企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

成長を実感する組織をどうつくるか

2006年08月13日 | 本の紹介(ビジネス)
組織において、人は成長するから仕事を頑張るようになる。そうだなぁ、と思う。多くの企業が、いまだに高度成長期のキャリアしか従業員に対して準備できていない、それが、人が育たない現在の問題の根幹だ、というような話し。すなわち、エリートコースか、万年平社員もしくは係長、というキャリア。人の成長って、結構早いと思うのだけれど、年に一回の考課であったり、専門職とは名ばかりの、平社員コースだったり。
成長の実感をもてることが、仕事に対するモチベーションにもなる、という視点はとても重要だと思うが、そもそも成長を実感させていないし、また成長しても給与水準はさして変わらないという制度を維持していることが多く見受けられる。また、成長していかないでも、長年働いているからといって高い給与を得ている人も多いし、一方で、55歳だから役職定年だ、と線を引いてしまい、成長余力があり成長への興味・関心を失っていない人材に対しても、役員コースでなければまともな職場を与えなかったりする。
組織なんて、人の使い方しかないし、使うための教育でしかない。なのに、バブル崩壊以降、教育に時間もコストもかけないし、社会情勢にあわせての人事制度の変革が進んでいないのも事実。
この辺りはオーナー企業なんかの方がうまくやっているのだろうね。ただ、成長の機会を与えてくれた会社や組織に対して、平気で反逆したり、成長した自分への自尊心が高まる人もいて、組織運営をする側としてはそうした人の扱いも困るものだ。
この本には、どんな企業にも当てはまる正解が書かれているわけではない(そもそも共通の正解なんてないだろう)が、どんな企業がどんなキャリアを準備して従業員のモチベーションを維持していっているか、という事例が豊富に掲載されている。
日々、改善、改革が叫ばれる現在、組織のあり方、キャリアの設定、についてはある程度のスピードを持って変革が求められるのだろう。私の思いは、一部の先駆者に対しては、キャリアや制度は後追いで、そして残りの多くの従業員に対しては、制度がモチベーションを引っ張り挙げる形で存在すべきなのだろう、ということ。
先に制度構築が全て、みたいなのもおかしいし、制度を整えないこともだめだろう。そんな微妙なハンドリングができる経営者を目指していきたい。


人が育つ会社をつくる―キャリア創造のマネジメント

日本経済新聞社

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