●去年の看護師たちは7
去年いた看護師たちと会話を試みたけれど、よい会話は戻ってこない。多忙で、それどころではない。会話にならない。挨拶も満足にできない。廊下ですれ違っても、素通りするだけだ。つまらん。
今回の入院は、一0日間だ。対話は、あきらめよう。病室にきても、安易に会話ができる状況を作れない。今年知り合った、新しい看護師に声をかけて遊ぼう。
●消えた看護師8
患者「去年いた看護師の久美子ちゃんは、どこに行ったの?」
去年いた看護師「久美子ちゃんって、誰ですか?」
患者「いただろう。苗字は、忘れたけど…」
ここの病棟では、看護師たちはお互い「苗字」で呼び合っている。とぼけるな。名札にはフルネームで記載されている。仲間同士で、「氏名」を知らないわけがないだろう。
この看護師、俺にシットしているな。一人の男性患者を相手に、女の醜い争いが繰り広げているようだ。
●消えた看護師9
患者「去年いた看護師の美代子ちゃんは、どこに行ったの?」
去年いた看護師「美代子ちゃんって、誰ですか?」
患者「苗字は、忘れたけど…。美代子ちゃんのメールアドレス、教えて下さい」
去年いた看護師「個人情報は、教えられません」
ケチ。もしかしたら、君の返事一つで、「愛」が芽生えるかもしれないのだぞ。多分彼女は、人事異動で、この病院内のどこかにいるはずだ。
けれども、救急病棟、手術室、神経科病棟となると、入室ができない。確認がとれない。俺は、ストーカーか。