それは今から約３０年前のこと、
生まれた時から重度の脳性マヒの少年やっちゃんが
たった一度だけ書いた詩があります。
全身が不自由で口もきけないので、
奈良の明日香養護学校の向野先生が
彼を抱きしめながら、「投げかける言葉」が、
やっちゃんの「いいたい言葉」の場合は、
目を閉じて イエス、
ノーの時は舌を出す。
最初の「ごめんなさいね おかあさん」だけで
約１ヶ月かかった。
この本を家人が自宅に買ってきたのが５～６年前。
本の題名、
「お母さん、ぼくが生まれて、ごめんなさい」
これを目にするだけで、
この本をなんとなく、ずっと避け
仕事に逃げていた自分。
昨年3月、「小さな人生論２」を購入する。
なんとそこには、
同じ詩の紹介があった。
先週の日曜日、改めて、自宅のどこかにある、
「お母さん、ぼくが生まれて、ごめんなさい」を探し、
今度はきちんと、向き合い読んでみる。
やっちゃんが一生懸命に書いた詩を見せられたときの、
お母さんの気持ち。
『だれにあやまる必要のない“いのちの誕生”のはずですが、
苛酷すぎる十五年間の暮らしの中で、少しずつ重く、重くなり、
ついに、「ぼくが生まれてごめんなさい」と言わずにはいられなかったのでしょうか。
それだからこそ、いっそう母子は、
ともにいたわりあって生の意義を確かめたのです。』
と向野先生。
子は母を想い、母も子を想う。
その絆は海よりも深い。
やっくんは、お母さんへのすべての感謝を一篇の詩に凝縮させて
この２ヵ月後、
１５年という短い生涯を、 天国へと旅立ちます。
命の尊さを感じられずにはいられません。
先日、兼ねてより存じ上げている
沖縄教育出版社の川畑社長の講演が高知であった。
共に学び共に成長する人間尊重の経営 を掲げ
ハンディを負った人々の雇用を積極的に行い、いまでは１０名もいらっしゃる。
「彼ら、彼女らは会社の宝だ。なぜなら、
彼らがいるから、やさしさと思いやりの会社の風土ができた。」
「利益は目的ではなく、社会貢献のための絶対条件。」と言いきられる。
「一度しかない人生を何の為に一緒に働いているのか。」
という言葉をなげかけられた。
ちようど２年前の２００７年５月の高知中小企業家同友会での報告で、
わたくしの仕事の目的は「人づくりである。」と発表し、
そして一生かけて実現したい夢は、
「ハンディのある方と健常者が一緒に働ける職場を作りたい。」と宣言した。
そして最近、
また一歩夢に近づくエネルギーとなる出会いがあった。
天水の恵シリーズの新作品、
こだわりの石鹸の製作をお願いしている、
厳しい田舎ぐらしをたくましく、そして楽しく生き抜く母子の
にしくまさんからご紹介頂きました、
ハンディキャップをお持ちの息子さんのお母様です。
まさに運命的なこの出会いに感謝いたします。
私事で恐縮ですが、
今年５０歳を迎えます。
人知れずひっそりと咲く山櫻。
今朝の自宅近くにて 。
吾、１５にして学に志し、３０にして立ち、４０にして惑わず、５０にして天命を知る。
６０にして耳順（耳にしたがう）、
７０にして心の欲するところに従って矩（のり）をこえず。
孔子 （紀元前５５１年～紀元前４７９年）
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