青緑の淵
2011-09-28 | ヒト
雨が時折ポツポツ落ちてくる中,ボクは薄暗い木々の中を歩いていた.突然現れた不思議な青緑の淵に,思わず立ち止まってしまった.静かな水面に垂れ下がった木の枝が映り込み,それが青い水に溶け込むようにして青緑の平面を作り出していた.全く静止している水面はなにやら硬い樹脂で作りものの様でもあり,そのまま歩いて渡れるのではないかと錯覚してしまいそうだった.ボクの脳が生み出す心は,ここのところずっと不穏なうねりを続けていた.にもかかわらず,ボクの目の光受容体からの信号は奇妙なほどの静の世界を脳に作り出し,何の矛盾もなくボクというアイデンティティを保っている.ヒトは悩み,苦しむが,たんなる脳の信号の揺らぎに過ぎないのかもしれない.