有田芳生の『酔醒漫録』

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ジイドの『ソヴィエト旅行記』を読む

2008-10-07 08:50:32 | 読書

 10月6日(月)強い雨に朝の訴えをあきらめた。田町で支援者のみなさんにご挨拶。渋谷に出てブックファーストでアンドレ・ジイドの『ソヴィエト旅行記』(岩波文庫)を入手。都内での打ち合わせ各種の移動中に読む。小松清さんの翻訳でこの著作が発売されたのは1937年9月。ただちに発禁となったのは反戦詩が問題となったから。その詩を削除してただちに「改訂版」が5日後に発売された。ソヴィエトに希望を持っていたジイドは、現地を歩くことで理想が崩れていき、スターリン批判を行う。この旅行記は最初「中央公論」で小松さんによる抄訳が出た。宮本百合子は1937年2月にジイド批判の文章を発表する。現実と理想。「鳥の眼」と「虫の眼」のどちらかにバランスが振れても歪みが生じる。日本の「いま」を見つめるときにも、まずは現実からの出発なのだ。


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3 コメント

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日本の文学者出身の都知事はひどいもんですね。例... (世田谷丸)
2008-10-08 00:09:02
日本の文学者出身の都知事はひどいもんですね。例の、東京では2百円、3百円で泊れる宿舎はいくらでもある、というネットカフェ難民批判の談話。

こんなの、ちょっとまともに考えれば間違いだと分かるはずなのに、堂々と話すところなど、昔のことと、今のことがゴッチャになっているのではないかと不安になります。

いずれにしても氏はもう行政担当能力はありませんね。

ほかにも、国政に色気を見せて詭弁を弄するイナカ知事、詭弁という意味ではそれ以上の大阪府知事…。日本は大丈夫なんでしょうか?

しかもイナカ知事のほうは、かつて言論機関にテロを加えた人物ですよね。目の前が暗くなりますよ。
再び、ジッドの「ソ連旅行記」と、それにまつわる... (中野)
2008-10-15 14:00:56
再び、ジッドの「ソ連旅行記」と、それにまつわる激動の1930年代について。

小生の人生を決定付けたとも言えるジッド・・・当時の政治状況と西欧文学者達の苦悩は、30年代の激動とは比べものにならないまでも今でもなお同じ問いを繰り返してると言えまいか?
「右か左か」「より富める者とより貧しい者」「武力(今は核武装)か平和か」「物質主義か精神主義か」・・・
ミシェル・ヴィノックの「知識人の時代」は大著なのでまだ少ししか読み進んでいませんが、19世紀末のドレフェス事件に始まり第一次大戦、スペイン市民戦争、第二次大戦をはさむロシア革命と国際共産主義運動の分裂、等々20世紀を駆け抜けた、行動する知識人3人:バレス/ジッド/サルトルを通しての世界的に著名なフランス作家達の政治的動きを描いています。

サルトルは言います「過去30年間の全フランス思想は、そう望もうと望むまいと、マルクス、ハイデガー、ヘーゲル、キルケゴールなどその他の参照項がどのようなものであろうと、ジッドとの関連で規定されなくてはならなかった。」と。(1951.3「現代」誌での「生けるジッド」)
・・・ノルマンディの寒村「キュペルヴィユ」の小さな墓所で敬虔なカトリックの妻”アリサ”と並んでのシンプルな墓を訪れた時を思い出します。 「1869-1951 Andre Gide」




ズーッと本棚に積んどいた林 俊氏『アンドレ・マ... (田村 秋生)
2009-10-31 18:58:06
ズーッと本棚に積んどいた林 俊氏『アンドレ・マルローの「日本」』を何となく読んだ。
仏文学者:小松 清と友情を育んだA・マルローとの往復書簡や会話を通して、主に1930,40年代のマルロー作品と仏の文学・政治状況や対応する日本の文学界等の動きを紹介してるのですが、改めて”行動の文学”が評価されていった第二次大戦に突入していった時代背景と日仏作家達の動きが見えて、とても面白かった。

学生の頃、古本屋で探して買ったフランス文芸評論誌『NRF』が古びてまだあるが、ジッド等が主導して創刊した、この『NRF』の「行動のヒューマニズム」(アンガージュマン)提起としての政治的役割=反戦・反ファシズム戦線の世界の作家達に少なからず与えた影響。
それに、小松がソ連(スターリン)擁護のマルローと深い友情を持ちつつも、ジッドの「偏見なき批評精神」に敬意を持ってたからこそ誇りをもって”フランス”を紹介できたらしいこと。
<(スペイン動乱では)ジイドは、ヴァレリーと同じく共和政府を支持してはいるが、その主導力となりつつある第三インター、つまりスターリンの政策には激しい抵抗をみせる。それが原因で、エレンブルグを厳しく批判し、マルロオとは意思の疎通を欠いてい>たとは、今になって当時のファシズム登場の政治状況を想像する時、ジッドの孤独な苦悩(世界の”知識人”のソ連(スターリン)擁護が圧倒的な中で)がいかばかりかと推し量れます。(ジッドが、「<スペイン人民>政府軍の内紛、アナーキストやサンディカリストやトロッキスト等の投獄や処刑など」の事実を知っていたこと。)

このマルロー論を読んで、却ってジッドの積んどいてある未読の『日記』や絶版の「ジッド論」関連を読了しときたいと思うばかりです。

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