もう6月も終わり、はや1年の半分が過ぎようとしています…。あっという間に季節が移り過ぎますね。
さて、きょうの日曜美術館は、染織家・志村ふくみさんの、冬から春への日々を追ったドキュメンタリーでした。お正月に放映された番組の続編です。
京都・嵯峨野に工房を構える志村さんの日々は、本当に自然の美しさと恵みに彩られています。植物をいとおしみ命を敬い、そしてその植物の命を再生させるがごとく、色をいただく。
番組冒頭、志村さんがいとおしそうに眺める、梅の蕾のぎゅっと身を縮めたようなかわいらしい様子がとても印象的。これから色を纏って花開く前のエネルギーを感じるようです。私たちは日頃、咲いた花は愛でるけど、このような蕾の様子に注意を払ったことはなかったな、と改めて思います。日本の宝である四季折々の美しさ、きっと私たちの身近なところにもあるだろうに、気づかずに過ごしているのは、本当にもったいないことではないでしょうか。
美術館で志村さんの作品を見るだけではわからない、実際に工房でどのように糸が染められ織られているのかを見ることができるのは、とても貴重で興味深いです。染色って不思議だな~。植物を煮出した液は、一見濁っていて全然きれいな色ではないのに、真っ白な生糸を浸すと、わずかに色がつき、何度も何度もすすぐことで、みるみるまに色が深みを増していく。液を絞ってそして乾燥させると、さらに色が変化するそうです。テレビでもスゴイなー!と思うのだから、実際に目にするとどんなに美しいのだろう!
まもなく90歳を迎えられる志村さんですが、とても見えない。凛としてらっしゃって、今なお、アンテナをびんびん張って、いろいろなインスピレーションを湧きださせておられるようです。ヒントを得ている画集が、ベン・ニコルソンだったのは意外でした!クレーとかなら納得なんだけど。
志村さんの着物を、美しいお庭や風景とともに紹介していて、美術館のハコを飛び出して、風に揺れ日の光に透かして見る織地もとても美しいと思いました。取り上げられていた作品のひとつ「紅襲(桜かさね)」は、滋賀県立近代美術館が所蔵しており、実物を見ると、本当にため息が出ます。まずピンク色の何とも言えないかわいらしさ。そしてグラデーションの美しさ。その縦と横の糸が繊細に織りなされることで色が変化している様子を見ると、もうびっくりです。ぜひ自然の風景とともに眺めてみたいですね~。
映像がとても美しい番組でした。音楽も素敵です。日曜美術館の再放送は、7/6(日)夜8時から。ぜひ録画して永久保存版にされることをおススメします。
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○ 織の話