青空エクスプ レス

日本ではオンリーワンの手書き地域雑誌『あおぞら』の編集発行人を経て、室戸市の政治を監視する改革派議員三期目。

訓示の功罪

2018-09-11 | 組織のあり方
 もうだいぶ前になるが、こんな話があった。

 ある組織の長が、その部下を集めてこう言った。

 「すべて私に報告してほしい。もし報告や相談がなかったら、私はそれについての責任を持たない」。

 それを聞いた部下たちはざわめいた。

 「オイ、長ともあろう立場の人間が相談が無かったらその責任を持たんというのは、なんぼいうてもひどくはないか。それじゃあ、自分の判断だけでは何もできないし、部下の失敗の責任は自分には全く関係がないと言っていることになるじゃないかナァ。ほんとに無責任だなあ」。

 その訓示の後、部下たちは口々に嘆いた。

 「なんぼいうてもなあ」、「あんな自分本位のリーダーにはついてゆきたくないな」と。

 ますます部下のモラール(やる気、職場での労働意欲)は下がり続けるばかりで、士気が上がる気配は見えない。部下たちはますます仕事をするのも嫌になってくる。そんな組織の未来は見えている。

 そうです。この職場破たんが、やがて経営破たんにもつながってゆきます。


 さて、これからの文章は、文意をよくご理解しながらお読みください。

 論語にこんな言葉があります。

≪政を為すに徳を以ってすれば、譬えば北辰の其の所に居て、衆星の之に共するが如し≫

 「倫理に叶った政治を行うならば、譬えば北極星を中心にして星が回っているように、多くの人がリーダーを中心にして動くようになるだろう」の意。

 しかし、北極星が勝手気ままな行いをしていたら、それまでその周りを回っていた周囲の星たちは愛想をつかせ、みんな別に中心となる星を探し見つけて、今度はその星を仮想“北極星”としてその周りを回り始めることになるだろう。それと同じだ。そうなれば、北極星は北極星としての存在価値は無くなり、その光もやがて陰りを見せるようになる。

 リーダーに倫理観があれば、部下たちはリーダーに好感を持ち、おのずと集まってくる。しかし、リーダーに倫理観が欠けていると、部下はリーダーに不快感を持ち、おのずと離れていく。こうなれば、リーダーはいわゆるリーダーシップを取れなくなり、その組織は空中分解するしかなくなります。勿論、その時、そのリーダーは存在価値を失う。

 因みに、「徳」とは、修養によって身に備わった品性。善や正義を貫く人格的な能力をいう。つまり、それが「道徳」というものです。

 しかし、部下を集めておいて、自分の発した訓示で長としての信頼を失墜させてしまうようなリーダーも珍しい。

 「素直な言葉で部下に訴えかけたら部下は心を打たれ、怒りを含んだ言葉で部下に訴えかけたら、部下は失望する」。 こう、その組織の「長」にお教えしておきたい。

 とにかく組織の「長」になる人に必要な要素としては、品性と見識のほか、危険な仕事で命を落としかけた貴重な体験もその人間に悟りをもたらすし、自分が幼いころから身に受けた痛みから蓄積される人の痛みがわかる精神とやさしい心根。

 こんな強いものが「長」にないと、どんな組織でも部下は上司に付いていかない。

 だから、どんな組織においても、そんなにふさわしい人物が組織の長になっているとはいえないのである。「ま、おれはこの職場になれているから、いっぺんやってみるか」では、周りの人間にとってはいい迷惑だ。

 見回してみてください。あなたのまわりにもそういうリーダーがいやしませんか。


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