2つのゼリー

2014年02月25日 13時42分23秒 | 黒猫のひとりごと

                            ・・・  ザァァァァァァ   ・・・・

            バサ  ――   ・・・

ロープがゆれる・・・

ヘテロが、タープを張っているのだ。

フワリさんが、ライトで周りを照らしてる。

斜面のくぼみに、大きな石がいくつか集まった場所。

お日様が去った後も、しばらく湖の側を歩いていた。

だけど、森の中に入った。

フワリさんは疲れているみたいで、歩くのも遅くなっていた。

今日はここで休憩して、お日様が来るのを待つようである。

                   コト

カールさんは、小さな石を集めてる。

湖から吹き上げる風が強いので、大きな石の影にいる。

ヘテロは横の木と、斜面のくぼみの上の木にロープを結んで、タープを斜めに張っている。

おや。

このタープ、雷が来た日に僕らが使っていたのと同じ。

ヘテロのリュックから出てきたものである。

あの時、斜面が川の様になったので、タープはそのままにして僕らは去ったのだ。

それを、ヘテロが持ち去った様。

「このタープ・・・」

「君らが置いて行ったのを借りたんだよ」

「そう・・・グランドシートは僕が持ってるよ」

                ガサ

カールさんが、リュックからシートを出した。

「敷くの?」

「うん」

「手伝う」

             バサ    バササ  ・・・

フワリさんと一緒に、風よけの石の前にシートを敷いてる。

「ニャー」

「枝を集めてくる」

「うん」

ヘテロは、傘を持って雨の中に去った。

「・・・前みたいに葉っぱ下に置かないの?」

「後で集めるよ」

      

シートの上にのる。

下も石なので、ゴツゴツする。

そして、冷たい。

「チュ♪」

マヒワは、カールさんのリュックの上にいる。

開いているから、中に入ったり出たりしてる。

カールさんが、石をシートの隅に置いてる。

「ペグならあるよ」

ヘテロが、逆さの傘に木の枝を乗せて戻って来た。

折り畳みの傘は、カールさんとヘテロがそれぞれ持ってた。

                バサ   バササ  ・・・

                             ・・・・   ァァァァァァァ    ・・・・・・

「ありがとう」

ヘテロが、鉄の杭とハンマーをリュックから出して、カールさんに渡した。

           ジャリ  ・・・

                                   ザッ   ・・・

そして、また雨の中に去った。

「わたしも手伝う」

「・・・じゃあ、僕のカバンから食べ物だして」

「うん」

                     コン   コン

シートの隅にはひもがあって、カールさんがそれを杭で固定する。

「チュ♪」

フワリさんが来たから、マヒワはその腕に乗った。

「ニャー」

「お腹すいたね」

        ポト         パサ

フワリさんが、カールさんのリュックからパックとかを出す。

ごはんなのだ。

                             コン   コン

「・・・食べていいよ」

「・・・・」

            カサ

ニャ

フワリさんが、お菓子を食べようとしてる。

                      パク

                               モグ モグ

「おいしい♪」

「ニャー」

「キキ」

ずるいのだ。

「これはだめよ」

「チュ」

マヒワも抗議しているのだ。

「・・・マロックさんのゼリーがあるはずだよ」

「・・・・」

               ゴソ    ゴソ

フワリさんはモグモグしながら、リュックに手を入れる。

「あった」

ニャ

一口ゼリーを持ってる。

僕らのかな。

「・・・」

どきどき。

           プチ

フワリさんは、それを開けた。

「あげる」

それを、僕らの前に置いた。

        ぺロ ぺロ

甘い。

                  パク

「ニャー」

おいしい。

                      プチ

「もうひとつあるよ」

隣に、もうひとつ同じのが置かれた。

リスとマヒワが、それをつつく。

                                    コン  コン

「できた」

カールさんが、3つの隅を杭で固定した。

ひとつは、石。

     ジャリ   ・・・

ヘテロも、戻ってきた。

また、逆さの傘に枝。

「・・・・」

「お腹すいてるんだろ・・・とりあえずこれ食べなよ」

カールさんは、フワリさんが出した細長いお菓子を取った。

「ありがとう」

それを、ヘテロが受け取った。

「2日間どうしてたの?」

「木や石の影で、何とかやり過ごしたよ」

「食事は?」

「少しだけ持ってたから、それで何とか・・・」

「そう」

               ジャリ  ・・・

ヘテロは、また去った。

      ぺロ  ・・・

ゼリーは食べ終わったのだ。

                   コト  ・・・     コト   ・・・

カールさんは、さっき集めていた小さな石を積む。

あの中で、たき火すると思う。

「キキ」

リスもそれがわかっているから、僕の隣に来た。

      コト   ・・・

                   パチチ   ・・・

枝が燃える音。

「さむい」

フワリさんも来た。

            バチ ッ            パチン

                                     ――  ゥゥゥ  ・・・・・

風の音。

ここは斜面のくぼみで石の後ろなので、風の音だけ聞こえる。

「あったかい」

「ニャー」

暖かくなってきた。

辺りがぼんやり照らされる。

「・・・朝まで長いね」

フワリさんが、僕の背中をなでる。

              パサ

僕は、シッポでタッチする・・・

       パチチ  ・・・        バチッ  ――

                                    ・・・・   ァァァァァァァ    ・・・・・


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