忘れられないパチンコ屋の名前は？

人間の記憶というのは可笑しなものです。
ごく最近の大事な事でも、すっかり忘れてしまう事があるのに、どうでも良いような事を何時までも長く覚えていたりします。
今日、ふと昔の事を思い出してしまいました。
それはごく普通の、どこの商店街にもあるような一軒のパチンコ屋の事です。

今から３０年くらい前の事になりますが、その頃私はジャズ・ピアノを習う為に、若い女の先生の自宅まで通っていたのです。
駅名がはっきり思い出せないのですが、確か「東急・田園都市線」の「二子玉川（ふたこたまがわ）」という駅ではなかったかと思います。
この駅名を「ニコタマ」と呼ぶ人たちもいます。
駅の周りは、かなりにぎやかで、広い通りへ出ると大きな高島屋のデパートもありました。

レッスンが終わって駅に着くと、２階のホームから近くの商店街の屋根がいくつも見える訳です。
その中に一軒のパチンコ屋がありました。
駅のすぐ目の前にあるごく普通のパチンコ屋なのですが、昼間は全く気が付かなかったのですが、レッスンが何かの理由で遅くなって、夕方になった時に「おやっ」と思いました。
赤や青に光り輝くネオンサインの一部が故障して、その部分だけが消えて暗くなっていたのです。

そのパチンコ屋の名前は・・・「パチンコ・ゴールデンボール」。
初めは別にどうと言う事もない、平凡な名前だと思っていたのですが・・・
どうした訳か、この「パチンコ」の「パ」の一字が故障して消えていたのです。
よりによって「パ」の一字だけが・・・
となると、暗闇に浮かび上がって来る、きらびやかなネオンサインは？
当然の事ながら・・・

「チンコ・ゴールデンボール」・・・！？

という事になります。
う～ん？

「二子玉川」と言う名前の駅から見える、きらびやかに光るネオンサインが・・・「チンコ・ゴールデンボール」・・・？
玉っ、たまっ、タマッ！！

初めの頃は「何でこの店はネオンサインが壊れているのに、早く修理しないのだろう？」と思っていたのです。
でも後になって良く考えてみますと、ひょっとしてこれは「わざと修理しないで放って置いたのではないだろうか？」と思うようになって来ました。

どこにでもある平凡なパチンコ屋が、ネオンサインの故障で「パ」の一字が消えているというだけで、３０年近く経った今でも忘れる事が出来ないのです。
これは宣伝効果抜群のネオンサインだった、と言えるでしょう。