町

隣家の庭は すこぶる端正だ
春夏秋冬 それぞれの花が
良い頃合に そつなく咲く

風吹く町の何処かから
幸せそうなピアノの音が 聞こえてくる
選曲も 中ほどな幸せに満ちているらしい

今日も屋根で 鳥はさえずる
合歓の木は 風の中がよく似合う

平和な景色
長閑な町

交差点の信号が点滅している
人は足早に 渡っていく

カッコウの声が こだまして
合歓の花は 淡い色

花と海

いたって海は静からしいが
この場所は、何気にざわついている

吹いてくる風は爽やかなようだが
少し湿り気を帯びて
花は素直に揺れる

しゃしゃりでたくない
冷や汗かいて、望まれてるかも分からないのに
舞台に上がることができない
僕に演技は
到底、逆立ちしても無理なようだ

どんなに見える海が静かだろうと
ここはざわつくのだ

夏の花が風を見せてくれても
花の真意を謎解こうとするのは
何故だろう

地

格好つけてたって
全く状況は変わらない

人の目気にせず
君の目気にせず
僕の目気にせず

出来る限り広範囲で
もがかないと
この状況は
延々と続きそうだ

飛び込むか?
ざっくばらんな
藻掻きの荒波に

何もないかのような
うっそうとした
茨に