青空エクスプ レス

日本ではオンリーワンの手書き地域雑誌『あおぞら』の編集発行人を経て、室戸市の政治を監視する改革派議員三期目。

地方議員研修講座(5) 質疑の領域は

2011-11-26 | 政治家のあり方
 (2008年6月の記事を再録します)
  
 「質疑は、どこまで許されるのか」。議会においての行政業務チェックの基礎となるこんな知識の習得がなければ、行政が行っている業務が適性なのか不適正なのか、不公正なのか公正なのかを判断できない。中には、行政業務の知識の習得や経過の調査をしないまま、議事録に掲載されない議場外の場所だけで「あーだ、こーだ」といっている人もいるかもしれないが、他の議員や執行部や住民に恥を掻かないためにも、議員は日頃の勉強を欠かしてはなりません。

 さて、質疑と質問の違いについて、議会運営の本などを参考にして、少し書いてみよう。尚、議会の質疑(大綱質疑と、所信表明や報告に対する質疑がある)と一般質問の仕方については、現職議員は勿論のこと、今後議員になられる人のためにも、近く一つの資料集としてまとめておきたいと思っている。

1、質疑・・・質疑には、大綱(議案)に対して疑義を質(ただ)す質疑と、執行機関の所信表明や報告などに対する質疑とがある。
ここでは議案に対する質疑について、出来るだけ要点をかいつまんで書きたい。

(1)質疑 
①主なねらい・・議案に対して疑義を質すもの、議題になっている事件(事業)に対して疑問点を質すものでなければならない。だから、その議案に対して「自分の意見を述べてはならない」。これは、「私はこれをこうしてはどうかと考える」など、提案や要望などの意思を明らかにしてはいけないということ。あくまでも、疑問点を問うもの、質すものでなくてはならない。

②「質疑」の仕方【最重要点】
「自己の意見を述べてはならない」の点についてですが、この場合の「意見」とは、閉会日の表決の前に行われる討論の中で述べるような賛成や反対の意見、意思表示であって、自己の見解を述べないと質疑の意味をなさないようなものまで禁止しているのではない。
つまり、「私はこの事業がこのような経過で進んでいることに賛同するものである」などの質疑が禁止され、「この事業費は必要以上に予算が投資されていると考えるが、この点について答弁を求める」の質疑はなんら問題ない。

 質疑の時に、このように「考えるが」とか「こう思うが」と言っただけで、「それは質問になっている」と鬼の首でも取ったように大声を張り上げて質疑をストップさせる議員が皆さんの議会にもおられると思いますが、あれも誤り。自分の不勉強を議場内に広めて恥を掻いているだけだから、そういうベテラン議員もそれに早く気付き、初心に返って、謙虚な気持ちで、質疑とはどういうものをいうのかをもう一度一から勉強し直して頂きたい。

 「質疑」とは自己が疑問を感じるから行っている点からいっても、自己がその疑問に感じた点の意見を述べないと疑問点を明らかに出来ないということになる。よって、反対に、自己の意見が入らないと「質疑」が成立しないとも言える。だから、自己の意見を全く入れてはいけないということにはならない。

②「知らないことは聞かないこと」・・これをみると議員の皆さんは驚くかもしれませんが、この意味は、「知った上で聞く」という意味。

 よく議場で議員が「この地方債について、今年19年度は150億円の地方債残高になっているが、18年度、17年度、16年度、15年度の、五年間の推移を聞く」などという質疑をする議員がいますが、これがダメだとされる。なぜか。それは、質疑とは、質疑する事業や財政などのデータ、数字などは事前に議員個人が調査した上で、「この経過を調査すると、このように地方債残高が増加している。これはなぜか。今後どのように推移するとお考えか」と疑義を質すものだからだ。要は、議員の仕事はそんな付け焼刃ではダメだということです。

 上記したように、執行機関に数字を問い答えを聞いて納得している議員がいる。本人さんはその不適正さに全く気付いていないが、わざわざ質疑に出て恥をかきにいっているようなものだ。
これも質疑について勉強不足な議員といえ、何でも分からないことを聞き教えてもらうのが「質疑」だと思っているのである。それが新人議員なら許せようが、三期目、四期目とか、長く議員をしている人なら、全く笑えない。市民にすれば「あれで議員報酬を熱心な議員と同じように払っていると思うと腹が立つなあ」の思いは強いだろう。

 要するに、質疑は、告示になって議案書をもらってから大綱質疑の日までの数日の間にデータを集めたり、先進地事例などをインターネットで検索して資料や情報を集めるなど、調査活動を行った上で質疑原稿を作成します。この期間が、室戸市議会では12日前後あります。一般質問と質疑を毎議会している私とY議員の二人は、その間に質問原稿の本読みや推敲作業も同時平行して行っていますので、議会前になるとそれは大変忙しい日々を送っています。

③議会前の準備・・先に述べたように、あらかじめ案件を十分に調査し、理論構成した自分の主張と意見を基に執行部を質す原稿の作成。必ず質疑内容を原稿に書いて議会に望む事が大事で、それは原稿無しで質疑を行うとどこかで論点が脱線して、「質問」になってしまうからです。議員の中には「俺は原稿無しで質疑出来るんだ」と高ぶった人がいますが、あれは自己を過信している出たとこ勝負の議員だと決めてかかってよい。

 それと、知らないことや解からないことはあらかじめ調査しておき、それを更に深めて、政策を見直し、変更させる事が出来る。

④委員会での質疑・・この質疑は本会議における質疑のように、同一議題に二回(室戸市議会の場合)とか、自己の意見を加えてはならないというような規制はないので何回でも質疑できるし、又、自己の意見を述べることも出来る。
但し、他の議員をよく観察していると、委員会での質疑しかしない議員はその自由さが身に付いてしまうため、本議会の質疑の時になると臆病になり、登壇する勇気が無くなってしまう傾向があるように思う。

(2)財政関係の質疑の着眼点
①予算質疑 
●ヒアリング・・分からない用語や数字に全部、マーカーと付箋を付けて担当課に聞きに行く。
●用語と数字が理解出来たら、前年度(あるいは五年間など)の予算書と決算書(同様に五年間など)を基に、項目と数字をピックアップしてメモし、比較する。そして、増減のある事業、新規事業に付箋を付け、市民感覚からおかしいと思う項目もチェックして、もう一度、担当課に行き、理由を聞く。  

②決算審査
●政策の審査・・○その政策が効果的に推敲されたか。 ○その政策が効率的に行われたか。 ○公平・公正に執行されたか。  ○市民にとっての利益になったか。  ○無駄な支出ではなかったか。  ○違法な支出はないか。等々。
加えて、全国の自治体の行政運営においてはどのように行ってきたか等の調査を行って、疑義を質す。

 このように、決算の精査は、自治体事務及び各種事業に対する議員の視点からの、政策の事後評価となることを忘れてはならない。この点をよく理解していない議員が多いので、もう少し解かりやすく書いておきたい。

 よく不熱心な議員がいうのが、「予算審議は大事だが、決算はもう終わったものだからあまり質疑しなくてもいいんだよ」のけしからん放言。
私が新人議員二年目の時にそんなことを言った議員(勿論、新人議員ではない)がいたので、一言、「何を言ようぜ! 予算審議は事前評価、決算は事後評価やろ。どちらも議会として大事な審査じゃないですか!」としかりつけたことがあった。

汚い例えだが、予算は上の口から食う食べ物、決算は肛門から出るくさいウンコ。こう考えて頂きたい。なら分かりやすい。

 人間が口から食う美味しい食べ物にだけ関心を持っていて、肛門から出るウンコの状態に全く関心がなかったら、どうなるかだ。胃潰瘍や腸の潰瘍で真っ黒になった血便が出ていても発見できなくて、手遅れになり、命を落としてしまいます。下痢になる時もあろう。これと同じだ。

 議員が予算だけに関心を持ち決算に関心を示さないでいると、夕張市のように、倒産してしまいます。

 決算に関心のない議員は、きっと自分のウンコの状態にも関心がないんでしょうね。そうして、病気と気付かずに、早く死んでしまう。

 でも、もしかすると行政の“ウンコ”のことは心配してないが、自分のウンコのことは心配だからちゃんとチェックしていたりしてね。こんな悪い議員に限ってそうなんですよね、「行政のことはどうなってもいいが、自分のことは一番大事」と考えてる。(当たり!?)


③条例案審議
●条例案審議の基本・・○目的が的確か。  ○規制するのに適した内容か。  ○他の法令に違反していないか。  ○現行条例と矛盾していないか。  ○市民に受け入れられるか。  ○財源は担保されているか。等々。

●条例の表現・・○明確な表現であるか。  ○解釈・運用に疑義はないか。  ○論理的な構成か。  ○条文は解かりやすいか。等々。

2、一般質問
①主な狙い・・質問によって所信を問い質す者で、「自分の意見を入れてもよい」。執行部の政治姿勢を明らかにし、その政治責任を明確にさせ、結果として現行の政策を変更、是正させ、新規政策を採用させる目的と効果がある。

②質疑と同様に、「知らないことを聞かない」が原則。また、質問の範囲は、その自治体の行財政全般である。

③してはいけないことは、「質問」で要望をする議員がいるが、あれはみっともないからやめましょう。「質問」は、あくまでも質問(問いかけ)であるから、質問に徹すべきで、要望やお願いやお礼の言葉を述べることは厳しく慎むべきものである。室戸市議会においても、よく「これは要望ですので、答弁は要りません」といって質問を終えて降壇してくる議員が見受けられるが、自分の不勉強を議場内に知らしめているだけで、非常にみっともなく、恥ずかしい行為です。
再度申しておきますが、一般質問で要望をしてはなりません。要望があれば、議会ではない時に担当課に要望書を沿えて行って下さい。

③議会前の準備・・あらかじめ案件を十分に調査し、論理構成した自分の主張と意見を基に執行部を質すもの。知らないことや解からないことは、あらかじめ調査しておき、それを基に更に深めて執行部を追求し、議論するもの。質問をすることにより、政策を見直し変更させる事が出来る。

④質問の作成手順(これは、当ブログ二回前の記事に詳しく書いてあるので、ご参照下さい)

3、一般質問と質疑を行う上での重要点
●議会での質問と質疑は、「論理的に」、「説得する」必要がある。「論理的」とは、「考えの根拠(理由)を示すこと」。「説得する」とは、「私はこう思う」だけでは説得できない。主張を通すには、根拠を示して相手を納得させる事が必要で、その納得させるまでの議論の過程が「説得」である。

 最後に。

 『議員必携』に、こうある。

 「政治家に強く要求されるのが勇気と奮起である」。又、ケネディ大統領に「政治家として一番大事なことは何か」と問うと、「それは、勇気である」と答えたという。

 私からは、勇気と奮起に、もう一つ付け加えたい。

 それは、「知識習得のための勉強である」と言いたい。「知識習得をして基礎学力、基礎知識を身に付けなければ、政治家の端くれにもならない」と言っておきたい。

 勇気や奮起なんかは、その能力を持った後の話である。
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