このところ、
発達障がい、という言葉が
犯罪によってよく聞かれるようになりました。
皮肉なものです。
先日、
大阪の事件について書いたばかりですが
今日は地元愛知の事件。
~西尾ストーカー殺人で服役した元少年に懲役1年8カ月 蒲郡の傷害事件で~
愛知県蒲郡市で昨年8月、
通り掛かりの20代の女性に包丁を突き付けてけがをさせたとして、
傷害と銃刀法違反の罪に問われた無職の男(30)=蒲郡市=の判決公判が1日、
名古屋地裁豊橋支部であり、
長橋政司裁判官は懲役1年8カ月の判決(求刑懲役2年)を言い渡した。
被告は17歳だった1999年8月、
元同級生の永谷英恵(はなえ)さん=当時(16)=に
付きまとって刺殺する事件を起こし、
殺人罪などで有罪判決を受けて服役。
事件は2000年にストーカー規制法が成立するきっかけの一つになった。
長橋裁判官は判決理由で
「他者の人格、心情を無視した身勝手で反社会的な犯行」
と指摘。
西尾の事件にも触れ
「有罪判決を受けて長い間刑務所に入り、出所から3年もたたずに犯行に及んでおり、危険な犯罪性向が認められる」と述べた。
判決によると、
被告は昨年8月19日午後零時半ごろ、
蒲郡駅近くの路上で包丁を持ち、
通り掛かりの女性の右腕をつかんで引き倒すなどして、背中にけがを負わせた。
被告は09年に岡崎医療刑務所を出所後、
10年6月まで精神疾患で名古屋市の病院に入院し、事件当時も通院していた。
弁護側は心神耗弱を主張し刑の減軽を求めたが、
長橋裁判官は
「凶器の包丁を取られないようひもで腕にくくり付けるなど、合理的な行動をしている」と退けた。
最後に、
被告が公判で「5パーセントの確率で再犯をする」と話したことに触れ、
「周囲の援助や協力を得て更生する努力を」
と諭した。
杉下龍輔弁護士は控訴について「コメントは差し控えたい」と話した。
(中日新聞)
この判決が下りる前の、
今日の中日新聞朝刊には
この被告の男性が記者との面会で語った様子が載っていました。
~罪犯さない自信ない~
「立ち直りたいが、罪を犯さない自信はない。
僕にとって刑務所の教育は意味がなかった」
男は2月25日と26日の計2回、
勾留中の豊橋刑務所で面会に応じた。
記者の質問に、はっきりとした口調で
「子どものころから父との仲が悪かった。
出所後は経済的な苦しさもあり、ストレスがたまり、
よく大量殺人を空想していた」と説明。
08年に東京・秋葉原で無差別殺傷事件を起こした被告の氏名を挙げて
「『世の中が嫌になった』という動機にしている。僕の仲間」と話した。
両事件については
「後悔している。刑務所は苦しいのに一度、
社会に戻って忘れてしまった」と述べた。
蒲郡事件の被害者への謝罪の気持ちを問われると
「自己中心的な人間だから、自分のことしか語れない」
と話した後、少し考え込んで、
「僕が刑務所に入れば、被害者は喜ぶんじゃないですか」
と続けた。
男は09年、
愛知県の岡崎医療刑務所を出所後、
名古屋市の精神科病院に入院。
10年に退院後、
蒲郡市で両親と同居しながら町工場で働いたり、
障害者就労支援施設に通所するなどしていた。
名古屋地検豊橋支部は起訴前、
男を精神鑑定し、責任能力があると判断した。
男は、精神科病院で発達障害と診断されたことを記者に説明し
「女性に攻撃的な感情を持ったのは、
母に暴力を振るって物事を解決していた父を間近に見ていたから」
と話した。
~中略~
永谷英恵さん(西尾市事件の被害者)の父親の博司さんは取材に、
「求刑2年は軽すぎる。
もう社会に出てこなくていい。
また罪を犯せば、同じ苦しみの人が増える」
と話した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「他者の人格、心情を無視した身勝手で反社会的な犯行」
です。そのとおり。
殺人事件とはえてして、
身勝手な犯行です。
でも
発達障がいの人には
他者の人格、心情を理解することが困難な人が多いんです。
私の息子もそう。
ドラマやドキュメンタリーのどんな悲しい場面でも
それを観ている私がなぜ泣いているのか分からない、と言います。
「自己中心的な人間だから、自分のことしか語れない」
「僕が刑務所に入れば、被害者は喜ぶんじゃないですか」
こんなことを言うような人間ですから、
被害者のご遺族にしてみれば
「もう社会に出てこなくていい。
また罪を犯せば、同じ苦しみの人が増える」
と思われて当然です。
私が娘を殺されたら
相手が誰であれ同じことを言うかもしれません。
あまりに切ないこの記事に添えて
こんな記事がありました。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
~発達障害者の犯罪 無理解が原因 福祉と連携を~
元法務官僚で、刑務所職員の経験もある龍谷大法科大学院の浜井浩一教授(犯罪学)は、
発達障害者の累犯防止策について、
「刑務所だけでは限界がある。
地域生活定着支援センターなど、福祉施設との連携強化が必要」と指摘する。
その上で、
「発達障害そのものは犯罪に直結しない。
障害が理解されない環境に置かれることで、
併発する二次障害が原因となる」
と説明。
男が父親を憎み続けたという家庭環境には
「幼少期に家族の信頼関係がなければ、
自分は社会の一員だという自尊感情が育たない。
二次障害を併発し、犯罪に走る理由になった可能性がある」
と推測する。
男が
「罪を犯さない自信はない」
と話したことについては、
発達障害の症状として人の感情が理解できない点を挙げ、
「反省の意味が分からない可能性がある。
刑務所で反省を促しても、
発達障害の場合は障害の度合いを強くし、
再び犯罪に走る悪循環になる」
と話した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
まさにその通りだと思います。
発達障がい者=犯罪者
犯罪者=発達障がい者
ではないんです。
発達障害を理解していない社会にも
責任はあるのです。
正しく理解され、正しく支援されれば
トラブルだって未然に防げることもあるんです。
「周囲の援助や協力を得て更生する努力を」
本人だけでは難しいのです。
周囲の援助と協力をぜひ、
発達障がいの方にお願いします。
発達障がい、という言葉が
犯罪によってよく聞かれるようになりました。
皮肉なものです。
先日、
大阪の事件について書いたばかりですが
今日は地元愛知の事件。
~西尾ストーカー殺人で服役した元少年に懲役1年8カ月 蒲郡の傷害事件で~
愛知県蒲郡市で昨年8月、
通り掛かりの20代の女性に包丁を突き付けてけがをさせたとして、
傷害と銃刀法違反の罪に問われた無職の男(30)=蒲郡市=の判決公判が1日、
名古屋地裁豊橋支部であり、
長橋政司裁判官は懲役1年8カ月の判決(求刑懲役2年)を言い渡した。
被告は17歳だった1999年8月、
元同級生の永谷英恵(はなえ)さん=当時(16)=に
付きまとって刺殺する事件を起こし、
殺人罪などで有罪判決を受けて服役。
事件は2000年にストーカー規制法が成立するきっかけの一つになった。
長橋裁判官は判決理由で
「他者の人格、心情を無視した身勝手で反社会的な犯行」
と指摘。
西尾の事件にも触れ
「有罪判決を受けて長い間刑務所に入り、出所から3年もたたずに犯行に及んでおり、危険な犯罪性向が認められる」と述べた。
判決によると、
被告は昨年8月19日午後零時半ごろ、
蒲郡駅近くの路上で包丁を持ち、
通り掛かりの女性の右腕をつかんで引き倒すなどして、背中にけがを負わせた。
被告は09年に岡崎医療刑務所を出所後、
10年6月まで精神疾患で名古屋市の病院に入院し、事件当時も通院していた。
弁護側は心神耗弱を主張し刑の減軽を求めたが、
長橋裁判官は
「凶器の包丁を取られないようひもで腕にくくり付けるなど、合理的な行動をしている」と退けた。
最後に、
被告が公判で「5パーセントの確率で再犯をする」と話したことに触れ、
「周囲の援助や協力を得て更生する努力を」
と諭した。
杉下龍輔弁護士は控訴について「コメントは差し控えたい」と話した。
(中日新聞)
この判決が下りる前の、
今日の中日新聞朝刊には
この被告の男性が記者との面会で語った様子が載っていました。
~罪犯さない自信ない~
「立ち直りたいが、罪を犯さない自信はない。
僕にとって刑務所の教育は意味がなかった」
男は2月25日と26日の計2回、
勾留中の豊橋刑務所で面会に応じた。
記者の質問に、はっきりとした口調で
「子どものころから父との仲が悪かった。
出所後は経済的な苦しさもあり、ストレスがたまり、
よく大量殺人を空想していた」と説明。
08年に東京・秋葉原で無差別殺傷事件を起こした被告の氏名を挙げて
「『世の中が嫌になった』という動機にしている。僕の仲間」と話した。
両事件については
「後悔している。刑務所は苦しいのに一度、
社会に戻って忘れてしまった」と述べた。
蒲郡事件の被害者への謝罪の気持ちを問われると
「自己中心的な人間だから、自分のことしか語れない」
と話した後、少し考え込んで、
「僕が刑務所に入れば、被害者は喜ぶんじゃないですか」
と続けた。
男は09年、
愛知県の岡崎医療刑務所を出所後、
名古屋市の精神科病院に入院。
10年に退院後、
蒲郡市で両親と同居しながら町工場で働いたり、
障害者就労支援施設に通所するなどしていた。
名古屋地検豊橋支部は起訴前、
男を精神鑑定し、責任能力があると判断した。
男は、精神科病院で発達障害と診断されたことを記者に説明し
「女性に攻撃的な感情を持ったのは、
母に暴力を振るって物事を解決していた父を間近に見ていたから」
と話した。
~中略~
永谷英恵さん(西尾市事件の被害者)の父親の博司さんは取材に、
「求刑2年は軽すぎる。
もう社会に出てこなくていい。
また罪を犯せば、同じ苦しみの人が増える」
と話した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「他者の人格、心情を無視した身勝手で反社会的な犯行」
です。そのとおり。
殺人事件とはえてして、
身勝手な犯行です。
でも
発達障がいの人には
他者の人格、心情を理解することが困難な人が多いんです。
私の息子もそう。
ドラマやドキュメンタリーのどんな悲しい場面でも
それを観ている私がなぜ泣いているのか分からない、と言います。
「自己中心的な人間だから、自分のことしか語れない」
「僕が刑務所に入れば、被害者は喜ぶんじゃないですか」
こんなことを言うような人間ですから、
被害者のご遺族にしてみれば
「もう社会に出てこなくていい。
また罪を犯せば、同じ苦しみの人が増える」
と思われて当然です。
私が娘を殺されたら
相手が誰であれ同じことを言うかもしれません。
あまりに切ないこの記事に添えて
こんな記事がありました。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
~発達障害者の犯罪 無理解が原因 福祉と連携を~
元法務官僚で、刑務所職員の経験もある龍谷大法科大学院の浜井浩一教授(犯罪学)は、
発達障害者の累犯防止策について、
「刑務所だけでは限界がある。
地域生活定着支援センターなど、福祉施設との連携強化が必要」と指摘する。
その上で、
「発達障害そのものは犯罪に直結しない。
障害が理解されない環境に置かれることで、
併発する二次障害が原因となる」
と説明。
男が父親を憎み続けたという家庭環境には
「幼少期に家族の信頼関係がなければ、
自分は社会の一員だという自尊感情が育たない。
二次障害を併発し、犯罪に走る理由になった可能性がある」
と推測する。
男が
「罪を犯さない自信はない」
と話したことについては、
発達障害の症状として人の感情が理解できない点を挙げ、
「反省の意味が分からない可能性がある。
刑務所で反省を促しても、
発達障害の場合は障害の度合いを強くし、
再び犯罪に走る悪循環になる」
と話した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
まさにその通りだと思います。
発達障がい者=犯罪者
犯罪者=発達障がい者
ではないんです。
発達障害を理解していない社会にも
責任はあるのです。
正しく理解され、正しく支援されれば
トラブルだって未然に防げることもあるんです。
「周囲の援助や協力を得て更生する努力を」
本人だけでは難しいのです。
周囲の援助と協力をぜひ、
発達障がいの方にお願いします。