─ APOLLO ─ simokitazawa

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【6】 モー? いるんだろ?

2010年05月28日 | Diary
Jack:わたしになんの用だ。

男:なんの用?いいかい?Jack。君には君の仕事ってものがあって、わたしにはわたしのやるべき仕事ってもんがある。そういうものだろ?それが現実だよ。君たち人間が言うところの真理ってやつだ。

Jack:でもあんた。あんたがわたしの作曲の手助けをしたところで、それでわたしはホントに救われるのかね?わたしは音楽家として、わたし自身の力で、わたしの仕事をやり遂げるべきなんじゃないかな。

男:(憤慨した様子で)あんまり難しい事言わんでくれよ。わたしは君に呼ばれたから来たんじゃないか。哲学みたいな事はさ、そっちの専門がいるから、そっちを呼んでくれよ。 あの、何といったかな・・・・醜男の・・・・

Jack:ソクラテス?

男:(的確な答えに再び動揺する)・・・・・・。

Jack:わかったよ。わたしが呼んだって訳なんだよな。 わかった。悪かった。わたしが悪かったよ。

男:そうかい。とにかくだな、Jacky。作曲を片付けちまおうじゃないか。次の予定がつかえているんでね。コーヒーでも飲みながらさ。

《(Jack)ゆっくりと立ち上がりコーヒーを淹れ始める》

《(男)立ち上がって本棚を物色し始める。》

男:(写真集を手にして)アニー・リーボヴィッツじゃないか。彼女は素晴らしいね。ウーピーの写真があるだろ?ミルク風呂に入ったやつ。 あの写真がいちばん好きだなぁ・・・・。

Jack:(コーヒーを淹れながら)あぁ、あれは最高だね。

男:(写真集を本棚に戻し、部屋を見渡す)サキソフォンがあるんだね?(近づいて)オールドのアメリカンセルマー。わぁ、こいつはすごいや。14000番台のアルトじゃないか。すごいよ。どこで手に入れたんだい?わたしも欲しいなぁ・・・。高いんだろ?







――――つづく―――――










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