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アーティストステートメント(2022 ギャラリー島田)

2022-02-12 13:31:00 | my 展覧会情報
制作を続けていると徐々に変化はしていくのですが、この1年は大きく変化したのだと思います。そのひとつが、怒りが制作の動機だったのですが、それを前面に押し出すのではなく、その事象を違う角度から眺めるようになった、ということです。

また今までは、怒り(悲しみ)など感じる出来事について考えを文章にしたため、凝縮したタイトルをつけたのちに制作を開始していました。それを手放し、無為に制作した後、作品を見つめてタイトルを呼び起こすようになりました。

以下、ステートメントです。

「人間の醜さ、愚かさ、浅ましさ、
それらが引き起こすイジメ、虐待、暴力、差別といった事件。不安定な社会情勢に翻弄され苦しむ人々。そういった具体的な事柄に対して、まず言葉を紡ぎ出し、イメージを膨らませ、テーマを絞り込んでいました。

特に2020年に起きた千葉県野田市の栗原心愛(みあ)ちゃんの実父からの虐待は壮絶で、父親に対してはもちろんのこと、自らも暴力の被害者だった母親が保身のために夫に逆らえなかったという事実、またSOSを出しながらも助けることを放棄した学校関係者、虐待を疑いながら手を差し伸べられなかった大人たち、彼らに対する怒りから筆を握りました。

しかし、それらの思考を手放し、無為になることによって現れたもの、それは闇から光へと眼差しが移り、今までとは異なる世界でした。

私たち人類、動植物、自然、地球上のあらゆる生命はどれも等しく尊い。

そのごく当たり前の事実をはるかかなたの宇宙(universe)から見つめる。

俯瞰することによって今までの怒りが光に変貌したのではないだろうか。

もし今、冒頭の栗原心愛ちゃんの事件について描くとしたら、父親に対する怒りではなく、心愛ちゃんを優しく包み込むようなまなざしを向けられるように思う。

それが今までの制作との大きな違いであるように思う。」


title 「universe  Ⅵ」
size  727×500mm


title 「覚醒」
size  727×500mm




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