自社物件への引越し

2007-10-10 17:21:58 | アパート建築営業マン
  
入社以来、当方は片道1時間以上かけて自動車通勤していた。会社にいるのは大半が地元出身の人達で、遠くから通勤している人は数えるほどしかいない。朝早くから夜遅くまで飛び込み訪問している(少なくとも、建前上は)という仕事だけに、遠距離通勤はきつい。
  
あるとき、課長に勧められた。「そろそろ、会社の近くに引っ越したらどうか」という。
 
この会社はアパート建築会社だけに、多数の自社物件を抱えている。このご時勢、空室を埋めるのは大変だ。建築営業部隊のほかに賃貸営業部隊がいて、モーレツ営業により入居者斡旋を受けているから、なんとか空室率は低く抑えている。だが、立地条件の悪い物件も多く、とてもすべては埋まらない。
  
そういうときは、「社員を住まわせてでも空室を埋める」という手がある。空室を埋めるのに使われているのは確かだが、初期費用や家賃を補助してくれる点は、ありがたい。アパート建築会社に住んだメリットを感じるところだ。引越し物件を選定することにした。 
   
課長は、ナゼか燃えている。「引越しを手伝う」と意気込んでいた。
 
同期入社の「歩兵」は、なんとか会社に出てきていたが、この課長とは仲が悪かった。もっとも、それは歩兵に限った話ではなかった。実のところ、課長と仲のいい人は一人もいなかったのである。
   
課長は、何かといえば当方に話しかけてきた。いわく、「昔は不良だった」そうなのだ。「中坊の頃、高校生とケンカしていた」と語った。「あるとき、河川敷でケンカした。ナックルをつけた拳でブン殴ったら、相手は顔から血を流していたよ」という。なんとも、恐ろしい話だ・・・。
  
しかし、この話を先輩社員2名にしたところ、彼らはプッと吹き出してしまった。「ナックルをつけてブン殴っただって?」、「そんなことしたら、血が出たくらいで済むものか」と失笑している。「それは、ケンカをしたことのない奴のセリフだ」という結論に落ち着いた。
 
たしかに「昔は不良だった」ようには、正直なところ、とても見えない。「見るからに運動神経が鈍そう」というのが、見た目の印象だ。もっとも、「運動神経」と「不良」とは、別問題なのだが。