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閉経前後から起こる骨量減少。まずは自分の骨の量(骨密度)を知ることから!

骨量は閉経前から減り始め、閉経後はぐんぐん減っていく

更年期の症状といえば、よく知られているのは頭がカーッと熱くなり顔から汗が吹き出るホットフラッシュや、動悸、イライラ感、皮膚の乾燥、性交痛などでしょう。これらは、卵巣機能が低下し女性ホルモンであるエストロゲンが減少して起こる症状です。

しかし、エストロゲン減少によって起こる体の変化は、実感できる症状ばかりではありません。むしろ、体の内部でひそかに起こる変化にこそ、対処の重要なものがあります。その代表が、骨の量(骨密度)の減少です。

たとえば、同じ50歳という年齢でも、その骨の状態は月経の状態によりかなり違ってきます。エストロゲンは、ヒトの体の中で骨の健康を維持する重要な役割を演じています。
月経の状態によって骨の状態がどのように変わるかを追った調査があります。月経が順調な人、不順な人、閉経を迎えた人、閉経後年数1~3年の人、4~6年の人と細かく分けて、1年間の変化をみたものです。それによれば、月経が順調な人は、ほとんど変化しません。しかし閉経を迎えると、骨量ははじめの1年間で約3%減り、10年間で20%も減ってしまいました。骨粗しょう症の診断基準では、若い人の骨密度の平均値(YAM:Young Adult Mean)を100%として、20~30%減少した状態を「骨量減少」、30%以上減少した状態を「骨粗しょう症」と診断します。

骨の健康状態は血液検査や尿検査でもわかります。骨の成分がどれだけ溶け出しているかがチェックできるのです。それらの検査を骨代謝マーカーといいます。閉経後はこの骨代謝マーカーは急速に増加しますが、これは骨が薄く脆くなっていっていることを物語ります。

背中が丸いのも、骨粗しょう症の症状

骨粗しょう症になると、どんな問題が起こるのでしょう。
高齢者の寝たきりの原因になりやすいのは、太もものつけ根の骨が折れる大腿骨頸部骨折です。しかし、多いのは背骨の圧迫骨折で、一つひとつの背骨の中がスカスカになり、ある時クシャッとつぶれてしまうものです。「年をとると背中が丸くなる」と思っている人が多いかもしれませんが、骨粗しょう症のせいかもしれません。

背骨が曲がると、生活の中でさまざまな問題が出てきます。たとえば、これまで手が届いていたところに届かなくなる、これまで似合っていた服が着られなくなる、背中が丸くなるので肺が十分に広がらない、胃腸の不調、逆流性食道炎などにもなりやすい……などです。
さらに、そんなふうに姿勢が悪くなると、外に出るのもイヤになってしまう⇒抑うつ気分も出て活動性が低下し、骨量もどんどん減っていく⇒バランス感覚が鈍くなり、転倒しやすくなる⇒さらに骨折を起こす……というように、骨折の連鎖が始まってしまいます。

自分の骨の状態を知りましょう

閉経は、すべての女性に起こります。しかし、実際に骨粗しょう症になる女性と、ならない女性がいます。その差はどこからくるのかといえば、もともとの骨の強さや骨の蓄えがあるかどうかによります。しかし若いころには戻れません。

そのため、更年期からの食事のとり方や運動量など、ライフスタイルがとても重要です。バランスのよい食事を中心に、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどを十分とること、毎日30分以上歩くなど、適度な運動で骨に負荷をかけることも大切です。しっかり食べても、動かない生活では骨は強化されません。
すでに閉経している人や月経不順の人、過去にダイエットで月経が止まる経験をしたことのある人、ご両親が骨粗しょう症の人、小柄で骨の細い人、生活習慣病や嗜好品も、骨粗しょう症と深い関係があります。

多くの自治体で、50歳以上の女性に対して住民検診の中で骨密度検査を行っています。こうした機会をうまく利用して、まずは自分の骨の状態を確認しましょう。

更年期は、その後の人生を健康に過ごすための準備期間

今、世界では、更年期を「今の健康状態をチェックするとともに、閉経後も健康に過ごすことの大切さをよく理解して健康管理をする時期、そして閉経後に急激に増えるさまざまな病気の予防対策を講じる時期」と、とらえるようになってきています。

その中でも骨粗しょう症は骨折した後の死亡率が高いことがわかってきています。現在は死に至る病として認識され、骨折予防に非常に力が入れられています。

のぼせやほてり、イライラ感などが解消すれば、「更年期は一件落着!」ではありません。閉経後35年を超えて生きるという長寿・高齢時代を、ずっといきいき過ごすために、更年期を健康を見直す良い機会としてください。

※この記事は2010年12月に配信された記事です