青空エクスプ レス

日本ではオンリーワンの手書き地域雑誌『あおぞら』の編集発行人を経て、室戸市の不正な政治を監視する改革派議員三期目。

「ある閉店」

2018-11-15 | プライベート
 人物の能力や資質の違い、組織に在職する人物の能力や資質。

 企業に勤務する人間にしても、自治体に勤務する人間にしても同じ。

 少しの気真面目さと勤勉さの違いが、年月が経つとやがて大きな違いになっていく。

 それを、私の恩人であり今も私が勝手に友人と思っているジャーナリスト・依光隆明氏(朝日新聞本社特別報道部長)の存在が証明している。

  

 氏が書いてくれたこの記事は頑張る人への応援歌だったし、記事には愛情が溢れていた。


 昭和61年2月に開店した喫茶店でした。地域おこし活動をしながらの経営で、色々と楽しい時もあり辛い時もあった店でしたが、閉店を決めた。

 喫茶店のその閉店を決めた半月前のこの日(平成元年5月14日)の朝のことでした。

 店には朝6時に入り、開店準備を終えたのは7時15分ごろ。そして「開店までの15分の間に」と高知新聞を開いた。

 パラパラと開き、右下のこの記事を見付けた。

 「土佐あちこち」のコラムで、タイトルは「ある閉店」。

 まさか自分の店のことを書いてあるなんて思ってもいないから、「どこの店が閉店するんだろう?」と見ると、この記事。

 驚き、泣きました。

 43歳の私は止めどなく涙を流し、泣いた。

 開店間際に涙を流せば入ってきたお客さんに気付かれてしまうと気は焦ったが、止まらなかった。

 朝6時に店に入り、午前7時半に開店。午後8時に閉店し、自宅に帰るのは午後10時ごろ。そんな毎日に疲れていたが、同時に、コンサートやたくさんの企画を立て県東部地域を盛りたてたいと店の売り上げを使いながら、地域づくり活動も休みなく行っていた。


 そういう時、「谷口さんはコンサートをやって儲けて、えいのお」と店にコーヒーを飲みに来た年配の室戸市職員で課長をやっている男にからかわれた。そのコンサートの赤字の全てを店の少ない売り上げの中から補てんし、やりくりしていたのに。そうやって苦しみながらでも室戸市や周辺の町村を元気にしたいと頑張っていたことなのにです。

 このころから、「住民から給料をもらって仕事をしている立場なのに、それが全く解っていない公務員はバカばっかりだ」、そう思うようになった。


 開店して4年後、駐車場が無くなって決めた閉店だった。

 閉店しなくてはならなくなった自分のだらしなさと、依光記者の思いやりに対する感謝の念がただ込み上げてきて、記事を見てとめどなく泣いた。

 もちろん、私への気遣いだとすぐ理解できた。

 徐々に社員数を減らしたり、文字を大きくしたり一面広告のページを増すなどし、記事の量を減らして地方紙として何とか長く存続すべく苦心している今の姿を見ると、なにか高知県が衰退している状況を高知新聞がまるで鏡のように映している見たいだ。

 依光記者が室戸支局にいた昭和の終わりごろとそれから二十五年経った今とでは、地方新聞社として存続していくために高知新聞社の経営形態も新聞紙面の成り立ちも大きく変わり、新聞に活力が見られなくなったのは実に残念である。

 だが、私はこのような大人物に、かつて何度も地域おこし活動に対する応援の記事を書いて頂いたことを今も感謝しているし、そのことを誇りに思っている。

 人とは、たいがいの人が「口下手」。そして、他人を評価する声掛けは、心が広くて自分に度量がないとなかなか言えないものだ。新聞記者氏にしても、頑張る人を無理に記事で評価しなくても記者は務まる。

 そういう状況の中、「彼は頑張っている。応援しよう」と応援する人がいて、記事を書く記者がいる。それも、記事を書いたことをその本人に言うでもなく、さりげなくだ。そこがさらに感動を呼ぶ。

 余程、有能な人物でないと、こうはできません。

 私ももう70歳を過ぎて、あの記事からは早や二十九年が経ちます。そんなに先も長くないだろうが、依光氏から受けた情けは今も忘れていないし灰になるまで忘れることはない。

 
 “弱きを助け、強きを挫く”のがジャーナリスト。それが 新聞記者という職業。

 決して、強き者たちを助け、在野で頑張っている人たちを見殺しにする、そんな記者になってはならない。

 あの、室戸に依光記者がいた昭和の終わりごろの高知新聞はよかった。とにかく県内各地にいる記者のその頑張りと元気と明るさが紙面にあふれていた。

 でも、議会に傍聴に来て、室戸市の政治で違法な事業が行われても今は、違法を指摘している議員に聞きにも来ない。だから、役所に寄り添っているのか、市政や市議会に関する告発的な記事など見たこともない。依って、室戸市政と市議会の実態が解るのは、健全な文章が並ぶ私の新聞だけ。それほど県内にある新聞各社の記者のジャーナリスト精神が落ちてしまっている。

 今そんなことを考えながら、あの依光記者のことを懐かしく思い出しています。


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