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[編集] テロ解決のための方策
不特定多数の世論を人質としたテロ(無差別テロ)が有効に機能するためには3つの条件が必要である[17]。
十分な破壊力を持つ武器が入手可能であること。
世論に働きかけるための十分なコミュニケーション手段が確保できること。
国家主体が世論(支持)の変化に敏感かつ脆弱であること。
テロとは、地位と力の両面で劣位な主体が優位な主体に要求を拒否され続けている場合の対抗の一つで、「人質」を交渉資源として交渉を進めようとする状況を示している。
民主主義国家とテロリズムの対話はステイタスにおいて拒否されるが「人質」解放のためには不可欠であり矛盾している。
そのため国家が積極的なテロ対策をとった場合にしばしば民主主義が制約を受ける[17]。
日本では警察当局により極左暴力集団及び右翼団体による「テロ、ゲリラ」事件の未然防圧と各種違法事案の取締りを推進している[18]。
また財務省は国際テロ資金の凍結に関する国連安保理決議に基づき資産凍結措置を実施している[19]。
アメリカのテロへのアプローチは刑罰法のレトリックに接近している。
対テロ戦争の目的はテロリストの組織網を途絶させ、裁判法廷へ犯罪人を連れ出すことである[20]。
方策については専門家ごと、立場ごとに見解がそれなりに分かれているが、例を挙げれば以下のようなものがある。
テロリストに利益を与えない(ゲームの手段としての無効性を立証し続ける)
テロリストを特定し、監視・管理・排除する(テロリスト(個人・集団・組織)を特定し、行動を監視・管理し、あるいは排除する)
被害の拡大を最小限度に管理する(物理力(武具)を管理・監視する、危機管理区域を設定し、テロリストの接近を排除する)
政治プロセス(合意プロセス)を改善し対話を促す(論争を仕掛ける、論争を奨励する)
絶望や復讐の感情の原因を解消する(テロの実行犯(被害者)を減らす)
テロの被害を早急に回復し、かつ被害者・遺族の報復感情を政治が吸収する(テロの連環を放棄させる)
全ての政府(政権、行政)が自国民・市民に対して必要最低限度の生活レベルを保証できれば、経済を背景としたテロは発生しづらい。
しかし、アメリカ同時多発テロ首謀者とされるオサマ・ビン・ラディンが中東有数の資産家であり、その実行者のほとんどが中産階級出身の比較的恵まれた階層であったことからも容易に理解できるように、いわゆる「貧困問題」とテロ問題の関連は実は大きくない。
むしろ自らを犠牲にしても公憤を完結させるといった思想的背景(義憤・志願兵 (voluntary))や傾向、あるいはそれにつけこんだ狂信的思想の問題が重要である。
個人的な絶望や思索によって得られたある種の確信、領土や民族、宗教を背景としたテロは減らしにくい。
各政府が、宗教や憲法に規定される信者や国民への義務を誠実に履行すればテロが発生しないとする意見も一部ある。
ただし信仰や憲法の内容については各宗派や国によって大きな隔りがある。
たとえば共通のコードとして国際人権規約などがこれに代わり得る可能性がある。
[編集] 国家の自己正当化としてのテロリズム対策
テロリズム対策の種類
テロを犯罪行為として対処する場合[21]
アンチテロリズム:情報収集・法整備・外交・資金凍結や経済制裁など
カウンターテロリズム:警察権の行使
テロを戦争行為として対処する場合
対テロ戦争、不正規戦争:軍事力の行使。(低強度紛争・非対称戦争とも呼ばれる)
多大な被害を出しうるテロリズムに対して、現在、世界はおおむね反対の論調を共有している。
それゆえテロリズムの排除・撲滅はその実体はともかく主張としては反対されることが少なく、この主張を大義名分として行動する場合、他者(多くの場合他国政府)の介入を招きにくい。
様々な国で自国内外のテロリストとの対決が見られる。
こうしたテロリズムとの対決は、アンチテロリズムやカウンターテロリズムの観点から批判を受けにくいが「テロリズム」の語が各国政府によって恣意的に運用され、反体制派の弾圧の理由としてテロリズム対策が用いられているという批判が起こることがある。
反政府運動や分離独立運動などは暴力と結びつくことが少なくない。実力行使が伴わなくともテロリズム対策が示威行動として利用されることがある。
[編集] 公務執行型テロリズム
公務執行型テロリズムが過剰暴力や非合法活動の正当化に使われている(テロ撲滅のためには多少の付随的な犠牲が出るのはやむを得ないという主張)との批判もある。
具体的には公務執行型テロリズムに伴う一般市民への誤射・誤爆などである。 またパレスチナ問題におけるイスラエル軍の攻撃、北部イラク・クルド人自治区のクルド人へのトルコの攻撃、バスク地方及びETAへのスペインの態度、チェチェン共和国独立派へのロシアの態度もカウンターテロリズムを用いた過剰暴力の正当化、もしくはカウンターテロリズムを大義名分にした体制側テロリズム・公務執行型テロリズムの例とされることがある[22]。
逆に、体制を攻撃するテロリスト側が、良心的・人道的な国際世論を利用し、自身の正当化を図るケースもある。
「体制側の『テロリスト』というレッテル張りによって、我々は不当に弾圧されている。」という論理である。
一般に複数の組織が政治的に敵対関係にある場合、自身の正当化や政治宣伝はどちらの側からもおこなわれる。
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