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かたっぽ手袋

2019-02-01 16:41:59 | 

 

振り子時計のある静かな店で

あの頃のきみを思い出してた

古いものが好きだったきみがいたら

きっと喜びそうな場所で

ひとりで琥珀色のコーヒーを飲む

 

ストーブにかけられたやかんからは

白い湯気

冬だね

夏生まれのきみが苦手な冬だね

 

「苦手だけど冬は好き」

そう言って降る雪を見上げてたきみ

今きみの町にも雪は降ってるかい

 

とてもとても愛していたんだ

上手に言えなったけど

苦しいほど愛していたんだ

 

何も伝えられないままに

ぼくはただ手袋を差し出して

「使っていいよ」と言うのが精一杯で

それをきみは笑いながら

「片方ずつね」

右手の方だけつけて

あったかいって言ったんだ

余ったきみの左手とぼくの右手が

そっと触れ合っただけで終わったね

 

あんなに愛していたのにね

 

 

どうかきみの町にも雪が降って

きみが笑顔で喜びますように

片方ずつの手袋を

ぼくたちの思い出として

とってありますように

 

 

 


翼をなくして

2019-02-01 16:25:57 | 

 

愛していた記憶さえも

ヴェールがかかっていくけど

それさえいとしくなるばかりよ

 

あなたのあの横顔さえ

日に日に薄れていくのね

フェイドアウト

思い出も残らないの

ふたりに

 

あなたのあの大きな

腕に抱かれて

見つめていた笑顔

今どこに・・・

 

翼もない鳥は

飛ぶことさえ奪われて

ずっとここでさえずるのね

あなたの名前

 


わがまま過ぎて

2019-01-31 12:00:03 | 

 

吐息近くに感じるほどに

いつだってそばにいると信じた

わがまま過ぎてひとり歩きして

気づいた時に消えていた

 

若さだけで置き去りにした

立ち止まってわたし

見てたあなたを

追いかけてきて「好き」というはずと

信じてたのに

背中向けてた

 

 

後姿のあなたの影が

今も時々胸をしめつける

身勝手すぎと今ならわかる

遅すぎる気づきは

涙で終わる

 

 


夜に溶けて

2019-01-31 00:15:06 | 

 

魂が溶け出しそうなほど苦しい真実

目を背けたくなるそんな夜は

残してくれたやさしい嘘を

思い出しながら眠りつく

 

立ちのぼる湯気みたいに

やわらかく白く

朝まできっと包んでくれそう

 

この先もきっと

いたたまれない現実に

ため息ばかりの日々には

真っ赤に染まりきった

やさしい嘘を思い出す

 

振り向いても見えるのは

あなたのあの頃の笑顔の残像

手を伸ばしても触れられはしない

 

わたしもひととき

この夜に溶け出していたい

 

 


厄介なシアワセ

2019-01-29 17:59:27 | 

 

未完成な「シアワセ」という名の方角に

ひとりで走り出すぼくの背中

シャツをつかんで、

「シアワセって何?」

きみが聞いた

 

具体的に100字以内でシアワセを書き出せと言われたら

ぼくはなんて書くのだろう

 

ふわりふわりと浮かぶ雲を見るぼくの横で

きみはおいしそうにソフトクリームを食べていて

「きみにとってシアワセって何?」

そうたずねたら、

「別に、憧れないから用事のないもの」

そう答えた

 

 

シアワセって言葉で

色んな何かを持ち上げて

シアワセって言葉で期待を持って

シアワセって言葉に裏切られて

それって一切合財もしかして嘘

 

 

シアワセに見放されてるって言ってた奴も

いたっけ

でも きみに言わせると

正体不明のシアワセは実はどこにもなくって

期待する奴が悪いのか

 

実は平等に

何もないのかもしれない

 

シアワセなんて言葉

厄介だな