1月から始まっていて、今年に入って真っ先に行きたかった展覧会だったのに、あっという間に時間はたって、結局最終日に訪ねることになったのでした…。場所は兵庫県立美術館。
スイスを代表する画家、ということでしたが、私は今回の展覧会で初めて知った画家でした。40年ぶりの回顧展だそうですが、あまり知られてませんよね?そーでもない??でも、めちゃくちゃ見たかったんです…、なぜなら絵の中に「リズム」があることにとっても興味を持ったので。
ホドラー(1853-1918)はまさに世紀末を生きた画家で、不安に満ちた時代を背景に、クリムトなどと少し似た匂いがします。画家になる前は看板職人をしていたこともあってか、画面の背景などが装飾的で、人物を描く際にもふち取りが見られたりして、決して平面的ではないのだけれど、とても独特な画風だと思いました。
おもしろいなあ!と思ったのは、やはりリズムに充ちた人体表現。「オイリュトミー」と題された作品に描かれた5人の老人、「死」に向かって歩いているということですが、軽くうつむいて歩く様は、5人それぞれでありながら、妙に調和したリズムに充ちていて、衣服の白さも相俟って、むしろ清々しい「生」に充ちているような印象。
この作品以降、ホドラーの関心は当時スイスの音楽家が提唱した前衛的な舞踏「リトミック」の思想とも呼応し、身体の動きによって表される人間の感情と、身体が生み出すリズムの表現の追求へと向かいます。
確かに描かれている人物は「動いている」ところであり、その一瞬を捉えながらも、そこはリズムがある…リズミカルな動きを切り取っているといえばいいのか…?そしてそのポーズの意味するところをいろいろ想像してしまう…。描かれている人物は神話的で崇高さを感じさせます。絵を見ていると、そのポーズを取ってみたくなる!(ってホントにやってしまいました)
彼が愛したアルプスの山や湖の美しい風景も、本当に同じ場所を繰り返し描いていて、それが並べられて展示されていること自体にリズムを感じるし、1点1点の絵の中にも雲の動きや水のさざ波、鳥の描き方なんかもとてもリズミカル。リズムがあるということは、何だか軽やかなんですよね~。
晩年には、市庁舎や博物館の建物の中の壁画を多く手がけました。その下絵なども展示されていて、最初のイメージから、どんどんリズムが整えられていく様子が窺えて興味深かったです。機会があれば、実物を見てみたいなあ~!作品が紙幣になったり、そういう意味でも本当にスイスの国民的な画家だったのですね!
また一人、「こんな画家がいたなんて!」という新鮮な驚きと感動がありました。大変おもろしかったです。
会場入口にはこんなんもありました。3D!
そうですか、怖いという印象は意外でした。
写真などは少なかったですが、どんな人だったのかにも興味が湧きましたヨ。
ホドラーの絵画の影響を受けたダンスの写真もあったりして、
芸術って時代や社会とつながっているんだなあ、と改めて思いました。
なるほど、そう思って眺めると随分違って観えますね。
こちらの記事を読んで怖い絵だなぁと避けてしまったのが、とっても悔やまれました(涙)