迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ごゑんきゃうげん13

2017-03-31 04:58:33 | 戯作
僕がおや、と思っているうちに、熊橋老人が盆に湯呑みを載せて戻って来た。 僕は「ありがとうございます……」とお茶をいただきながら、 「熊橋さんは、この奉納歌舞伎に出られたことは?」 と訊ねてみた。 「ワシは、出ていないんですわ」 思いがけない答えが返ってきた。「ワシが子どもの頃言うたら、ちょうど太平洋戦争中やさかい、戦争中は、祭りはずっと中止やったんですわ……」 「それは……、失礼しまし . . . 本文を読む
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