田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

視覚と聴覚の違い

2009年08月13日 | 日記
とあるマンションの一室。
女がソファーに座って寛いでいる。
そこに男がやって来て、キョロキョロと部屋を動き回る。

女 「何してんのよ?」
男 「・・・別に。」
女 「また探し物?」
男 「ちょっとな。」
女 「あれを探してるんでしょ?」
男 「どこかで見かけなかった?」
女 「もう、いい加減にしてよ。いつもいつも・・。
  この間お義母さんから聞いたわよ。子供の頃からそんな調子だったんでしょ?
  何でもその辺に放ったらかしにしてるから、
  いざって時にあちこち探し回ることになるのよ。
  子供の頃も、すぐに鉛筆や消しゴムや玩具を失くしてたそうじゃない。
  大人になっても同じ。鍵の置き場所ぐらいちゃんと決めておきなさいよ。
  あっちに置いたり、こっちに置いたりするから、そうやってすぐに失くすのよ。
  携帯電話は?免許書、腕時計、財布、他には何も失くしてないの?
  指輪とか、歯ブラシとか、入れ歯とか・・あ、入れ歯はしてないか。」
男 「うるさいな!お前どこにあるか知らないのか?」
女 「何が?ハンカチ、眼鏡、ボールペン、それとも方位磁石?」
男 「だから・・」
女 「上着のポケットじゃないの?」
男 「さっき見たけど無かったよ。」
女 「ちゃんと確かめたの?この前は下駄箱の上にあったし、ゴミ箱に落ちてた時もあった。
  冷蔵庫の中から出てきた時は驚いたわよ。今頃洗濯機の中で回ってたりして。
  レンジの中かな?まあ、今回はどこにあるのか私は知ってるけどね。」
男 「どこ?」
女 「この家の廊下の突き当たりの玄関を出て、エレベーターで一階まで降りて、
  マンションの駐車場を西へ100キロ移動して、
  赤いポストの角を曲がった所に交番があるから、そこで聞いてみたら?」
男 「いい加減にしろよ!」
女 「さっき言ったでしょ。」
男 「だから、見たけど無かったって言ってるだろ。」
女 「本当に?」
男 「本当だって。」
女 「何が?」
男 「何がって、何が?」
女 「何がなかったの?」
男 「だから・・」
女 「鉛筆?消しゴム?玩具?」
男 「いや、」
女 「ホウキ?塵取り?それとも掃除機?」
男 「違うよ。」
女 「ビスケットか?叩いてごらん、増えるかもよ。」
男 「だから違うって、ここには何も・・・あ、あった。」 
女 「ほら。ちゃんと確かめないからでしょ。」
男 「ごめん。」



さて、ここでクイズです。
男が探していた物は何でしょう?そしてそれはどこにあったでしょうか?

答えは簡単ですね。

もし「何だっけ?」と思っても、もう一度読み直せばすぐに分かります。
何度でも確認出来るのは、文字情報を読む際の利点ですよね。


でも、


上の会話を耳で聞いているだけだとしたら?
しかも会話の内容を事前に知らない状態で、一度しか聞けないとしたら?


早口で聞き取れなかったり、逆にゆっくりダラダラと不明瞭に喋ったり、
肝心のところで声が小さすぎたり・・と、
悪条件が揃うと内容を把握しにくくなりますよね。
目で活字を読むより、聴覚だけで会話の内容を把握する方が、
場合によっては難易度が上がるのです。

だから、

僕は役者として、ちゃんと台詞を発する様に心掛けなければならない。

ちなみに・・
余分な台詞を削って、台本を分かりやすくするのも、ひとつの方法ですね。
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今を生きる

2009年08月13日 | 日記
何だか昔のネタが続きます。
先日PCの中身を整理していたら、出てきました。

もう10年ほど前のことでしょうか。
最初のPCを購入してすぐにペイントで描いた犬の絵です。
説明すると犬の郵便屋さんですね。

我ながら可愛い。(自己満足)

今描こうと思っても絶対描けないですね。しかもペイントで・・。

何事もそうだけど昔の自分には戻れないし、
昔の自分を超えることも難しい。
詩もそうだ。昔書いてた様な詩は今じゃ書けない。


あ!

芝居もだ。


昔書いた独り芝居の台本を最近読み直したてみたのですが、
「ようこんな本書いたな・・ようこんな芝居したな・・
ちゅうか、ようこんな企画を実行に移したな・・
今また同じこと出来るやろか?・・無理やわ。」
と、ため息ばかりで。

いやいや、そうじゃない。



昔の自分と同じことなんて、一切する必要ないってことだ。
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