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3.1 通話路スイッチ網
通話路スイッチ網は、制御装置からの指示により発呼者と被呼者の通話路を形成、切断、復旧するものです。
通話路スイッチ網は、交換機のハード量に占める割合が大きいため、これを以下に効率的な構成にするかが交換機の構成上大きなポイントとなります。
3.2 制御装置
制御装置は、監視信号や選択信号の情報を翻訳し、分析した結果をもとに被呼者の識別や出線選択、必要選択信号などの情報の送出および通話路形成の動作指示などを行うもので、その構成は制御方法によって大きく異なります。
図8(a)の共通制御方式は、通話路スイッチ網を構成する複数スイッチに対して共通に制御回路が設けられています。
個別制御方式は、制御機能の面で融通性に欠けるため最近ではほとんど使われていません。
図8 制御装置の構成
共通制御方式には、機能の実現方法によって布線論理回路というハードウエアで制御機能をつくる布線論理制御方式(wired logic control)と、コンピュータとほぼ同様の蓄積論理回路を採用し、ソフトウエアで制御回路をつくる蓄積プログラム制御方式(stored program control)があります。
前者の代表例としてはクロスバ交換機が、後者の代表例として電子交換機およびディジタル交換機があります。
蓄積プログラム制御方式の制御装置の構成は、図9に示すように通話路スイッチ網を駆動する通話路制御装置、その通話路制御装置や信号装置を制御する中央制御装置は、記憶装置に格納されている交換機の制御手順が記述されたプログラムを読み出し、その命令を実行して制御します。
図9 ディジタル交換機制御装置の構成
3.3 加入者回路
通常、加入者回路は発呼信号や終話信号など加入者線の状態を監視しています。
ディジタル交換機の場合には、通話路スイッチ網が電子部品で構成されているため、アナログ交換機のように呼出信号のような大電力信号を通話路スイッチ網経由で送出することはできません。
そこで、ディジタル交換機ではアナログ端末機器を収容する加入者回路に「通話電流供給機能(B)」、「過電圧保護機能(O)」、「呼出信号送出機能(R)」、「監視機能(S)」、「アナログ信号/ディジタル信号変換機能(C)、「2線4線変換機能(H)」および「試験引込み機能(T)」の "BORSCHT" (ボルシュトと呼ぶ)という7つの機能を持たせています。
3.4 トランク回路
トランク回路は、応答信号や終話信号などの回線の状態を監視するとともに通話電流を供給します。
ディジタル交換機の場合、ハードウエアとしてのトランク回路はなく、回線の監視は信号装置で行います。
3.5 信号装置
信号装置は、端末機器や他交換機と発信音、選択信号などの送受信を行います。
3.6 交換用ソフトウエア
交換用ソフトウエアは、図10に示すようにシステム部、局データ部および加入者データ部から構成されています。
システム部は、交換システムが同じであればそれぞれの交換機で共通に使用できます。
システム部に属するシステムプログラムは、交換機の制御手順を記述したプログラムで、システムデータは交換システムにより一義的に定まるデータです。
図10 交換用ソフトウエアの構成
局データおよび加入者データは、交換システムが同じでも交換機ごとに異なるデータです。
交換機が設置される交換局によって設備の規模や回線の設定方法、電話番号の割付方法などが異なります。
これを局条件といい、この局条件を記述したデータを局データといいます。
加入者データは、それぞれ端末機器固有の電話番号、通話路スイッチ網に収容されている端子位置(収容位置)、端末信号種別(ダイヤル式/プッシュ式)、サービス種別など利用者の属性を記述したデータです。
4.交換機の接続動作
電話をかける動作は、端末機器の受話器を取り上げてダイヤルする、相手とつながって話をする、話が終わって受話器を下ろす、という順序になります。
これに対応した交換機の接続動作を、発呼者と被呼者が別々の交換機に収容されている場合を例に図11に示します。
図11 交換機の接続動作 (1/2)
図11 交換機の接続動作 (2/2)
[出典]
(1) 電気通信研究会:伝送交換設備及び設備管理、日本理工出版会(2000-2)
以上、交換機の機能および構成の概要についてまとめました。
次回は各構成要素の仕組みについてまとめる予定です。