あなたの鍵であたしを開いて

最近やたらにパスワードを入力することがあるけれど、
４桁、６桁、８桁、下手すると１３桁なんてある。
覚えられるか！
そして９０日後には変えろとうるさい。
どんどん数字は増やされていき、とうとうあたしのキャパシティオーバー。
会社の殆どのシステムに入れなくなってしまった・・・
そしてあろうことか、ネットバンキングのパスワードが不明に。
メモっておけというかもしれないけれど。
それを更新することすら忘れてます。

無駄なのです。

指紋、音声、角膜、血管・・・
なんでもいいっす。
身体の一部でぴぽっと通してください；；
そんなあたいは人の家の合鍵を何個も持っている。
どこの家のかわからなくなりそうで怖い。
今は所在がつかめなくなっている友人たちの鍵もあったりする。いいのかなぁ。

これを書くようになり、どうして連絡しなくなってしまったのか
悔やまれてならない。
奴らはネタの宝庫だった・・・

１０代のあたいにとってはとってもとっても「毒々しい」が、
２０代も後半になりよごれちまったあたいにはとってもとっても「癒されそう」です。

あぁ、清かったあたし。かむばっく。

（そして今回結構下品です。すんません。）

当時ぷらぷら遊んでいたあたしを街で拾い、いろんなことを教えてくれた彼はおかまさんでした。
彼女というと嫌がるひとで「彼」です。
彼には彼氏がおりました。（まぎらわしいなぁ）
愛の形、人それぞれと思っているのでへー。っとは思いましたが、自分の身は安全です。
とってもかわいい彼とごっつい身体の彼氏。
彼氏の車に３人で海を見に行ったり、映画を観たり、呑みに行ったりなぜかかわいがってくれました。

彼氏は無口な人だったが呑むと少しだけしゃべる人だった。
好きになった奴がたまたまオトコだったんだ。それだけなんだよ。
こいつだと思った奴をみつけるんだよ。なんかい間違ってもいいんだからね。
人を想う気持ちは誰にでもいくつになってもあるから。あせることは無いよ。

酒臭い息を吐き頭をなでながらぽつりぽつりと、あたしに言うでもなく言葉を出す。
無言でうなずくあたしの頭をさらに撫で回す。
そんな様子を笑ってみていた彼は・・・・良くしゃべる。

計画性は大事なんだからね。ゴムは必ずしなさいよ。
嫉妬はどうにでもなるけど、病気が一番怖いんだからね！
身体は身体。心は心よ。一回こっきりだったら引きずっちゃだめよ。

あんたが言うと説得力あるね・・・
おぼこむすめにそんなこと言うか？ありがたい助言です。はい。
現在も教訓とさせていただいておりますよ。

そんな彼と買い物に行ったとき珍しく彼はあたしの顔をじっと見つめて

この世の中、オトコとオンナしかいないのよ。
身体、心、違っていても気持ちはつながるものなのよ。

一生に一人くらいは誰でもお互いの歯車が一部のずれも無くかみ合う相手がいるもの。
パズルのピースもそうかもしれないね。
似ていても本当は合っていないものがはまっているのかもしれない。

オトコが鍵だとするとオンナは錠前。
なんか使えば開くかもしれないけど、抵抗はあるでしょうが。

本当に合う相手なら気持ちよくロックは外れるものよ。
あんたも誰かに開けて貰いなさい。


ゆっくり言い含めるように彼は言っていた。
そして何事も無かったように鼻歌を歌いながら

ちょっとあたしの錠前は事情があってね！

と、白い外国製のクリームを手に会計へと走っていきました。

錠前って・・・そっちかよ！

深くは突っ込めませんでしたが、

今でも彼のココロの錠前をはずす鍵が近くにありますように。
元気で居るのかなぁ。