ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

赤坂憲雄【境界の発生】

2014-08-10 | 講談社

自分でも不思議です。
よくわかりもしないのに、こういった本を読みたいと思うことが。

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 境界の発生

 著者:赤坂憲雄
 発行:講談社
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Amazonの詳細ページでの内容説明によると、あの世とこの世、生と死、村の内外などを分かつ境界は、今や曖昧となり、かつて自明であった死後の世界も消え、魔性のモノが跳梁跋扈する空間も喪失してしまった。葬送儀礼の場で鎮魂の挽歌を吟じた柿本氏、平家の怨霊を慰藉鎮撫する役を担った琵琶法師…。本書は、私たちの文化や歴史の昏がりに埋もれた境界の風景や人々を発生的に掘り起こした意欲的論考である。という本。

ちょっと読んだくらいで何かわかったふうに言うのはなんなので、口数も少なくなってしまいますが、おもしろい本でした。
折口や柳田はあたりまえ、レヴィ=ストロース、エリアーデなども引用され、古事記も風土記もと、いろいろとつまみ食いのように読めます。著者の解釈付きで、
巻末の索引をみるだけでもちょっと楽しいかも。

本の中でとりあげられる「境界」は、いまとなっては、民俗学の中でしか触れることのないものとなってしまっていますが、この「境界」という言葉自体にはとても惹かれます。
だから、よくわからないだろうと思いながらも、こういった本を読んでしまうのでしょうねぇ。
要するに、わかる、わからないではなく、単純に好きだってことでしょうか。
今はその存在が消えてしまったものを幻視するかのごとき、民俗学という学問のイメージそのものが好きなのだとも言えそうです。

加えて、この本がまた、読もうかなぁ、どうしようかなぁと思っていたあたりに目の前にひょいと現れたので、うかうかとお借りしてしまったもの。
ぴっかぴかの新品。
買った方よりも先にページを開いてしまったという申し訳なさが交じる読後感となりました。




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