新入社員にとっては入社の初日だが、他の社員にとって、月初は会議の日である。この会社に限らず保険会社もそうだったが、大量採用・大量退職が当たり前の営業会社において、新人営業マンが入社してくるなど日常の風景であり、たいしたことではない。それよりも、会議の方がよほど問題だ。
アパート建築会社には、保険会社とは違って多くの部門がある。設計部門・工事部門・事務部門・賃貸営業部門・・・。他の部門の発表が淡々と進んでいくなか、異彩を放っていたのは、アパート建築営業部門の発表だ。
「過去6ヶ月間、契約が取れていない無実績者」、「8ヶ月間も契約が取れていない無実績者」といった人達が、反省の弁を述べつつ、上層部からの罵声を浴びていた。
全体会議の後は、アパート建築営業マンだけが集まって営業会議が始まる。長期にわたって契約が取れていない営業マンには、さらに非難の集中砲火が続く。
そう、ここがアパート建築営業のつらいところなのだ。保険なら、1件も契約を取れない日々が何ヶ月にもわたって続くなどということは、およそ考えられない。しかし、アパート建築営業の場合、それは大いにあり得るのである(笑)。