青森県ソーシャルワーカー協会

 日本SW協会と協働。県内SWの意識向上や、情報交換団体。セミナー等開催し福祉政策の提言を継続。

東北地方太平洋沖地震支援組織について

2011-03-21 17:10:54 | お知らせ
 震災・津波等被災された皆様、亡くなられた皆様方に、心よりお見舞いとご冥福をお祈り申し上げます。
 被災地への募金や救援物資の送付先等は下記のホームページをご確認されるか、直接お問い合わせ下さい。

◎NPO等で被災地向けの救援物資等を送る件です。

東北地域のNPO中間支援組織 連携団体
 ・あおもりNPOサポートセンター(青森)
  http://www.a-nponet.jp/
  日本ユニバ震災対策本部を紹介しています。

 ・うつくしまNPOネットワーク(福島)
  http://www.utsukushima-npo.jp/

 ・せんだい・みやぎNPOセンター(宮城)
  http://www.minmin.org/

ホームページで個人の救援物資について詳細をご確認の上
情報をお知らせいただければ助かります。


‘10青森県ソーシャルワークセミナー報告

2011-03-21 17:08:16 | セミナー案内/報告
‘10青森県ソーシャルワークセミナー
「社会福祉の動向&地域福祉をどう進めるか」
=ソーシャルワークの役割を問う=
青森県ソーシャルワーカー協会 田中弘子・松田耕一郎

青森県ソーシャルワーカー協会・日本ソーシャルワーカー協会市民活動支援委員会は、2010年10月に第4回ソーシャルワークセミナーを開催した。今回は県内主要都市の一つ、八戸市において約60名を結集し、社会福祉の現在の動向を見ながら、地域福祉について考えた。午前は、日本ソーシャルワーカー協会会長の鈴木五郎さんが講演し、午後は発達障碍者の地域生活について考えるシンポジウムをおこなった。

福祉再構築10の提言 鈴木五郎
提案の一つ目は、市町村福祉の確立。地方分権一括法で、社会福祉は国家責任から地方自治事務へと移されたが、その事務を裏付ける財源配分が未整理の状態である。また、地方自治体が福祉行政を進めるための専門職の位置づけが不明である。よってすべての市町村に社会福祉士の配置を義務付けることを提案する。そして、福祉行政の機構を整備し、自分で情報を入手したり書類を書いて申請できないような人たちにこそきちんと対応できる専門性を確保すること。
提案の二つ目は介護給付の保障。介護保険法には見直すべきいくつかの問題がある。現物給付が保障されていない。伝統的な家族の絆を大切にする福祉すなわち、家族が介護にあたるとしたらヘルパー並みの賃金を保障するべきだ。
提案三つ目。社会福祉法は変わってきている。第4条を地域福祉に転換し国家責任を大幅に後退させてしまっている。安易に市場サービスへ移行させないで、非営利の社会福祉法人を基礎として社会福祉事業を守るべき。共同募金も都道府県から市町村募金へと変えていくべきだ。4番目は成年後見制度の普及。家族後見人が7-80%である現状。報酬制度を確立して専門職後見の普及を促す。5番目。障害者自立支援法は就労支援を中心に据えているが、自立支援のためのモデルは就労以外にもあり多様にとらえる必要があるのではないか。また在宅支援では公営住宅による政策が遅れている。事業主への補助金の日払い制の廃止。提案6、「家族形成」を基本とする福祉へ。子育て支援、保育所整備、教育費の軽減を図るなどし、安心して子どもを産み育てられる社会をつくる。提案7.生命維持にとどまらず、これからの福祉は本来の、それぞれの個性を尊重し、その人らしさを支える福祉の原点に立ち返る必要がある。提案8.地域福祉の実現。子ども、障碍者、病人、高齢者は地域社会の人間関係が支えとなる。社会福祉協議会は起業精神を取り戻し、さまざまな福祉事業を開拓し取り組みを行うべし 提案9.非営利の民間による社会福祉事業、寄付の文化の再現しよう。明治維新から社会福祉の歴史は寄付による民間事業で行ってきた。それが戦後は公的福祉に変わった。これからの福祉は、①社会福祉法人を含む税金・保険財源による公的福祉、②住民による地域福祉、③市場サービス、④寄付による社会福祉法人・NPOを行う独自の事業、これらが21世紀の福祉のイメージ。そして、④の復権が必要。提案10.日本の社会福祉の歴史を掘り起こしてその精神文化を継承する。明治維新以降全国各地で繰り広げられた先達による輝かしい歴史に学び、現代の荒廃した精神文化を乗り越える必要がある。民間社会福祉事業の精神を取り戻す必要がある。そうして若者たちが歴史に学んで、自信と誇りを持って、専門職として現場で働けるようにしていく必要があると思う。
 
シンポジウム「発達障がい者(自閉症)の地域生活に、今どのような支援が求められているか」
シンポジウムでは、まずメーン報告者として八戸市自閉症児者親の会のAさんが「行動障害をもった自閉症が地域で暮らすということの現実・困難さ・意味と希望」というテーマで、23歳の息子さんの話をした。息子さんは14歳から7年間自閉症専門の施設に入所した。20歳で退所し両親が自分用に建てた一軒家に住み、地域生活をスタートした。しかし、そこで起きたことはといえば、配慮に配慮を重ねて建てたはずの家の造作が「壊れるものは壊れていく」という現実があった。日中は自閉症専門の施設に通っている。余暇活動や本を見れるブックステーションの試みも行った。自傷と向き合う日々、爪、鼻毛、ひげと和解できない。爪を剥いでしまう。等々。地域に戻って4年、今親が思うことは、①年々増える破壊や自傷をどう見るか。②刺激に弱い彼を地域(刺激と変化)に置く意味があるのか? ③何より大切なのは本人が安心(一般と異なる)して暮らせること。④人間らしいとか「普通」を周りが決めてよいのか。⑤地域生活を美化しすぎているのではないか?⑥施設が必要なときもあるが空きはなく、必要とする人が断られる現状 ⑦施設はだれのためにあるのか(地域生活だけでは自分の首を絞めていくタイプの人の最後の砦なのに)⑧何に希望を見出していけばよいのか。最後の砦であるはずの自分の家で地域生活がうまくいかなければ、いったいどうしていけばよいのだろうか。強い自閉症・行動障害の人が地域で生きていくことは本当にむずかしい。どうか、周りの人たちが理解をして、助けてほしい、支えてほしい、と訴えた。
そのあと、知的障害者更生施設「清岳園そら」(三戸郡)の古川善朗施設長が、自身がチャレンジしてきた障碍者福祉の活動を紹介し、世界の福祉の基本原理として①自立生活運動②ノーマライゼーション③インクルージョン、を土台にして、これからできることとして、「本人や家族のエムパワメントの達成」や「社会資源を開拓する必要性」を上げ、「障害者権利条約の批准」と「新しい障害者総合福祉法」に期待を寄せていることを述べた。
また社会福祉法人抱民舎(弘前市)の白取新一次長が、障害者権利条約19条をあげ、地域社会へのインクルージョン支援について、相談支援事業所の役割と、地域で必要とされる支援体制のイメージを語った。
最後に、障がい福祉サービス事業所のぞみ園(八戸市)の施設長で、生活支援ネットワーク「ライフ」事務局の上條勝芳さんが、「ライフ」設立の経緯と目的・現在を話した。「ライフ」は八戸地区のグループホーム連絡協議会やボランティア会を前身とし平成13年に設立され、障がいのある方一人ひとりのニーズに対していろいろなサービスを適切・効果的に提供し、自己実現していくための具体的な支援方法をネットワークで明らかにしていくことを目的としている。また、受付から支援計画の決定、実施、定期的な見直し、などケアマネジメントの手法で、障がい者の地域での自立生活を支援してきたことを紹介した。

会場と質疑応答
質疑応答では、地域生活と施設の役割について意見が出された。施設には各種の役割があり、また一貫した支援をしていく必要がある。そのためには利用者本人の立場に立つという原点を忘れてはならない。一人ひとり人格があることを認識する必要がある。
会場から、Aさんに「息子さんの現状は」という質問があり、Aさんが答えた。息子さんは、服薬調整ということで入院中。個室は鍵がかかって強化ガラス、四方はコンクリート。病院でたった一人の自閉症だ。病院だから、家や施設のようにはいかない。投薬のみの処方。最初は「家に帰る」と頑張っていたが、一週間後に行くと、「帰らない」という。「いらいらするから、ずっとここにいる。面会に来てくれるだけでいい。」と本人が言う。〔病院に〕何の期待もできないということはイライラしなくてすむということのようだ。病院は自閉をわかってない。それゆえ手抜かりだらけなので、「ここはいい」と思ったようだ。自分に決定権はないと前から学習している。そこで生きるしかないと。一方、彼が目の前にいなくなると親も楽になってしまう。彼も家はいやだと言っている。親は、よかれと思ってやってきたけれど、「結局しがみついていたのはこちら・親の方だった」ということが分かった。ある程度の年齢になったら、誰であっても、家族と離れ、社会で生きるべきなのだ。

会場・シンポジストといっしょに、彼の退院後の暮らしの場を考えた。支援するヘルパー確保が困難。一か月に利用できる時間数が少ない。こんな時間でどうやって支援していけるか。行政担当者に聞きたい。さらに、ヘルパーさんが支援方法を学んでいなければ通用しない。施設の職員も支援方法を学ぶ機会を持っていない。自立支援協議会の活性化が必要。これからできること。エンパワメントの達成。地域住民に市民の問題として、提案していく。足りない資源を開拓する。障がい者権利法により国内法を整備していく。地域とのつながりを。町内会長。医院。警察。知ってもらうための活動は親の責任、親が一番できること。親はあきらめられないから。地域に説明する王道はない。地域性が違うから。チームで一つ一つ解決していく。ワッペン。キャラバン隊。入って行って説明してくる。まずは知ってもらうこと。(発達障害者が)地域で暮らしたり、支援者が活動を地域で展開したりしないと、地域は変わらない。言葉だけでは変わらない。ふたたびAさんが訴える。親としてのお願い。そういう〔自閉症の〕方を見かけたら、やさしい目で接してほしい。親の会の親としてのお願い。困った奴らだなあと思わないで、一番困っているのは彼らの方だということをわかったてほしい。出会った時には視点を変えてもらいたい。その視点を変えるだけで、すごく変わる。そしてそれが彼らに通じる。本当は穏やかに、だれとも争わずに暮らしていたい人たちなのだから。
〔まとめ〕「誰もが地域で暮らす」が大前提。でも地域で暮らすより入所で暮らした方がいい人も最終的にはいるかもしれない。けれどもそれもいったん地域に出ないとわからない。検証して最終的に決めていく。地域に出て、サポートを受けてやってみる。いっしょに考えるのもチームで行い、家族もサポートする。障がい者が住みやすい地域は、だれもが住みやすい地域となる。

2010年度青森県ソーシャルワークセミナー開催日程決まる

2010-04-26 12:09:32 | セミナー案内/報告
 ご無沙汰しています。更新がなかなかできず申し訳ありません。
 弘前城公園の桜祭りも23日からスタートしたのですが、あいにくの低温状態が続きなかなか開花に至りません。明日が開花予想ですがどうなりますか?
 さて、今年度の県ソーシャルワーカー協会主催の「ソーシャルワークセミナー」を下記のとおり開催することで準備が始まりました。

 ◎日程 2010年10月24日(日)10:00~15:00
 ◎会場 八戸市総合福祉会館
     八戸市根城8丁目8-155
     ℡0178-47-1651
 ◎概要

 とりあえずこの日日本ソーシャルワーカー協会会長鈴木五郎先生がおいで下さることになっております。午前中は先生の講演で、お昼をはさんで話し合いの場を設けたいと思います。これから八戸地区の皆さんと実行委員会を開催しながら、内容を詰めたいと思っています。ご希望がありましたら、お知らせ下さい。


 ◎連絡問合せ先
 〒036-1312
 青森県ソーシャルワーカー協会事務局
社会福祉法人抱民舎内

 弘前市高屋安田735-3
 ℡0172-82-6060 FAX0172-82-6061 email aun@houminsya.com

弘前大学生涯学習教育研究センター事業のご案内

2010-02-03 09:09:17 | セミナー案内/報告
From: "生涯学習教育研究センター" <sgcenter@cc.hirosaki-u.ac.jp>
To: "田中 弘子" <shuro0318@r15.7-dj.com>
Sent: Tuesday, February 02, 2010 4:04 PM
Subject: 弘前大学生涯学習教育研究センター事業のご案内


各 位

   弘前大学生涯学習研究センターの事業について、皆様方に幅広く
  ご周知、ご参加願いたく以下のとおりご案内申し上げます。

(チラシ・パンフレット等詳細な情報は
         生涯学習研究教育センターのHPでご覧頂けます)
       http://culture.cc.hirosaki-u.ac.jp/sgcenter/


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1.名 称  生涯学習ネット講演会「障害や病気をもつ子の親の思いか
       ら医療と健康のあり方を考える」

2.趣 旨   障害やさまざまな疾患を抱える子どもを支える親たちが、
       今何を望んでいるのか地域の住民や行政などとの連携をも
       とに医療や健康のあり方について考えていきましょう。

3.日 時  平成22年 2月15日(月) 18:30~20:00

4.講 師  大学院保健学研究科 講師 北宮 千秋

5.会 場  ・弘前大学八戸サテライト
       (八戸市堀端町2-3八戸商工会館1階)
       ・弘前大学地域共同研究センター セミナー室
       (弘前市文京町3 コラボレーションセンター2階)
       ※ インターネットを介して両会場同時に講演を行います。
        八戸サテライトに講師を置き,弘前会場では,テレビ会議
        システムによる映像・音声の受信を行います。

6.対 象  教育関係者・一般

7.参加費  無料

8.定 員  各会場30名

9.申込締切 2月12日(金)

○申込み・問合せ○ 
 氏名・住所・電話番号・受講を希望する会場(差し支えなければ年齢・
性別・職業も)を記入の上,ハガキ・E-Mail・FAXで下記の連絡先ま
でお申し込み下さい。電話でも受付けております。



**********<申込み・問い合わせ先>************

弘前大学生涯学習教育研究センター
 〒036-8561 青森県弘前市文京町3番地
弘前大学創立60周年記念会館 コラボ弘大 4階
 TEL/FAX 0172-39-3146
 E-Mail  sgcenter@cc.hirosaki-u.ac.jp

********************************************


※上記電話につながらない場合は,下記の番号をご利用下さい。

 弘前大学学術情報部社会連携課
 TEL 0172-39-3910

※このメールは,生涯学習教育研究センター事業の案内をメール配信に
て希望された方にお送りしています。
お心当たりのない方及び配信停止を希望される方は,ご連絡ください。


2009年青森県ソーシャルワークセミナーin岩木

2010-02-01 09:19:35 | セミナー案内/報告
【第3回ソーシャルワークセミナー報告】

     青森県ソーシャルワーカー協会  田中 弘子                  
                    松田耕一郎
青森県ソーシャルワーカー協会とNPO法人日本ソーシャルワーカー協会の主催で2009年10月25日に青森県弘前市で開催されました。講師の同志社大学名誉教授で京都ボランティア協会理事長の岡本民夫氏の講演を紹介します。

「まちづくりと福祉」-まちおこしのための地元学-

まちおこしまちづくりについて、理論的な話よりも自分の経験から、何をどうするとまちが元気になるかという話をしたいと思う。これまでの経験から反省すべき点や限界、また逆に可能性も大いにあることがわかってきた。一般的にまちづくりやまちおこしというと行政主導でやる場合が多く、それら「地域福祉計画」などは、法に基いておこなうことになるとおのずと限界がある。結果、結局どこのまちにも似たり寄ったりで地域の個性が出ていない。もっと住民の意見や声を聞く必要があるのではないか。私も参加して、いくつかの計画を立ててきたが限界があることが分かった。住民参加をと言ってもなかなか参加が難しい。一部の人だけが一所懸命になっているのが現状である。また計画は立てたが絵に描いたもち、お金がないのでできないという問題もある。が、お金だけではなく、住民が汗をかいてやればできることがあるのだが、そういったことがなかなか浸透しない。グローバル化多様化社会では、住民がいろいろな思いや考えを持っていて、なかなかまとまらない。けれども底流には必ず共通の課題があるはず。絞込んで課題抽出をしないと住民はなかなか動いてくれない。ただあまり特定の課題に絞り込みすぎると、多様なニーズを持つ住民との間に齟齬が生じる。そこの兼ね合いが難しい。

限界と可能性

今大学が変わってきている。同志社大学で大学プロジェクト科目を創設した。カリキュラムで、学生が20人でやりたいことを共有化して学習しようとする科目をつくった。まず、学生に年間60万円の予算を与える。何をするか決め、調査費や、講師などを呼ぶ費用とする。自分たちでプログラムを作ると「われこそは」という人がいっぱい集まってくる。住民参加もそうしたところから出発できるのではないかと思う。「町家の掘り起こし」で大学と地域の結びつきを考えた。大学と地域が新しい形で結びつく。「東山文化創生実行委員会」。銀閣寺を中心に栄えた東山文化を継承していく活動。伝統文化の継承発展プラス新しい文化を生み出していく若者の感性を組み込むこと。手弁当でみなが集まってくる。また、地域の住民に共有してもらえる文化として、隠れていて本になってない民話の掘り起こしをやった。民話は隠れた形で存在する。それを文章化し挿絵も書く。プロには頼まない。描ける人が町にいる。切り絵をする人も出てきた。見事にコラボして絵本も紙芝居もつくった。さらに、IT技術を利用し、CDを作って配った。みなさん家にもって帰って見てくれる。成功だった。やり方いかんでやれるということだ。

地元学について

水俣市のある職員が地元とかかわって展開し、「地元学」を勧めた。岩波ジュニア文庫「地元学をはじめよう(吉本哲郎著)」がとても面白い。地元で住民が見つけたことを発信する。自分の気づいたことを収集する。基本は5つ。まず①調べる。デジカメは気軽に撮れる。ちょっと散歩に行って面白いと思ったものを撮る。取材したり調べたりすると「これでいいのか」と②考えるきっかけになる。難しいことは考えなくていい。町で買い物をして気づいたことがあったら、それをきっかけに考える。一定のところで③まとめる。例えば地図を作る。自分たちで地域地図や観光地図を作る。地域資源のネットワークのナビゲーターを作る。昔からの紙ベースのものは改定が大変だったが、電子化すると変更がたやすい。GPSを組み込んだカメラが発売され、写真と位置と地図が表示できるすぐれたIT技術を使いまとめたものを④作る。そしてそれらを、まちづくりへどうつなげ⑤役立てていくかだ。
地域の出来事を見る基本的視点
地域をどう見るか。鳥瞰図というものがある。虫の目で這いずり回ってみる。歩いてみる。鳥の目と虫の目を一緒に持つことが大事。複眼的な視点が大事だ。地域の住民も多様なニーズを持っている。いろんな人が集まると自然にそういったものの見方ができてくる。都市化が進むと暮らしにおけるつながりや付き合いが減っている。互助精神をどう盛り上げるかが大事。神社や寺院のまつりではけっこう人が集まる。

まちおこし具体例

東山文化大好き人間のように、四角四面ではなく、何かをきっかけに知り合ったり、かかわったりしていると新しいものが次々生まれてくる。町おこしの具体例として。子どもらが町をどう考えているか作文を書いてもらった。素晴らしいアイデアが飛び出した。子どもは無限の可能性を持っている。児童の作品から遊具を選ぶ公園作りも出てきた。また、バリアフリー公園の全国調査を行った結果、大阪岸和田の「何にもない」という良さが評価された。「遊具も無い。装置はない。限定されない。自由に使える。」ことが良かった。

「フォトストーリー3」の紹介

趣味の写真でふるさとを取る楽しみを。プロ並みカメラマンがどこにもいる。呼ぶと彼らは喜んで来てくれる。それをフォトストーリーにする。無料のソフト(インターネットでダウンロード)でイベントを物語にする。BGMもキャプションも入るし、ナレーションも入れられる。それにだれでも簡単にできる。これを利用して情報発信を行う。ダビングしたり、ホームページへもアップできる。みな持っているとって置きの写真があるはず。わが町の誇り。貴重な写真。そういった身の回りに眠っている写真などを公開する。「映像の博物館」を建設できる。地元の豊かな文化を地域住民はもとより、他の地域へも、また国際的にも発信できる。これも町おこしの基礎になる。廉価、低予算でできる時代だ。情報収集・情報発信の技術を身につけるとまちおこしのきっかけができる。個人の趣味も良いが、できればみんなが関心を持つできごと、共有化できるデータで行うといい。仲間を増やすことによって、共有化を図る。仲間作りができる。なにを?というプログラム作りができる。まちづくりの下絵が誕生する。

まちおこしは創生作業

持続可能なグループワークができるのがプロのソーシャルワーカーの仕事だ。共通する話題、町発展、未来にむけての課題を抽出し、議論を展開する方法。私は創生作業だと思っている。あるものをあるものとして継承するのではなく、新しく作り出すことだと思う。あるものではその中で、変えたほうがよいもの、変えるべきもの、変えてはならないもの、変えるべきでないものの見極めが大事。住民が自らの自治組織でその課題を選択していく。直接民主主義的な展開が必要となる。時間がかかるが、リーダーだけがやるのではなく、みんなが参加できる場面をつくる必要がある。官公民私で共に治める。官公民私によるコラボ協同。そういう形を地域でどう起こすか。異なるものの有効化。発見があったり、発明もあったりする。そしてそれは将来、次の世代へと連携していける。まちおこしを夢のあるものへと仕立て直しする必要がある。

今後の課題は

戦後は住民参加というようになった。言葉は簡単だが、来たくない人、参加しない人、積極的参加の人の三層に別れる。
これからどうするか。少子高齢化。多様性のあるものをどう準備するか。なかなかうまくはいかない。地域課題の自覚。身近なことから地域の問題を考えることが大事。子どもらのセンスも取り入れる。参加できる場所・機会を作り上げていく必要がある。仲間作りから地道ないきの長い活動を必要とする。新たなまちづくり、住んでよかったまちと思えるようなまちをみんなで考えるのだ。参加しない住民らへの対応。これに妙案はないか。例えば沖縄で、距離が離れていることに対して、媒体としてテレビ電話をいれた。操作性の簡素化で実現した。おばあさんは毎日テレビ電話で遠くに住んでいる子どもや孫と話をしている。テレビ感覚でやっている。ねたきりの方でも参加できる仕組みを一般化する。そういったソフトで、参加しない人、出て来ない人の参加を可能にできることもある。

 

謹賀新年~2010年

2010-01-07 13:22:31 | 提言
 皆様明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 
 さて、暖冬のはずでしたが、元旦から思いがけない降雪に、弘前市は道路が大渋滞です。道幅も狭く、除雪がうまく行っていません。

 来年度は八戸地区でセミナーの開催を行いたいと事務局で話し合っています。
 テーマは未定ですが、地域の高齢者や障害者の見守り活動の実践事例検討を行いたいという提案が出ています。

 旧岩木町にあるこの事務局エリアでは、ふれあいボランティア会・のれそれ雪とろけ隊がふれあいの旗を世帯に設置して、地域ボランティアへの関心を高め、更には冬期間の除雪や屋根の雪下ろし活動を行っています。また世帯ごとに担当を決めて、訪問しながらニーズに応えようという試みを始めました。
 詳細が決まり次第ご案内しますのでよろしくお願いします。
 

第3回ソーシャルワークセミナー開催しました

2009-10-26 10:46:12 | セミナー案内/報告
 10月25日(日)PM1:00~3:00 岩木文化センターあそべーるを会場に「第3回ソーシャルワークセミナー」が「まちづくりと福祉」をテーマに同志社大学名誉教授で今日とボランティア協会理事長でもある岡本民夫氏をお招きして開催されました。参加者の中では遠方で鯵ヶ沢町、青森市、八戸市などからもおいでになり約40名の方の参加となりました。今回のセミナーは田中会長が代表をされている別団体「ハンサムウーマン」が仲介となって「ようこそつながれっとサロンへ」の中の一企画としてソーシャルワーカー協会のセミナーが位置づけられています。こうすることによって、予算確保が容易になることを示しています。
 約一時間の岡本教授の講演後休憩を挟んで、会場の参加者との意見交換会が行われました。また、その後会場近くで岡本教授を囲んで交流会が和やかに行われました。
 内容の詳細については、次回まとめて報告します。
 

第3回ソーシャルワークセミナー

2009-10-17 15:48:50 | セミナー案内/報告
 このところの社会経済の激変と急速に進む少子高齢社会の情勢は、日常生活に直結する問題を多発し、安心と安全を脅かす深刻な事態となっている。
地域における「相身互い」精神の連帯意識による課題解決の機能も後退し
てきている今、地域における「新たな支えあい」が求められている。

日 時 平成21年10月25日(日)
13:00~15:00
場 所 岩木文化センターあそべーる2階ミニシアター(無料駐車場あり)
参加料 資料代等500円
講演&ワークショップ 「まちづくりと福祉」  
~ わたしたちができること、みんなでできること ~
講 師 岡本 民夫氏

(同志社大学名誉教授・京都ボランティア協会理事長)

 混迷を極める社会福祉の問題に、精力的に取り組む福祉のエキスパート 
現在、社会福祉学の専門家として幅広く活躍中で、ソーシャルワークの理論史研究の分野で広く知られている。
  ◎講師:岡本先生を囲んでの交流会:16:00~ 
     会場 りんごっこ(会場近く)
     会費 4,000円(飲み物含む)
主 催 青森県ソーシャルワーカー協会
    NPO法人 日本ソーシャルワーカー協会
協 力 セミナー・ハンサムウーマン(広い視野で社会貢献する仲間の会)
    つながれっとサロン(地域づくりでネットワークを進める会)
後 援 NPO法人 あおもりNPOサポートセンター

♥ 参加申込  1名ごとに参加申込書にご記入の上、10月23日(金)まで
 
事務局(社会福祉法人 抱民舎
       ・障害福祉サービス・生活介護「であいの家あうん」へ
 メール & FAXでお申込みください。
 FAX 0172―82―6061 E-mail bz100314@bz03.plala.or.jp

♥ お問合せ先  社会福祉法人「抱民舎」TEL 0172―82―6060 

♥ 宿泊希望者へ斡旋: ペンションワンダーランド (1泊朝食付 6,000円) 
(10月13日まで)   
 〒036-1345 青森県弘前市大字常盤野字黒森12-
 TEL/FAX 0172-83-2670

08青森県ソーシャルワークセミナー概要報告

2009-02-26 15:46:28 | セミナー案内/報告
08青森県ソーシャルワークセミナー
「韓国障害者福祉の動向&地域福祉とソーシャルワーク」
青森県ソーシャルワーカー協会 田中弘子
青森県ソーシャルワーカー協会は2008年9月21日、第二回「ソーシャルワークセミナー」を開催した。当日、青森市の「しあわせプラザ」には県内各地から40名ほどが参加し、昨年に引き続きソーシャルワークについて考えた。今回は特別に、来日中の韓国障害者施設の施設長・宋相天氏をゲストに「韓国の障害者福祉の現状と課題」を聞き、そのあとソーシャルワーカー協会会長の鈴木五郎氏と青森県立保健大学の渡邉洋一教授が対談を行った。

ソウルのボンドン保護作業場
宋相天氏の講演は、弘前大学留学生朴正健さんの通訳で行われた。韓国ソウル市にある宋さんの「ボンドン保護作業場」では、知的障害者三十七人が仕事をしている。スライドではまず四月の中国旅行が紹介された。初めての海外旅行。そしてその目的は、メンバーらに実際の経験による自信感を持たせるためだった。
「ボンドン保護作業場」は知的障害者協会の委託施設で2008年には創立四十周年を迎えた。外部からたくさんの支援をもらって運営している。メンバーの賃金は個人差がある。一番多い人は月一万五千円ほど。最低で七、八千円。仕事は、お土産品である靴下のセット作りと箱詰めをしたり、衣類の包装作業をしたりしている。またスタッフは土産物のマーケティングを行い、お金になる仕事を目指して仕事の内容を変えていっている。いそがしくてこのごろでは作業時間は増え、休憩時間を減らすほどだ。普通夕方五時半で終わるが、残業する日も増えている。
メンバーには、自分の職場であると意識化させることが大切。遅刻にはペナルティーを課しているという。自分の行動には自分で責任を持つようにしむけていてる。作業評価も細かく実施している。作業能力、作業態度、勤務態度など細かい項目でチェックをすることにしている。親・保護者が反対することもあるが、わかってもらえるように説得する努力をしている。
障害者団体の全国大会に参加している。ほかにもいろいろな大きな行事にも参加することにしている。施設は「施設運営委員会」で運営している。委員会には障害者も障害者自身が立候補して選挙し、選ばれたものが委員として参加する。

韓国障害者福祉の現状と課題
韓国の障害者福祉は朝鮮戦争の負傷者救済に始まる。1981年から法律を整備し、本格化する。(宋氏は障害者福祉の歴史、法律、事業の沿革を述べる。また、障害別分類、登録人数にも触れる。)「障害種別」の範疇を拡大することによって、政府の予算が膨らむという問題がある。障害があって高齢になっていくこと、その人たちへのサービス内容が心配。韓国は香港についでアジアで二番目に障害者差別禁止法を制定した。2008年に施行。今後は、今までのことを伝え、後継者を育て、障害者福祉を継承・発展させていきたいと語った。講演の後「勤労障害者に最低賃金制度が適用されるというが」という会場からの質問に対して、「韓国の最低賃金は今年は、月約7万六千円。来年も上がる、そして来年からは障害者にも適用される。この基準に応えられないと制度上の支援から差別を受ける。保護作業場も五十パーセントは課せられる。重度の障害者のいる施設は大変だ。支援が受けられず、その人たちの行き場がなくなることも。重度の障害者の切捨てにつながり、あらたな差別となる可能性もある。」と宋氏が答えた。

日本ソーシャルワーカー協会会長鈴木五郎氏のお話
日本の社会福祉はこの間二十年かかって、戦後の社会福祉を改革してきた。かつて、戦後すぐは社会福祉は国家責任だった。少子高齢化により、これでは無理だということで、地方分権が叫ばれ、それらは市町村の事業に移行した。介護保険法で契約し、応益負担の仕組みが導入された。社会福祉の構造がまったく変わってしまった。しかし、改革が不十分で、やり残しているところがたくさんある。改革の内容にも疑問が多い。ところが学会からも現場からもそういった声が一向に上がってこない。その辺を話してみたい。
①要支援者の位置づけを明確に。
社会福祉は、自分から契約をしたり判断したりするのが苦手な人を対象としてきたのが伝統。契約というものは難しい。契約の論理を持ち込もうとするのは無理がある。そのことを補うために、民法を改正し、成年後見とか地域福祉援助事業を行うことも決めた。だが、実際にはなかなか機能していない。弁護士は都会にしかいないし、日本と欧米は事情が違う。また、市町村行政に社会福祉士を配置すべきだが、いない。要支援者・要援護者の権利を守る仕組みを行政がきちんと備えるべきだ。
②地域福祉とはなにか
地域福祉について、新しい社会福祉法はどのように変わったか。元の法律では第4条には福祉は国家責任であると書いていた。これが消え、60条に後退した。そしてその代わり第4条には地域福祉が入った。地域福祉には元々あいまいな二つの概念があった。一つは「(行政が)地域社会で行う福祉」、もう一つは「地域住民が必要とする人に支援を行うというコミュニティ―による支援」。そしてそれに決着がついた。地域福祉は後者、「地域住民=コミュニティーの責任」と国が決めた。これはインチキといってよい。地方(行政)がやるといいながら、住民に責任を転嫁した。また、専門職を置くなどといわない、専門職配置の規定が一条もない。地方(行政)は公の制度としてやることはやらなければならない。これが公的福祉というものだ。(コミュニティーによる)地域福祉でできることと、公が責任もってやらなければならないこととは違う。守備領域が異なるのである。
③ 日本の社会福祉事業史。
日本の社会福祉には光り輝く時代が二回あった。一度は明治の慈善事業の時代。児童福祉やハンセン病など福祉において大企業家がたくさん登場している。東の渋沢栄一。西の大原孫三郎。大原は石井十次に金を出し続けた。日本列島北から南まで慈善事業・社会事業が立ち上げられた。これには幕末の思想家たちの持った思想の影響があったと考えられる。社会福祉は民間施設、民間人が経営した。国庫補助は昭和二十年の後のこと。このことは明治大正昭和の初期まで続いた。明治の人間はとても輝いていた。
二度目は第2次世界大戦の戦後、北海道家庭学校の谷昌恒氏や、中野栄一氏など社会福祉の現場にとびきりの人材が飛び込んできた。今の八十歳代の人たちだ。そういう民間の力による社会福祉の輝かしい歴史があるのに、戦後は税金、公の責任でやるものとなり、みんなそのように思いすぎた。そして、時代が変わり、国はやりきれず住民の責任へと押し返した。繰り返すが、戦後の社会福祉は国の金でやってきたがそれ以前は企業や個人の寄附でやってきた。それを取り戻したい。純粋民間福祉事業を取り戻したいと思っている。税金と介護保険だけでなく、民間・企業の寄付の文化=社会福祉を復活させたい。
日本の民間の寄付金はアメリカの百分の一。倫理綱領に基づいて行動せよとは言うけれども、補助金と介護保険で縛られて、本当に利用者の代弁ができるのか。自由な発言ができないのではないか。民間資金から給与を得て、自由に発言できるソーシャルワーカー・社会福祉士こそが今、必要。

青森県立保健大学教授渡邉洋一氏のお話
ソーシャルワークは広い概念である。介護保険の番人、管理しているソーシャルワーカーなどいらない。社会正義、障害者や高齢者といった弱い人の立場にたって行うのがソーシャルワーク。102年前のイギリスに社会福祉協議会の源ができた。地域に同じ目線で住み込んで行う福祉活動・ソーシャルワーク。これはセツルメントの思想。これを今一度考え直したい。それは、キリスト教の価値規範、もしくはヨーロッパ中心主義の思想の哲学が元になっている。
私たちは、平成二年、十二年、と二度社会福祉法にだまされた。論点を整理しよう。
① 存在の認識に規定された社会福祉課題への対処。これに依拠しすぎてきた。たしかに飯は食えるが。
② 意識の認識に規定された社会福祉課題への対処。自殺・差別・虐待などへ寄り添う思想。意識の認識。人を孤独にすること。役割を奪うこと。をやってこなかったか。
差別、自殺、生きる力を弱めてきた。寄り添う思想・原点がなければ意味がない。社会福祉の価値。人間はなぜ生きるのか。倫理綱領を明文化しないと。福祉は精神医療ではない。ソーシャルワーカーとして死のうとする人をとどめよう。カウンセリングではない。人と人のかかわり方が弱くなっている。閉ざされている。引きこもる。そしてその結果が自殺など。暮らしに問題がある。暮らしに寄り添う人がいれば違う。
結語。日本の社会福祉は、ソーシャルワークじゃなく、目の前の法律に依拠している。倫理綱領に書かなければ仕事ができない。価値を共有する、できる人たちの集団でありたい。原点は二宮尊徳の思想のようだ。
暮らしの中で閉じた社会、一族意識からスポイルされて自殺する。ひととかかわって上手にいきぬく力を持たせたい。そういった部分に寄り添うことが必要だ。広義のソーシャルワーク確立が求められる。「税金は死んだお金」とマザーテレサは言った。

発言 鈴木五郎氏
国の法律制度の中で、職名で仕事をし、ソーシャルワーカーとして自覚して働いていない施設職員が多い。四つの価値基準がある。一つ目は国際ソーシャルワーカー協会の決めた、ソーシャルワーカーとしての価値基準、社会変革、社会正義、エンバワメントなどの定義、私たち日本のソーシャルワーカーがそういったグローバルスタンダードを意識して仕事をしているか、また二つ目には、日本の歴史を認識して継承して、ナショナルな基準にもちゃんと乗るということができているか疑問。
三番目は社会福祉政策。事業所の理念哲学でほとんどはこれで動いている。その価値基準に縛られているといってよい。そして四つ目の軸として、前記三つの価値基準の中で自分自身はどのような生き方をするかという問題がある。これらのことを大学ではまず一番に教えなければならないのではないか。
社会福祉の現場ではたらくということはどういうことなのか。これが学ばれてない。ソーシャルワーカーとは何かを、つきつめて考えていないのが現状。

会場からの意見・質問に鈴木さんが答える
質問 「現場むけに視点を絞ってなにをどうしたらよいのか。課題や問題はわかったので、ソーシャルワーカーの道を示してほしい。」
鈴木 目の前にいる人のよりよい人生・暮らしの、自立支援を目指して、相手の立場にどれくらいたった支援をどのくらいできるか。優秀なソーシャルワーカーの基本は、相手の話をよく聞ける人。必要な言葉かけを的確にてきること。武器は、言葉だ。唯一最大の語りかける言葉。さらに、相手の気持ちに寄り添って、語れるのか、それは、相手のいうことをどれだけ聞いているかによる。相手は言葉になっていないかもしれない。けれどもどれだけ観察し、どれだけ多く受け止められるかだ。相手は言葉で表現していても、嘘もあるかもしれないし、充分に表現できていないかもしれない。だから、どれだけ言葉でないこと、言外を観察できるかだ。ブログやメールの世界では嘘も見抜けない。沈黙という言葉も受け取れない。また、言葉のかけすぎも大きな問題だ。相手の立場に立てない。体験してみないとわからないことだらけの人間。けれども立とうとしていくしかない。社会福祉は、当事者とその家族の運動の歴史なのだ。ソーシャルワーカーとはわかったつもりで支援をしている人のこと。それでよいのだ。しょせん当事者を核にすえながらの歴史なのだから。その中でソーシャルワーカーは、自分がどれだけ寄り添える力を身につけられるかだ。
法人も社会福祉協議会も絶えず変わっていく努力をしないと堕落する。今現在の日本の情況は、明治以降最悪だ。こどものような大人社会。親殺し、子殺し、自殺等。アメリカ占領政策で日本が再び戦争させないためには、歴史教育をしないこととした。そして道徳教育をしないこと。今は精神文化的に地獄の様態だ。明治からの近現代史をきちんと勉強し、反省すべきは反省をし、中国や朝鮮半島の人々に謝罪をし、二度と戦争を起こさないようにしなければならない。
渡邉 ケースワーク、個人の側面に働きかけることについて。人間は一人では生きていない。ソーシャルワークは関係性に援助することだ。思想の原点は、和辻哲郎、西田哲学にある。ひとは社会関係、家族関係、関係性の中にある。ソーシャルワークはそこに働きかけるもの。セツルメントの思想なのだ。面接室から地域社会へ出よう。
ソーシャルワークの原点とは1.花を見てきれいだと思える心を持つこと。それをずっと咲かせ続けるには、環境・総体を育てる。働きかける専門性・倫理が大事。2.プロとして、その人の背景にアプローチする。すべての、世界に住む人、動植物との関係、が対象。それを大事に思える心、社会に働きかけられる心を持つ。それでこそソーシャルワーカーといえる。
施設職員は、有給のプロでよい。ボランタリーなソーシャルワークも必要。以前は寺の和尚などがやっていた。枕業。資格がある人も、ない人もソーシャルワーカーである。

宋相天氏の意見
通訳を通じているので、直接には聞けなかったのが残念です。社会福祉のサービス対象者が、究極的には地域社会で一緒に生きていくべきと思う。けれどもそれがとても難しい。それは市民が反対をするからです。隣町ならよいが、私の町はだめ、と。これが現在、障害者がなかなか地域で生きていけない理由の一つだ。(議論されている)ソーシャルワークの価値規範を変えるよりも、住民たちと一緒に認識を変えるのが重要だと思う。ソーシャルワーカーたちは社会福祉の対象者たちのために働いているといわれます。けれども、職員たちには出勤と退勤があり、退勤後や休みの日は対象者は福祉サービスを受けられません。放って置かれます。ソーシャルワーカーたちはこういった問題にも関心を持つべきです。また、ソーシャルワーカーたちが障害者たちに対して権威的ならばそれは問題です。指示したり、無視したりするといったように。ソーシャルワーカーは、その対象者たちと対等な立場にたっているべきだと思います。ケースワークの個別七大原則の一つ、相談者と被相談者は平等。相談するときも向き合って〔上から〕話すのではなく、寄り添って〔平等に・対等に〕横で話すべですき。相談は短い時間ですが、相談者が困っていることを横で〔対等に〕支援するためです。
お二人のお話を聞いていましたが、哲学だけでは限界があると思いました。みんな担当している業務をこなすべきです。施設長や上級の者は、職員たちに、過重な業務を求めているのではないか。福祉サービス対象者や保護者は、一般市民たちは、ソーシャルワーカーはスーパーマン、魔法使いだと思ってはいないか。頼めば何でもできるものと思ってはいないか。もしかしたら、対象者たちのことを考え、彼らにサービスを提供することの苦労に比べて、ソーシャルワーカーたちの社会的地位とかプライドや誇りは充分認められているのか。ワーカーたちの辛さ、仕事の大変さ、過重な労働、それらに対しては誰が支援してくれますか。
いまやもはや、福祉対象者だけでなく、ソーシャルワーカーたちも、社会的に経済的に認められるべきだと思う。人間が人間らしく生きていけるために、それを支援するのがソーシャルワーカーの役目としたら、ソーシャルワーカーたちも、人間として人間らしく生きていけるべきだと思います。ありがとうございました。

渡邉洋一教授のまとめ
 宋さんからのいくつかのご指摘をありがとうございました。国はしっかりと自己責任を果たしていかなければならないと思います。
北海道伊達市「太陽の園」を例に、グループホームを中心とした地域福祉・地域支援の時代のソーシャルワークは有給のプロと、片やきちんとした研修を受けたアマチュアリズムのソーシャルワークを必ず必要とする。今そういう時代が到来している。




社会福祉公開セミナー

2008-08-06 16:46:22 | セミナー案内/報告
 日本ソーシャルワーカー協会主催「社会福祉公開セミナー」が開催されます。
 開催日時 2008年月6日(土)13:00~16:00
 開催場所 ホテル機山館(文京区本郷4丁目37-20)
      ℡03-3812-1211
 開催内容 
      開会挨拶 NPO法人日本ソーシャルワーカー協会会長 鈴木五郎
      研修講座 Ⅰ 「明日の地域福祉のあり方」13:10~14:30
      講師      ルーテル学院大学 教授 和田 敏明氏

      研修講座 Ⅱ 「明日のソーシャルワークと倫理的価値」
                          14:40~16:00

      参 加 費 日本ソーシャルワーカー協会会員 無料
           非会員 学生500円 一般1,000円
      参加申込 8月末日まで
      問合せ先 ℡03-5913-8871
           email jasw@jasw.jp
           日本ソーシャルワーカー協会

青森県ソーシャルワーカー協会員には、9月21日の研修会案内とともに、後日案内状を送付いたします。