風の族の祝祭

詩歌の森のなかで、風に吹かれて、詩や短歌や俳句の世界に遊んでいたい。
著作権は石原明に所属します。

「連衆」71号 「火にせよ」 22句

2015-06-27 14:38:14 | 俳句
谷口慎也氏の「連衆」71号に特別参加作品として「火にせよ」22句を寄稿しました。


「火にせよ」


散る桜ちるちる電動車椅子
春の日にひとは尻尾を出して寝る
紋白蝶死角はここよと睦みあふ
夜桜や鬼は童子を名乗るべし
つちふるや草生す屍ひとむしり
繊毛の戦ぐ生殖養花天
蛸と少年見つめあひつつ磯遊
行く春やバンドエイドの巻き心地
広島忌の汗を量産する機械
千代紙は折りて火にせよ原爆忌
どうしてもセシウムは白薔薇に降る
未使用の柩のごとき夏の蝶
木下闇君は本田圭祐だらう
誘蛾灯だからワルツは踊れない
水中花のやうにプールに身を投げよ
夏潮を抹香鯨で押し通す
囮鮎ほどの悪意や川綺麗
蜻蛉来て俺に似てると言ひて去る
鵙高音ちよいと殺した贄ばかり
流星は鯨の燃え滓かも知れぬ
少年は液体酸素秋の水
聖夜祭コツプに嗤ふ総入歯

コメント
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