詩人、谷川俊太郎さん。私にとって、詩人とは小説家より遠い存在で、その著書を手に取ることも実は多くないのですが、谷川さんは別。とっても身近に感じる詩人です。といっても作品をよく知っているわけでもなく、今回、「マザーグースのうた」が谷川さんの翻訳だったと初めて知りました。私の谷川さんの作品との初めて出会いは、中学時代に知ったそれだったかも。
詩人の谷川さんを見せる展覧会、やはり膨大な作品を紹介する手法として、書籍の展示とかがメインかな…?って想像してたら、全然ちがった!
リアルに今を生きている、そして言葉に向き合い創作を続けてきた65年の積み重ねを経た「谷川俊太郎」という人物を、まるごと見せてやるって意欲にあふれた展示で、とってもおもしろかった。今までの膨大なご自身の著書は、その、ほんの一角の本棚に並べられていただけ。谷川さんが、ホントに特定にフィールドにこだわらず、言葉の可能性を広げるべく、いろんな分野に挑戦してきたことの証だな~と改めて思いました。
展覧会の冒頭のコーナーでは、壁の四方に映像のモニターがいくつも並べられ、文字と映像と色と音楽による詩のコラボを見ることができます。詩を朗読する言葉に音楽が寄り添う。そこに、まさに「うた」が生まれる!
コトバ ウタ オト リズム キゴウ モジ ・・・ 詩ってなんだろう?
そうは言っても、アートギャラリーのショップでは、ご著書がたくさん並べられていました。美しい造本のものがいっぱいあって目移りしましたが、この本に一目惚れ。
望月通陽さんのシンプルな線描の絵と谷川さんの詩との、美しいコラボレーション。望月さんの心おもむくままに描かれた絵に、谷川さんが詩をつけられたそう。絵には、人物のほかに動物や鳥やピアノが描き込まれていて、谷川さんの言葉とともに、すごく豊かな世界が広がっている気がします。
おんがくも おと なきごえも おと ちきゅうは おとのほし
この素敵な展覧会は、3月25日(日)まで。