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没後50年「藤田嗣治 本のしごと」-文字を装う絵の世界-

2018-04-18 | 展覧会

先日、目黒区美術館で始まったこの展覧会、関西では2月まで西宮大谷記念美術館で開催されていて、いつものごとく閉会ギリギリ最終日に訪ねました。今年、没後50年を迎える藤田嗣治。史上最大?の大規模な回顧展も予定されているようで、秋に京都に来るのを心待ちにしています。

本展は、藤田の画業の中でも、装丁・挿絵など、本にまつわる作品を中心に紹介されており、また、藤田直筆の挿絵入り、大変の人間味あふれる手紙の数々を見ることができるのも魅力です。

フランスで画家としての地位を確立した藤田は、絵画だけではなく、本の挿絵の仕事にも積極的に取り組みました。当時、ヨーロッパは挿絵本の興隆の時代で、ピカソやシャガールらの挿絵本も出版され人気を博していたそうです。描かれている挿絵は、油彩画のような彩られた画面の魅力はないけれど、確かな画力で描かれた絵、特に伸びやかな線の美しさにはうっとり。特に素敵だったのは、「イメージとのたたかい」という豪華限定本。使われているのは「眠る女性」という水彩画1点のみですが、ページごとに、この絵の違う部分をクローズアップし、文章とそのレイアウトに響きあっていて、非常に美しい!

また、以前「藤田嗣治 手しごとの家(林 洋子)」という書籍を紹介した記事にも書いたように、藤田が筆マメなことには感心いたします。20才前後に友人に宛てたハガキ、最初の妻へフランスから送った手紙、どれも凝った絵が添えられていて、もらった人はさぞかし喜んだことでしょう。

そして今回の手紙のハイライトは、藤田が戦後、日本を離れてニューヨークへ向かい、妻の君代さんを呼び寄せるまで、日本に滞在していたアメリカ人の友人、シャーマンに宛てて連日のように書いた絵手紙。英語で書かれているので、意味を完全には理解できないけれど、近況や出来事がユーモアたっぷりに書かれた絵が楽しくて、見ていて全然飽きない!全部じっくり見るには時間切れだったのですが、本展のカタログには全部掲載されていたので、即買いしてしまいました。

美しい乳白色の美人画や、ヨーロッパの群像画を思わせる大壁画、そして恐ろしい戦争画、そんな大作を生み出してきた藤田ですが、一方、このような本当に手の中で慈しみたいような小さな作品を、愛すべき作品を、たくさん生み出したのも藤田なのです。本当に魅力的な人!

目黒区美術館では、6月10日(日)まで、その後もベルナール・ビュフェ美術館(静岡県)、東京富士美術館(八王子市)へ巡回いたします。ぜひ、大回顧展と合わせて鑑賞していただきたい! 

チラシを入手し損ねちゃいましたので、書影を掲載しておこう…。会田誠さんによる「少女」も興味深い、読みたいです!

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