自殺者

2007-07-06 23:12:39 | アパート建築営業マン
 
日が経つにつれて、ハウスメーカー出身の同期は、「やはり、手首を切って自殺しようとしたのだ」という事実が明らかになってきた。いったい、なぜ・・・??

原因は、借金にあった。世間知らずな、この男。たいした金額じゃないにもかかわらず、良くない筋から借りたおかげで、取立てがきつかった。妻子からも愛想をつかされ、絶望したようだ。

このアパート建築会社では、借金を背負って苦しんでいる人は歓迎される。「追い込まれて必死で働くから」という理由で、積極的に採用してきた。だが、問題がまったくないワケではない。中には心を病んでいる人もいる・・・。

だが、天は彼を見捨てていなかった。彼の上司は「元・暴走族の大特攻隊長」という人物で、たまたま、滅多にいないほどの親分肌だった。「そんなに困っているのなら、俺が稼がせてやる」と言う。先輩社員も大なり小なり、その手の人物がそろっていた。上司や先輩からの緊急融資を受け、「自殺者」は職場復帰したのである。

ああ、なんと美しき義侠心、男と男の世界。こうして、同期の「歩兵」も「自殺者」も、なんとか職場に踏みとどまり、再起に向かって着実に歩み始めたかに見えた・・・。

だが、このままで済むような人達ではなかった。ある夜、当方の携帯が鳴った。「自殺者」からの電話だった。なんと、「カネを貸してくれ・・・」(!)と言うのだ。