Three frogs which smile.

酒飲みは奴豆腐にさも似たり
初め四角であとは ぐずぐず

愛ってめんどくさい

2005-03-17 | 日々の種
フランスのポルノ女優ラファエラ・アンダーソンの自叙伝「愛ってめんどくさい」。
彼女は18歳の時初めての撮影で処女を失う。
何かを変えたかったからこの世界に入ったという彼女の生き方。それもまたまっつぐなのかも知れない。

ほかの人と付き合っている人とばかり関係を持つ女K子。
たまに電話がかかってくるときは大抵別れた時である。
男が絡まなかったらほんとにこいつはいい奴なのに。
友達の彼には手は出さないのよと言い放つが別に威張れたことではない。
先日はいつも以上にテンションが上がっていた。
どいう人だったのか、どいう風に落としたのか。で、どんな風に別れたのか。
落とすための彼女の手口もまたいろいろと手を変え品を変え努力するのだ。
偶然を装い同じ英会話教室に通い始めたり、ゴルフを始めたり、相手の鞄の中に携帯を忘れた振りして忍ばせ、次の日に会う約束を取り付けたり・・・

その執念をどこかに使えよ。

相手と時間を合わせ、相談をしたりなんだりで「あなたがいなきゃだめなのよ」光線を発射。
顔もいいし、スタイルも悪くないし、見事相手をしとめ、彼女との仲をぶち壊し、3,4ヶ月で捨てる。

あんたさぁ、そろそろその癖やめないと縁切るよ。

3年前はK子も普通に恋愛をし、結婚もしていた。彼女が離婚に至った原因は旦那さんの浮気だ。
当時、彼女があたしに 「あたしよりも幸せそうな人を見るとぶち壊したくなるのよ」 と言っていた。
今回もK子は 「壊れてせいせいした」と言ったのだ。
その声はあまりにも痛かった。彼女が何を求めているのか。
相手がいるということは「人を愛することが出来る」ということだと思っているんだ。
だから、自分にもその可能性が欲しいんだ。自分ひとりのためだけに眼を向けてくれる人が欲しいんだと思う。

そりゃ、あたしも欲しいさ(笑)。 欲しいが今はなるようになると思っているし、
自分のことで眼いっぱいで一人の人を一身に愛するということが出来ないかもしれない。
愛されるということは自分から愛さないとねと言われたがまったくもってそのとおりだと思ってる。
むりくり誰かを求めたりとか、奪おうとかという考えは今無い。

K子は当時きっと自尊心も傷つけられたのだと思うし、それによってできた穴をどうやったら埋められるのかが未だに判っていないのかもしれない。
だから奪うことに思いをぶつけるのか。そして相手が振り向いたということは、K子が彼女になったとしても浮気をする可能性があるということになる。
それが嫌で別れるのだ。
自分ひとりに眼を向ける人を探すために、うらやましいなと思う相手に近づき、振り返るか否かを見定め、自分の下に来たことで相手を判断する。
なんて屈折した想いだろう。

なぁ、K子。あんた今の自分好き?
あたしはいまのK子は嫌いだよ。 自分の気持ちに嘘ついてたら、その状態が「K子」って思われるんだよ。
そんで今のままでいたらほんとにその嫌なオンナ「K子」があんたになっちゃうんだよ


うるさいよ。余計なお世話であたしはこれでいいの。

いいならいいけれど、誰も傍にいなくなっちゃうよ。
もちろんあたしもいないから。あたしは昔のK子が好きでそれを嫌いにはなりたくないさ。

なぁ。呑みにいくべ(笑)


・・・あんたは最後決まってそれだね。

長い沈黙の後、受話器から小さい嗚咽が聞こえていた。3年の間彼女はあたしの前では泣いたことが無かった。
しばらく彼女のくぐもるような声を聞きながら、もしかしたら彼女の長い冬は終わりに近いのかなと思った。
なるようになれ。よいようになれ。無責任だと思われても、それがあたいの願いだったりする。