迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

段々暖々。

2022-02-15 18:22:00 | 浮世見聞記
今朝は寒さで目が覺め、空き地には霜が下りてゐることを初めて知る。昼頃には曇天が彼方へ流れてやうやく陽差しが戻り、その暖かさに氣持ちが和む。人災疫病の感染者數は高止まり續き、その數のなかには私の知ってゐる人も含まれてゐる。いよいよ身近に迫ってきたと緊張感は覺えども、術としては現状の生活形態を堅持するほかにない。仄聞では、“オミクロン株”には四種類あり、そのうちの三種が日本で猖獗を極め . . . 本文を読む
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その街角で薫る。

2022-02-14 18:37:00 | 浮世見聞記
昨日は報道屋が「さぁ雪が降るぞ~♪」と、得意のお祭り騒ぎを盛んにけしかけてゐたが、實際には外にゐても雪の前兆となるキンとした冷たさは全く感じず、これはこのまま雨で推移するな、と思ってゐたらその通りとなって今朝を迎へる。昼過ぎからやうやく空が晴れて、都内の大通りで思ひがけず蠟梅に逢ひ、今日はここにゐて良かったと思ふ。誰も気にもせず通り過ぎるなか、自分は気が付いて足を留める──私とあなた . . . 本文を読む
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櫻があるじの須磨の宿。

2022-02-13 09:12:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、寶生流の「忠度」を樂しむ。和歌の師匠である藤原俊成に自作を數首託して西國落ちした平忠度だが、千戴集に採り上げられた一首が時勢を憚り“読み人知らず”とされたことを遺憾として、今なお娑婆の妄執から解き放たれずにゐると俊成の家臣だった旅僧に訴へる、修羅物のなかでは“文”の風雅に眼目をおいた異色の秀作。忠度(ただのり)は官職が薩摩守(さつまのかみ)であったことから、渡し舟を無賃で乗らうとする . . . 本文を読む
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梅に“満月”。

2022-02-12 17:24:00 | 浮世見聞記
町なかの梅があちこちでだいぶ花をつけ始めてゐるので、地元の梅林もそろそろかな、と思ひ出かけてみたが、やはりここはまだ早かった。この梅林の見頃は毎年二月下旬頃で、ときには三月にかかってゐたりする。わかってはゐるのだが、つひ待ちきれず毎年この頃に出掛けてみて、「やはり……」となる。今日はまだ二分咲き程度。どうやら今年も、二月下旬に出直しのやうだ。──と、また例年通りな噺になるかと思ひきや、思ひがけず“ . . . 本文を読む
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融雪建春。

2022-02-11 18:25:00 | 浮世見聞記
昨日の厄介な雪も今朝にはすっかり上がり、屋根や車にせんべい布団のやうな雪を載せるばかり、道もすっかり乾いて今日の生活には支障なしと安堵する。日が高くなるにつれて屋根の雪は次第に融け、道路へ豪快に落下しては昨日の昔となりにけり。昨日に川霧が發生した川の堤道は、今日には散歩やジョギングの人が多く通り、浮世の長閑な休日を描き出す。空気は冷たけれど日差しは暖かで、昨日は今日の昔なれば、さて明日は何をせんと . . . 本文を読む
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ドンキの“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”、売り切れ店舗続出2月中旬から再販へ

2022-02-11 10:15:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/itmedia_business/trend/itmedia_business-20220210_170?fm=d『同製品はテレビと称しながら、テレビの視聴機能を外した、ネット動画の視聴に特化した製品。』──しかも外部機器無しでネット動画が觀られ、TVの視聴機能も無いので、某國放送協會 . . . 本文を読む
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天も地も。

2022-02-10 21:18:00 | 浮世見聞記
東京の私がゐた場所は、14:00を過ぎた頃から雨に混じって雪が降り出し、いよいよ予報は當ったかと、嬉しくない氣分になる。16:00を過ぎた頃に川面を見ると、川霧が發生してゐた。今回の雪は水分が多いとかで、路面に落ちてもすぐに融けて濡れるばかり、これならば先月六日のやうな迷惑積雪にはなるまいと思へど、長らく停まってゐる車には紗布を掛けたやうにうっすらと積もり始めてゐる。20:00頃に部屋から外を見る . . . 本文を読む
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浮世はときに蜜の味。

2022-02-09 17:32:00 | 浮世見聞記
都内忘所で、“歩きスマホ”の若い女のコが道路標識のポールに衝突したザマを、目の前で鑑賞す。かうした絶景に、解説など必要ない。もちろん、私がこの日を朗らかに過ごせたことは、云ふまでもない。 . . . 本文を読む
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瑶子さま、新型コロナ感染でご入院

2022-02-08 21:55:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/sankei/nation/sankei-_life_imperial_U2RHPKHKORJ23M5EXRCXI4B4KE?fm=dつひに天皇家一族からも感染者を出すと云ふ、本来あってはならぬ事態となりにけり。喉の痛みだけで發熱は無い云々、さりながら人災疫病の感染は感染、こりゃ取り . . . 本文を読む
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創作模索格闘苦闘。

2022-02-08 19:31:00 | 浮世見聞記
東京都目黒區駒場の日本近代文学館にて、「明治文学の彩り 口絵•挿絵の世界」展を觀る。現在では、挿繪入りの小説は“お子サマ”向けな印象があるが、江戸時代から明治時代にかけては作品世界を構築する最重要な要素であり、殊に江戸時代の戯作の場合は口繪や挿繪を先に描ひてから、筋(文章)を練った云々。明治になってからもさうした“傅統”は受け継がれつつ、物語の結末は文章ではなく挿繪で暗示するなどと云った新たな試み . . . 本文を読む
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誰もが主役の甘い罠。

2022-02-07 18:54:00 | 浮世見聞記
昨年に續ひて、サントリーBOSSとザ・ドリフターズとのコラボ缶の第二弾が今月朔日に發賣され、やっと自販機で見つけたので買ってみる。往年のコントを取り入れたCM動画も、メンバーの似顔繪をデザインしたロゴマークも、ドリフ世代には樂しく、嬉しい。そして、志村けんさんが亡くなって、来月末でまう二年となることを想ふ。今から思へば、あの訃報に接したときが、最も人災疫病に對して緊張を覺へた時だっ . . . 本文を読む
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錦の帰還。

2022-02-06 10:48:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、觀世流の「實盛」を聴く。かつては源氏方で功あれど、時勢のイタズラで平家方となり、しかし心は旧主を忘れてゐないことを後世に遺すため、老武者と侮られんがため白髪と白髭を黒く染め、錦の鎧直垂をまとった若武者の出で立ちで篠原合戰に臨んで討たれた古武者、斉藤別當實盛を取材した謠曲。「實盛」と云ふと、私は數年前に國立能樂堂で觀た金春流前宗家の舞臺が忘れられない。後場のクセは地謠方の受け持ちで、シ . . . 本文を読む
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国内コロナ感染、再び10万人超死者100人上回る、第6波猛威

2022-02-05 23:06:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2022020501000964?fm=d 今度こそ、各報道屋とも同じ數字を示したやうだ。私の知ってゐる人のなかには、いまやすっかり疫病禍倦みして「結局マスクをしても、しなくても、同じなんだよ」と、マスク着用を放棄した人もゐる。私は、勝手にすればよ . . . 本文を読む
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人力貨物の軌跡。

2022-02-05 21:20:00 | 鐵路
ミューザ川崎シンフォニーホールの企画展示室にて、「鉄道操車場物語─新鶴見から塩浜へ─」展を觀る。昭和四年に開業し、日本の物流の大動脈を担ひ續けて“東洋一”と謳はれ、昭和五十九年に廃止された新鶴見操車場と、(※新鶴見操車場跡の一部。現在は新鶴見信号所)現在も川崎臨海部から日本の重工業を“運ぶ”面で支へ續けてゐる川崎貨物驛(旧塩濱操驛)の役割と歴史を、臨場感溢れる貴重な記録冩真と文書、現場で活用されて . . . 本文を読む
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街並みに生きる証を識る。

2022-02-04 17:36:00 | 浮世見聞記
東京都目黒區中町一丁目の新榮教會脇に、明治から戰中までこの場所にキリスト教精神に基くハンセン病患者のための私立病院「慰廃園」があったことを、通りすがりで逢った石碑により知る。古くは“らい病”とも云ったハンセン病の存在を、私はかつて遠藤周作が昭和三十八年(1963年)に發表した小説「わたしが•棄てた•女」を原作とする熊井啓監督の映画「愛する」(平成九年 日活)を觀て、初めて知る。原作の . . . 本文を読む
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