歌わない時間

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中山元『高校生のための評論文キーワード100』

2010年07月24日 | 本とか雑誌とか
中山元『高校生のための評論文キーワード100』(ちくま新書)をまた読んでいます。この本はほんとにいいですね。いつどこを読み返しても、わたしみたいな物知らずの粗忽者にはことばの勉強になります。

そして今回読み返していて気がついたのは、一つのキーワードについて見開きで完結するということからくる読みやすさ。この本ね、新書だけど上下二段組で、小さな字で組んであるのよ。ポイントでいうとなんぼだろう。8とか7ぐらい? でも、字が小さいことからのストレスはほとんど感じない。開いた左側のページのお終いまで読めば話が完結すると分かってるからね。先が見えているから、途中の文章を読んでても気分が楽なのよ。ほら、新書を読んでて、この話はどこまでつづくんだろうって、先のページをちらっとめくって節の切れ目を確認してから読み進めるってこと、ありませんか?

この新書、厚みはほかの新書とそう変わらない。ねだんも740円+税で、今どきの新書としてそんなにお高いわけぢゃありません。でも、小さい字の二段組だから、情報量はほかの新書の丸二倍、くらいはあると思います。しかも高校生に分かるように、って考え方の本ではあるし、中山元さんにとってもそうとう手間のかかる仕事だったのではないでしょうか。入門書って、どの分野であれ、読むほうはすらすら読むかもしれないけど、書くほうはなにをどう書くか頭を悩ませるもんだと思う。

どのキーワードについても二段組で見開き二ページ、と枠をはめられていると、ある面書きやすくもあるだろうけれど、でも多くの場合、このことばについてはもっと書きたい、と思うのではないでしょうか。清水幾太郎『論文の書き方』にも、長さを決めて書くことの大切さについて触れた個所がありましたが、長さを決めて書くってけっこうむつかしいです。まあ多くの人は書くことがなくて困るんですが、せっかく書いた長い文章を短くちょんぎらざるを得ない時もある。つらいもんですよ。

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