アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

ジャクソン・ポロック(日曜美術館)

2011-12-11 | メディア情報
今か、今かと待っていました!今朝の日曜美術館は、「アクションから生まれた革命~ジャクソン・ポロック~」。
滋賀県立近代美術館のサポーター活動に参加するようになって得た美術の知識のなかで、最大のトピックといえば「抽象表現主義」。その最も代表的な作家ともいえるジャクソン・ポロックは、このアメリカ発の美術の革新の大立役者として私たちの解説の中にしばしば登場します。

今回の放送も、そのような大きな美術の流れのなかでこの作家がどう位置付けられているか、といった内容を予想していましたが、全く違いました。きわめて個人的な、ひとりの作家として独自の画風を打ち立てるための孤独ともいえる戦いを追ったものでした。
そ~なんだ、当然だけど彼もひとりの人間。すごく偶像化というか記号化していた自分に気づかされました。また、革新って印象派しかり、あとから歴史に位置づけられるものなんですね。現在は偉大な作家としてオークションでもものすごく高値のつく彼の作品も、当時は一部の支持者を除いた大多数の世間の人々には全く受け入れられなかったというのです。

実は当館にはマーク・ロスコ、クリフォード・スティルなど抽象表現主義の素晴らしい作品がありますが、ポロックは版画のみでいわゆる大きな作品は持っていません。彼の作品には、ずいぶん前にニューヨークのMOMAで1点だけお目にかかりました。当時はあまり注目してなかったのですが、数ある作品のなかで、展示されていたその様子を思い出せるのだからやはり印象的だったのでしょう。でも作品からすごく強い力の迫力があったかといえば、そんな印象はないんですよね…。

さて、展覧会では、若き時代の具象絵画にもお目にかかれるようです。けっこう骨太のゴツゴツした絵画です。ピカソという大きな存在を乗り越えて独自の表現を獲得するために、アメリカ先住民の表現を取り入れたり、無意識の表現(意図せずに湧き出る表現とでもいうのか)を探求したり、そしてついに辿り着くのが塗料を垂らして描くこと(番組ではポーリングと言われていましたが、私たちはドリッピングと言ってます)でした。
番組で、ポロックが塗料を垂らしているのを下から撮影している映像がありましたが、無意識といいながらも、やはり絶妙のバランス感覚で色と線を組み合わせて作品をつくりあげていったのだろうな~と思わせる様子でした。

若い頃からアルコールに溺れ、酒を飲んで自動車事故で最期を迎えてしまうわけですが、だからこそ郊外に居を移し納屋を改造した広いアトリエがあのような作品の制作を可能にしただろうし、アルコール中毒の治療で出会った無意識を描くことが、あの技法を生み出したりと、不幸ではあったけどポロックにとって欠かせない要素ではあったのだろうと思いました。

展覧会は、愛知県立美術館で来年1月22日まで。
ゼッタイ見に行きたいぞ~。この年末年始の多忙をかいくぐって展覧会に出かけることが果たして出来るでしょうか?!

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