夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

3月1日(日)のTW:歴史認識問題の淵源

2015年03月02日 | 国家論

 

08:わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり(喜撰法師)

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有 事に備えて、少なくとも家族1人につき米2キロ、麺類2キロ、砂糖2キロ、食用脂肪1キロ、食用油1リットル、ほかにスープ、ミルク、果物、肉、魚などの 缶詰、石鹸や洗剤、冬の燃料などを前もって備蓄しておく必要がある。政治情勢が悪くなってからでは遅すぎる。(スイス政府『民間防衛』)

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とがめることは有効であるが、励ましはさらに有効である。(ゲーテ) Lehre tut viel, aber Aufmunterung tut alles.

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朝日新聞にとって必要なのは「歴史から目をそむけまい」ではなく「事実から目をそむけまい」という姿勢。左翼思想の跳梁、戦前期軍国主義からの反動、戦争への贖罪意識といった情念の混淆【正論】歴史認識問題の淵源と朝日新聞 拓殖大学総長・渡辺利夫sankei.com/column/news/15…


 
 
※追記20150303
上のツィッターで引用した渡辺利夫氏の論考を一応下に記録しておきます。
 

【正論】歴史認識問題の淵源と朝日新聞 拓殖大学総長・渡辺利夫

 2015.2.27 05:03

中 韓と日本の間では、歴史認識問題が戦後70年たってもなお解決されない課題として残っていると人はよくいう。誤解である。歴史問題をもって中韓 が日本に鋭く迫るようになったのは1980年代に入ってからのことである。1980年といえば戦後はもう30年以上も経過していた時期である。その間、歴 史問題は存在しておらず、もとより外交問題ではまったくなかった。

 ≪中韓に介入根拠を与えた日本≫

 今日、歴史認識問題 と いわれる慰安婦、首相の靖国参拝、歴史教科書などはすべて80年代に入ってから提起されたものである。しかも、これらを「問題」として提起したのは、中国 でも韓国でもない。日本である。問題の提起者は、GHQ(連合国軍総司令部)の初期占領政策を増幅継承した日本の左翼リベラリスト集団であった。慰安婦問 題を捏造(ねつぞう)して韓国の対日外交を硬化させ、米国のクオリティーペーパーに「歴史修正主義」日本のイメージを植えつけた報道の発信者が朝日新聞で あったことは、今日もはや公然である。

 日本が蒔(ま)いてくれたタネである。中韓の愛国的指導者にとってこんなありがたいタネはない。 歴 史認識という道義性を含ませた問題の提起を当の日本がやってくれたのである。この問題で日本を攻めれば外交的優位のみならず道義的優位をも掌中にできる。 国益を明らかに毀損(きそん)するこのような問題提起をなぜ日本のジャーナリズムがこういう形でやってしまったのだろうか。

 戦後日本の 社 会思潮の在処(ありか)を探る際の重要なポイントがここにあると私は考えるのだが、そのことを述べる紙幅が今はない。左翼思想の跳梁(ちょうりょう)、戦 前期軍国主義からの反動、戦争への贖罪(しょくざい)意識、そういった情念の混淆(こんこう)であろうと一言を添えるにとどめる。

 事実 の みを述べれば、82年6月、旧文部省の教科書検定で「侵略」が「進出」に書き換えさせられたという日本の時のジャーナリズムの誤報に端を発し、その報道に 中韓が猛烈に反発したことが出発であった。中韓の反発を受け、近現代史の記述において近隣アジア諸国への配慮を求める「近隣諸国条項」といわれる新検定基 準が同年8月に内閣官房長官・宮沢喜一氏の談話として出され、日本の歴史教科書に対する中韓の介入に有力な根拠を与えてしまった。

 ≪激しさ増したプロパガンダ≫

  つづいて起こったのが靖国参拝問題である。85年8月の中曽根康弘首相の参拝にいたるまで首相の靖国参拝は恒常的であったが、外国からの反発はなかった。 A級戦犯合祀(ごうし)問題はどうか。合祀の事実が79年4月19日付の朝日新聞によって内外に知られるようになって以降も、中曽根参拝まで20回を超え る首相参拝がなされたが、中韓の非難はなかった。非難が集中的に開始されたのは、それ以降のことであった。

 現下の焦点は、慰安婦問題に 関 する朝日新聞の昨年8月5日、6日付の一連の検証報道である。ここでは、吉田清治証言には信憑(しんぴょう)性がなくこれに関する同紙記事を取り消すこ と、女子挺身(ていしん)隊と慰安婦との混同についての検証が不十分であったことを認めた。朝日新聞の慰安婦問題報道はすでに82年から始まっていたが、 これがプロパガンダの様相を呈したのは、特に91年に始まり翌年に激しさを増した一連の報道であった。

 その後、秦郁彦氏をはじめとする 専 門家の精力的な検証により同紙記事が捏造を含む根拠不明なものであることが明らかになった。にもかかわらず、朝日新聞は記事取り消しや訂正は一切せず、逆 に慰安婦問題の本質は広義の強制性、女性の人権問題にあるといった主張に転じ、何と問題のこの「すりかえ」は昨年8月の検証報道でも継承されている。

 朝日新聞の最大の問題は、根拠に乏しい報道によって日本の名誉、威信、総じて国益がいかに貶(おとし)められたかにある。問題検証のために第三者委員会が設置されたが、この点に関する記述は不鮮明であった。

 ≪「事実から目をそむけまい」≫

  中西輝政氏を委員長とし、西岡力氏らの専門家を糾合した「独立検証委員会」の報告書がこの2月19日に公表された。本報告書は朝日新聞の慰安婦報道の原型 が完成したのが92年1月12日付の社説「歴史から目をそむけまい」であるとし、前後する報道を「92年1月強制連行プロパガンダ」と名づけた。

  注目すべきは、荒木信子氏が韓国の主要7紙、島田洋一氏が米国の主要3紙の徹底的な資料解析を通じて、韓国と米国のジャーナリズムが慰安婦問題を言い募る ようになったのは「92年1月強制連行プロパガンダ」以降に集中しているという事実を、ほとんど反駁(はんばく)できない完璧さで論証したことにある。日 本の国益の毀損をどう償うのか、重大な責任を朝日新聞は背負ってしまった。

 朝日新聞にとって必要なのは、「歴史から目をそむけまい」ではなく「事実から目をそむけまい」という姿勢に他ならない。(わたなべ としお)

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※20150303追記

上記の「歴史認識問題の淵源と朝日新聞」と題する論考のなかで、渡辺利夫氏は、朝日新聞に代表される戦後日本の社会思潮の特質として、①左翼思想の跳梁、②戦前期軍国主義からの反動、③戦争への贖罪意識、などを取り上げられておられます。的確な指摘だと思う。

ただ、朝日新聞に代表される戦後日本の社会思潮がなぜこれほどまでに国益を毀損するほど自虐的なものとなったのか。渡辺氏は「そのことを述べる紙幅が今はない」と述べておられるように、その根拠、論理はこの論考では十分に明らかにされてはいません。

渡辺利夫氏がそれで具体的にどのような内容を考えておられるのかわかりませんが、「戦前期軍国主義からの反動」と「戦争への贖罪意識」はわかりやすい。

二・二六事件などのクーデターを引き起こした陸軍の若手将校たちにつながる戦前戦中の国家主義者たちの独善的で狂信的な国体論があります。彼らによる言論弾圧が、多くの国民に不快と嫌悪感、国体論への忌避感情のトラウマを残したことは想像できます。

ま た、敗戦直後に日本を占領統治したGHQは、戦争の罪悪感を一方的に日本人の心に植えつけるために、WGIPとしてよく知られている戦争犯罪洗脳計画を強 力に実行したこともあります。いわゆる進歩的文化人といわれる人たちもそれに同調し協力しました。それが戦後の日本国民に贖罪意識を植え付けることに大き な作用を及ぼしたことも疑いないと思います。

そして、渡辺利夫氏の指摘に見るように、今なお朝日新聞の記者たちや政治家、多くの大学教授たちが、日本の国益に反する言動を国民の先頭に立って広めていることについて、さまざまの指摘があります。

「左 翼思想の跳梁」がなぜ国益を明らかに毀損することになるのか。この点については渡辺氏がどのような理由を考えておられるのかこの論考だけではよく分かりま せん。しかしいずれにせよ、その根源的理由がマルクスの共産主義にあることは間違いないと思います。その点で日本共産党も朝日新聞などのいわゆる進歩的で 「クオリティ・ペーパー」とも称される新聞社も問題を本質的に共有します。

マルクスの共産主義はその階級闘争史観で知られています。この思想の信奉者にとって「ブルジョア階級国家」は憎悪と打倒の対象です。また彼らの「プロレタリア国際主義」は「祖国」をもたないことでも知られています。

抽象的な概念としての「階級闘争史観」を、この歴史観の信奉者たちはそれを社会的進歩の原動力として善意に信じています。それゆえにカルト宗教の狂信的な信条と同じくいっそう救いようがないのかもしれません。彼らは国家一般を悪として抽象的に断罪します。

し かし、実際に「プロレタリア国際主義」で成立したはずの共産主義国家も決してナショナリズムや民族主義から自由であるわけではありません。スターリンや毛 沢東によって指導されたソ連邦や中華人民共和国などの歴史的な事例に見ても明らかです。むしろ独裁国家は必然的に最悪の民族主義に転化するものです。

かっ て国際共産主義運動に献身したはずの尾崎秀実たちのスパイ活動も、ソビエト連邦の対日政策に影響を与えて日本の国益を大きく阻害しました。尾崎はその罪責 を問われて国防保安法違反、軍機保護法違反などで処刑されます。共産主義への奉仕は必然的に彼の祖国日本への反逆行為に与することになりました。一国内の 共産主義者たちの反国家闘争が他国の民族主義に奉仕することになる論理はこのようなものです。

尾崎秀実自身も朝日新聞記者でした。現在の 朝日新聞やNHKなどのマスメディアに尾崎のような共産主義のシンパは少なくないと思います。そうした現状であるかぎり、彼らの思想信条にもとづく言動が彼 らの祖国日本の国益を損なって、一方で民族主義に化した支那や北朝鮮などの他国の国益に奉仕することになります。「左翼思想の跳梁」が国益を毀損すること になる論理はおよそこうしたものであると思います。科学主義を標榜はしているけれどもカルト宗教の信仰にも等しい「階級闘争史観」の論理的な帰結を見抜か なければなりません。

※ご参考までに

2月18日(水)のTW:民族と国家

12月10日(水)のTW:日本共産党の「天皇制」

12月4日(木)のTW:「天皇制」の合理的な根拠?

11月23日(日)のTW:天皇を「自然人」としてしか見れない奥平康弘氏

10月21日(火)のTW:階級と国家

朝日新聞「従軍慰安婦」誤報問題の本質など2

 鳩山元首相と民主党の「世界市民主義」

 

 


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