アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

ACOP体験ワークショップに参加してみた!

2014-09-21 | その他

機会がありまして、京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センターが推進しているACOP(Art Communication Project)に参加させていただきました。

ACOPについては以前から興味を持っていました。というのも、2年ほど前に、ここのセンター長である福のり子さんが、滋賀県立近代美術館のサポーター向け講演会にお越しくださり、対話型鑑賞についてのお話をお伺いしていたからです。作品は鑑賞者の存在があって初めて成り立つ、アートって行為であり現象なのか・・・?と深く考えさせられました。

今回のセミナーはビジネスパーソン向け。どちらかというと、アートの鑑賞が目的ではなく、アートを媒介に、コミュニケーションを活性化したり、論理思考を訓練したりすることが主眼です。

基本は「みる・考える・話す・聞く」。アート作品を知識に頼らず、意識的によくよく見ること。見て感じたことを、なぜそう思ったのか考えること。それを言葉にして人に伝える。また人の話をよく聞き、新たな気づきを得て、また作品に向き合う。「見ることは、自分自身を映し出すこと」だとしたら、他者との対話で自身を深めることで、より豊かな作品鑑賞を行えるということ。

セミナーの中盤では、実際に作品のスライドを前に、20数名の参加者で作品鑑賞会を行いました。題材は、ローマ時代の皇帝「カラカラ」の頭像。…という情報は終了後にいただきましたので、知識ほぼゼロでスタートです。

パッと見て私はその表情にすごく「怒り」を感じました。眉間にグッと力が入っていて眼力に「メラメラ~」が込められているように思ったからです。参加者が順番にいろいろな感想を述べられていました。「強い意志を感じる」「視線が定まっていない」「上司にはしたくない感じ」…。ナビゲーターの方の導きで、話がつながり転がり、何となく「トホホ」な人になっていったのが面白かったです。でも、私はどうしても「怒り」の印象が消えなくて…。思い込みが激しすぎるのでしょうか?他者の視点を受け入れられてないんでしょうか…?

セミナーの後半では、グループで鑑賞会の感想やビジネスへの活用について話し合いました。私が、「どうしてもスライドだと、見る角度が固定されていて、出来ている影によって印象が左右されるし、実際の彫刻をいろいろな角度で見たら、また見え方が変わるのだから、スライドをじっと見れば見るほど印象が定まらない気がする…」と言ったところ、「それは、よく美術館に行かれているからじゃないですか?」と言われて、なるほどな~と思いました。

同じグループで、普段あまり美術館に行くことはない、という方は、「おもしろかったので、美術館に行ってみたくなった」をおっしゃっていました。アートのおもしろさを伝えていくのに、作品を見ることで自分の中に何らかの変化が起きることの喜びを感じてもらう、というのはとても重要だと思っているので、その取っ掛かりに、とても効果があるのでは!と感じました。

鑑賞会は40分位、ひとつの作品を見る時間としてはすごく長いと思うのだけど、人数が多かったこともあり、私としてはやや消化不良気味。もっとじっくり体験して、自分の中の変化を見極めてみたいな~と思いました。

ちなみに、カラカラはローマ時代、有名な「カラカラ浴場」をつくった皇帝ですが、実の弟を殺したりかなりの暴君だったようです。あの顔にあらわれていたのは「怒り」ではなく「凶悪さ」だったのかも…。そのような前提の知識がある方がいいのか、ない方がいいのかってのは、う~ん、難しいことろですね…。


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