2023年の年末と2024年の年初で、旧NISA制度と新NISA制度の入替イベントが発生します。
分かりやすく個々人ベースで考えてみますと、旧NISA制度では、1人当たり毎年120万円の非課税枠があって、それが5年分で600万円あります。旧NISA枠で持っている投資信託は、今後毎年12月末までに順次売却しなければなりません。初年度分で持つ投資信託は、2023年の12月末までに売却しないと売却益非課税が適用されなくなってしまいますから、今月は個人投資家の多くが、初年度分の売却タイミングで頭を悩ましていたことになります。
一方で、新NISA制度の240万円の枠を使うには、新年を待たないと使えません。したがって、12月には「売り優勢」、正月明けの1月には「買い優勢」という現象が、少なくとも今後5年間は発生しやすい環境になります。12月の日本の株式マーケットに勢いがなかった理由の一つは、この旧NISAと新NISAの入替タイミングだったとワタクシは考えております。
ちなみに、年明けの「買い優勢」の効果は想像以上に大きいものになりそう。特に2024年の年明けは、万全を期して非課税枠を空けていた個人投資家が、一斉に240万円の非課税枠を埋めにきます。もし、1000万人が240万円を一斉に使うとすると、この購入超過パワーは24兆円にもなります。またそれが500万人程度でも、その購入超過パワーは12兆円になります。(なお、現在の日本で金融資産保有の中心層である60歳以上国民人口は3600万人。その約1/3が1000万人、約1/7が500万人ですので、机上の空論ではあるものの、的外れな数字ではありません)
この新NISA制度開始の影響力は、覚えておいて損のない話ですので、個人投資家の方々は頭に入れておきましょう。
あと、新NISA制度には、240万円の非課税枠のほか、定時定額投資(毎月投資)のための別枠120万円も用意されています。積立投資として毎月10万円ずつ投資できる非課税枠が別途活用できるのです。これを活用する個人投資家は、若年層を含めて相当数存在しますので、この購入超過パワーも頭に入れておくことが肝要です。
え? そんなもんは大した影響はないだろうって⁉
いやいや舐めてはいけません。もし、新NISAの積立投資枠10万円を仮に1000万人が利用したとしましょう。そうなると、毎月1兆円の購入超過パワーが生まれることになります。毎月毎月、プラスオンで発生する購入超過パワーですから、これが日本の株式市場や投資信託市場に与える影響は相応の大きさになると思います。今後60カ月続く、購入超過パワーを舐めてはいけません。
正月明けから、ビックリするような株式マーケットが始まるかもしれませんぞ!