AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です。腫瘍コラム第2回目「良い腫瘍?悪い腫瘍?」

2018-08-08 14:45:50 | 腫瘍コラム

院長の盛田です。

今日は台風上陸のため、予約診療日ですが予約がないのでお預かりのにゃんこと遊んでいます

 

本日は「腫瘍についてざっくりと考える」の第二回目です。

 

腫瘍は大きく良性と悪性に分かれます。この分類は図に示したように、良性は比較的細胞の増殖がゆっくりしており、周囲の組織により封じ込めが可能なものです。

一方、悪性腫瘍とは細胞増殖が速く、周囲の細胞たちでは腫瘍を封じ込めることが出来ないものを云います。

良性の腫瘍は周囲組織が周りを覆っているので、周囲に主要な神経や血管が無ければ摘出することは比較的可能ですが、取り切れないとそこからまた腫瘍が増殖してしまい、元の状態に戻ってしまいます。

悪性腫瘍は周囲の組織間に浸潤し、広がっていくため、正常組織と腫瘍組織の境目が肉眼ではわかりません(上図参照)。そのため、腫瘍を摘出する際には安全域(マージンと云います)を確保し手術を行います。

例えば肥満細胞腫という腫瘍では腫瘍組織と思われる組織辺縁から安全域として2.5~3㎝多く切り取ります。

また、腫瘍は組織間に浸潤していく際に血管やリンパ管内にも入り込んでいきます。

血管やリンパ管内に入った腫瘍細胞たちは血流やリンパ液流に流されて全身の組織に移動し、そこで増殖します。

これを転移と云います。

転移した部分である程度腫瘍組織が大きくなると病院の検査で転移が発見できるようになります。

しかし、目に見える転移組織があるということは、全身に腫瘍細胞がばらまかれており、検出できない腫瘍組織が無数にあることを意味します。

そのため、腫瘍の転移がある場合は全てを取り除けないことから積極的な手術より全身治療である抗がん剤などをお医者さんは勧めます。

 

悪性腫瘍はちょっと重い話になりましたが、まとめると良性腫瘍、悪性腫瘍は増殖スピードにより、人が分類した分け方です。勿論どちらも腫瘍であるため、良性腫瘍も放置しておくと命の危険が及ぶ場合がありますので、治療は必要です。

また、腫瘍細胞たちは特に分類を気にして増殖していない為、良性とも悪性ともつかない増殖形態をとるものもいます。

良性/悪性を調べるためには増殖形態を確認する必要があるため、周囲組織への浸潤を確認しないとなりません。

そのため、針で細胞を取る(ニードルバイオプシーと云います)だけではわからないケースも多々あります。

その際は局所/全身麻酔下で組織を切り取り病理検査へ送ることもありますのでお医者さんとよく相談して決めましょう。

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