aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

神の眼、人の眼

2017-12-12 21:52:12 | 美術
フジフィルムスクエアで「アンセル・アダムス」を見てきました(この展示は既に終了しています)。

アンセル・アダムスの作品約60点、オリジナル・プリントでという実に太っ腹な企画です。近くにいた若いお客さんが「フジフィルムってずいぶん写真文化に貢献しているよなぁ」と言っているのが耳に入りましたが、ほんとにその通りです。もう、圧巻のモノトーン。神の視点。アメリカの風景が創世記の光景のように見えてしまいます。大好きな「月の出、ヘルナンデス」や「月とハーフドーム」も見られて感無量でした。「マンザナールから眺めたウィリアムソン山」も神々しい。「アスペンス」の透明な美しさも心に残ります。珍しいところではインスタント写真の「墓地の細部」も。絵画のようです。会場では、アンセル・アダムスの残した言葉の数々も紹介されていました。「ネガは楽譜、プリントは演奏」「私は美を信じている。石と水、空気と土、人々とその未来と運命を信じている」。そして「写真を撮ることはたやすいが、写真で傑作を生み出すことは他のどの芸術よりも難しい」という言葉も・・・。詳しい年譜もありました。アンセル・アダムスが元々コンサート・ピアニストをめざしていたというのは初めて知りました。

この日は写真歴史博物館の方で大原治雄展も見てきました。開拓農民としてブラジルへ渡り、アマチュア写真家でありながらブラジルで高い評価を得たという方です。不肖わたくし、大原氏のことは知りませんでしたが、日曜美術館で紹介もされていたのですね。大原氏の写真を見ていると、なぜか「無心」という言葉が思い浮かびました。先ほど見たアンセル・アダムスとは、好対照なのかも。天の視点と地の視点。神の眼と人の眼。「昨日まかれた種に感謝。今日見る花を咲かせてくれた」という氏の言葉もありましたね。とりわけ、子どもを撮った写真が、好きだったなぁ・・・。

そんなわけで、二つの展覧会(しかも無料)を楽しんでまいりました。解説のパンフレットも充実していたし・・・フジフィルムさん、本当にありがとう・・・。
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