる。私は編む人だから、分類方法というより、自分とどう関わるかが問題です。それで竹縄の話を書きます。かごを編む時と同様に垂直に若い竹を割って一旦、乾燥させて水に長くつけて竹をへいで縄にないます。一気に書くと簡単なようですが、夏に刈って冬作業するたいへんな仕事です。ひじょうに丈夫で何かを縛る縄として活用しました。井戸のつるべ、藁屋根のしばり縄にも使われたそうです。このしばり縄、竹が豊富でないところは蔓、マンサクの枝などが代用されます。集めた資料によると、下駄の鼻緒にも使われた、とあります。

私の家の近くには竹かごを作って売っているお店がいくつかあります。偶然訪ねた竹かご屋さんは、造形作品を創作されている作家がやっておられた。現代的な作品を創作する作家の作品は注目を浴びていて、アメリカなどで展覧会が開かれます。私はかごの方法を使った造形を始めてから、バスケタリー展に参加していますが、数年前から現代的な造形作品を創作する竹の作家が参加しています。
そのバスケタリー展も今年で20回になります。よくも続けてこられたという気持ちと、成人式を終えたばかり、まだまだという気持ちの両方です。

(第20回バスケタリー展2007年の11月22日(木)~ 11月27日(火)墨田リバーサイドホールギャラリー、その後、伊丹市立工芸センター時:2007年12月12日(水)~2008年1月14日(月)に巡回)